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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

◆ 2024年1月都教委要請(3)国際人権プロジェクトチーム

2024年01月25日 | 「日の丸・君が代」強制反対

2024年1月24日

東京都教育委員会 教育長 浜 佳葉子 殿

◎ 「君が代不起立処分」に関する国際人権機関の勧告を尊重して下さい

東京・教育の自由裁判をすすめる会 国際人権プロジェクトチーム

1.地方公共団体には「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(以下「自由権規約」と略す)遵守義務があります。東京都教育委員会は自由権規約を尊重し遵守して下さい。
 ちなみに、遵守義務があるという根拠は、以下の通りです。

(1)自由権規約委員会による、『一般的意見34(CCPR/C/GC/34)』パラグラフ7(資料1参照)
(2)日本政府による、『第3回日本政府報告書(CCPR/C/JPN/3)』の「4.“市民的及び政治的権利に関する国際規約”と国内法規との関係」の記述(資料2参照)
(3)外務省担当者による、当会の要請に対する回答(資料3参照)

 各々が「地方公共団体」に自由権規約遵守義務があることを明記・明言しています。
もしも貴庁が地方公共団体の条約遵守義務を否定されるようであれば、その回答を条約を所管する外務省に通報させていただきます。

2.昨年度(2023年度)当会からの「東京都教育委員会は自由権規約を遵守して下さい」という要請に対する貴庁の回答は、「都教育委員会は、関係法令等に基づき人権教育を推進しています。」というものでした。ここに言う「関係法令等」に、自由権規約は含まれますか、含まれませんか。

3.前項で貴庁が「推進している」と回答した「人権教育」について、実際に2023年度に行った「人権教育」は、どの部局が、誰を対象に、どのような内容で、何回行ったかを、日時と共に具体的に示して下さい。

4.文部科学省の事業である「人権教育担当指導主事連絡協議会」は、令和5年度はいつ開催されましたか。その場で『自由権規約委員会第7回総括所見』(CCPR/C/JPN/CO/7)は周知されたでしょうか。また、政府から貴庁に『自由権規約委員会第7回総括所見』(CCPR/C/JPN/CO/7)は送付されていますか。

5.貴庁が、「関係法令等に基づき」と言うのなら、わが国が批准している条約の複数の審査機関から、貴庁が発令した「10・23通達」や「君が代不起立処分」について発せられた具体的な勧告について、これらの勧告を尊重し、勧告を忠実に実行して下さい。

①CEART第13回会合(2019年)の最終報告(資料4参照)では、「愛国的儀式に関し・・・教員組織との対話の機会を設けること」「懲戒のメカニズムに関して教員組織との対話の機会を設けること」(パラグラフ110)との勧告がなされました。この勧告に従って、教員組織との話し合いの場を設けて下さい。

②自由権規約第7回総括所見(資料5参照)では、「(思想良心の)自由を制限するようないかなる行動も慎むべきである」(パラグラフ39)との勧告がなされました。この勧告に従って、「10・23通達」を撤廃して下さい。

 

(資料1)自由権規約『一般的意見34(CCPR/C/GC/34)』パラグラフ7

7.意見を持つ自由と表現の自由を尊重する義務は、全体としてすべての締約国を拘束するものである。国の全ての部門(行政、立法、および司法)、および他の公共もしくは政府の機関は、国、地方、もしくは地域(市町村)のどの段階であれ、締約国としての責任を負う立場にある。6 そのような責任は、一定の状況下では、準国家機関の行為に関しても締約国が負うことになる。7 また、締約国は、規約のこれらの権利が私人間あるいは団体間に適用可能である限り、意見を持つ自由および表現の自由の享受を侵害するような私人あるいは団体のいかなる行為からも個人が保護されることを保障しなければならない。8

※原注6:一般的意見31 →ウィーン条約27条
「条約の不履行を正当化する根拠として、自国の国内法を援用することは出来ない」

(資料2)1992年『第3回日本政府報告書(CCPR/C/JPN/3)』

4.「市民的及び政治的権利に関する国際規約」と国内法規との関係
(c) 憲法は、憲法の最高法規性(第98条第1項)、公務員の憲法遵守義務(第99条)、条約及び国際法規の遵守(第98条第2項)等を定めており、国家及び地方公共団体の機関は憲法及び条約を尊重しなければならない。そして、国民は、国及び地方公共団体に対して、平穏に請願をする権利が認められている(第16条)ので、請願の方法により、法律、規則等が憲法又はB規約に反することを主張することができる。法令は、議院に対する請願(国会法、衆議院規則、参議院規則)、地方議会に対する請願(地方自治法)、在監者の請願(監獄法、監獄法施行規則)について方法、要件等に関する規定を置いている。また、行政機関の行為によって権利を侵害された者が、当該行政機関又はその上級行政機関に対して、憲法の基本的人権の規定又はB規約に違反する旨の不服を申し立てることもできる(行政不服審査法)。

(資料3)当会の要請に対する外務省担当者(宮川光國総合外交政策局人権人道課主査)の回答(2021年12月9日)

 去年もご説明したとおり、自由権規約が定める義務については、東京都教育委員会を含め、日本国内において、遵守される必要があります。いずれにせよ次回自由権規約の対日審査が実施される際には、勧告の内容などは地方公共団体にも周知する予定です。

(資料4)CEART第13回会合(2019年)の勧告

110.合同委員会はILO理事会およびUNESCO執行委員会に、日本政府に対して以下の努力をするよう求めることを勧告する。

(a) 愛国的儀式に関し、そのような儀式における教師の義務についての同意を目的とし、かつ国旗掲揚国歌斉唱への参加を望まない教師を受容するような規則について教員組織との対話の機会を設けること
(b) 消極的で破壊的でない不服従の行為への処罰を避ける目的で、懲戒のメカニズムに関して教員組織との対話の機会を設けること
(以下略)

(資料5)自由権規約第7回総括所見(2022年11月30日)

38.委員会は、締約国において思想及び良心の自由が制限されているとの報告に懸念を抱いている。学校の式典で国旗に向かって起立し、国歌を歌うということに従わないという教師の消極的で暴力的でない行為の結果、一部の者が最長6か月の職務停止の処分を受けたことを懸念している。さらに、委員会は、式典中に生徒に起立を強制するために有形力が行使されたとされることに懸念している(第18条)。
39.締約国は、思想及び良心の自由の効果的な行使を保障し、規約第18条の下で許容される狭義の範囲を超えてこのような自由を制限するようないかなる行動も慎むべきである。自国の法律と慣行を規約第18条に適合させるべきである。
(以上、日弁連訳。下線は引用者。)

<連絡先> (略)
<回答期限> 2月16日(金)


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