板橋高校卒業式「君が代」刑事弾圧事件 最高裁に口頭審理を要請中
★ 立川、葛飾に続く「言論表現の自由」圧殺を許すな! ★
最高裁は「表現そのものを処罰すること」の憲法適合性を判断せよ!
◎ 第4回最高裁要請行動の報告
「キレンジャク」 《撮影:佐久間市太郎(北海道白糠定、札幌南定、数学科教員)》
12月24日第4回要請行動が行われた。加藤弁護士の同道を得て、制限人数17人が最高裁に入った。対応は前回までと同様、訟廷首席書記官補佐矢後洋文氏。
冒頭、司会F氏から書記官面接が実現できなかったことへの遺憾の意が表明され、「弁護人と被告は書記官面接ができると聞き連絡したら、過去面接要請は例がなくそういう制度はないと言われた」と藤田氏が質すと、「担当書記官が了解すれば可能ということだ」と矢後氏は答え、理解の齟齬については次回に回答をもらうことになった。
次に「要請書・葛飾事件判決に対するペンクラブ声明・葛飾事件判決に対する日弁連コメント・朝日、毎日、東京各紙の社説」を提出し、5人の裁判官に必ず読んでいただきたいと要請した。
加藤弁護士は、上告書類は2009年1月26日提出、本日は事件に関心ある市民などの要請行動であること、この裁判は「表現の自由」に関する重要案件で、事件は都教委の教育行政の変化に起因する「教育の自由」に関わる論点をも含むものであるから旭川学テ判決をふまえ、口頭弁論を開き、慎重、公正に審理してほしいと要請した。最高裁が上告棄却した「葛飾事件」11月判決への批判も大きく、布川事件・足利事件再審という今、司法に対する世論は厳しい。刑事司法においては、証拠を慎重に審査すべきであると述べた。
藤田氏は事実関係に明らかな間違いがあると訴えた。校長の歩く速度を「10秒で8m33㎝」と異常に遅くした判決には矛盾が生じ、加えて土屋都議による供述調書でっち上げもあるので事実関係の精査をと要請した。
次に、40分もかけた高裁判決読み上げ中に傍聴席がざわついたのは、原判決には時間的に不可能なことも盛り込まれ、「保護者に起立を求める」などおかしな点があったので傍聴者も疑問を感じたからだと訴えたH氏は、「葛飾事件」との違いにも触れ、藤田事件は憲法21条に直接関わり「表現そのものを処罰することの憲法整合性」が問われているのだと述べた。
その後現職・退職教員が発言した。
藤田事件は10.23通達に起因するものであり、処分を背景に教育が行われることを考えてほしい。
ひとつの判決が現場に及ぼす影響は大きい、裁判官は判決を出すことの重さを自覚してほしい。
開式前にトイレに行き数分遅れることや「日の丸・君が代」が徹底されないことの責任を担任が問われるという状況は、正常な「教育の場」とは言えない。
現場では卒・入学式の5分、10分遅れは日常茶飯事である。
権力を持たないものが裁判所に要請するのは、事実と異なることでの裁定に異議があるからだ。
30分という短い制限時間の中で、学校現場の実情についての発言が続いた。
一般市民の発言もあった。
十分な証拠調べなしのこじつけ判決で、裁判官が事実を見ようとしていない。罪状の根拠となっている開式2分遅れは、市民感覚でも誤差の範囲、なぜ「威力業務妨害」なのか。十字架を象った国旗を持つイギリスでは、多様な宗教、民族が存するがゆえに国旗国歌の強制はしていないことが語られた。
「言論・表現の自由を守る会」は、藤田事件・葛飾事件等を犯罪とすること自体がとんでもないことであると述べた。
司会F氏の終盤での発言は、10.23通達後の実態をよく伝えるものだった。
「私や藤田氏は敗戦時、3、4歳。戦後教育スタートとともに学童期を過ごした私たちが退職する頃、教育現場に大きな変化が生じ始めていた。
廃校を控えた島嶼の都立高校定時制最後の卒業式を経験した。たった1人の30歳代の卒業生は卒業式に不参加、式後の祝う会には参加した。後日その気持ちを聞く機会があった。自分が卒業式に参加することにより学校に不都合な事態を招くことをこの青年は危惧したのだ。不起立の先生方が処分されるかもしれないと。こんな小規模校にも10.23通達は大きな権力となった」
とまとめたF氏は、最後に矢後氏に語りかけた。
「我々の気持ちを汲んでいただき、今日の要請の思いを書記官等に伝えてほしい。培ってきた戦後の積み重ねを覆すことのないように」と。
加藤弁護士によると、涌井裁判官死去、甲斐中裁判官定年退官に伴い、新しい裁判体で審理やり直しとなり、判決までしばらく時間がかかりそうだということだ。
年末申し入れた「調査官面接要請」に対しては、「現時点では必要を感じていないが、将来必要があれば連絡する」と加藤弁護士に回答があったとのことである。これは将来に含みを持たせた珍しい対応だそうで、弁護団は「上告趣意補充書」作成に着手する意向とのことだ。少なくとも門前払いではないという一条の光を期待はするが、最近の「君が代」関連・ビラ事件関連の判決を鑑みれば、藤田事件最高裁判断にはまだまだ予断を許さない状況があることは間違いない。引き続き要請行動等を重ねていかねばならないだろう。 (郷まどか)
★ 立川、葛飾に続く「言論表現の自由」圧殺を許すな! ★
最高裁は「表現そのものを処罰すること」の憲法適合性を判断せよ!
◎ 第4回最高裁要請行動の報告
「キレンジャク」 《撮影:佐久間市太郎(北海道白糠定、札幌南定、数学科教員)》
12月24日第4回要請行動が行われた。加藤弁護士の同道を得て、制限人数17人が最高裁に入った。対応は前回までと同様、訟廷首席書記官補佐矢後洋文氏。
冒頭、司会F氏から書記官面接が実現できなかったことへの遺憾の意が表明され、「弁護人と被告は書記官面接ができると聞き連絡したら、過去面接要請は例がなくそういう制度はないと言われた」と藤田氏が質すと、「担当書記官が了解すれば可能ということだ」と矢後氏は答え、理解の齟齬については次回に回答をもらうことになった。
次に「要請書・葛飾事件判決に対するペンクラブ声明・葛飾事件判決に対する日弁連コメント・朝日、毎日、東京各紙の社説」を提出し、5人の裁判官に必ず読んでいただきたいと要請した。
加藤弁護士は、上告書類は2009年1月26日提出、本日は事件に関心ある市民などの要請行動であること、この裁判は「表現の自由」に関する重要案件で、事件は都教委の教育行政の変化に起因する「教育の自由」に関わる論点をも含むものであるから旭川学テ判決をふまえ、口頭弁論を開き、慎重、公正に審理してほしいと要請した。最高裁が上告棄却した「葛飾事件」11月判決への批判も大きく、布川事件・足利事件再審という今、司法に対する世論は厳しい。刑事司法においては、証拠を慎重に審査すべきであると述べた。
藤田氏は事実関係に明らかな間違いがあると訴えた。校長の歩く速度を「10秒で8m33㎝」と異常に遅くした判決には矛盾が生じ、加えて土屋都議による供述調書でっち上げもあるので事実関係の精査をと要請した。
次に、40分もかけた高裁判決読み上げ中に傍聴席がざわついたのは、原判決には時間的に不可能なことも盛り込まれ、「保護者に起立を求める」などおかしな点があったので傍聴者も疑問を感じたからだと訴えたH氏は、「葛飾事件」との違いにも触れ、藤田事件は憲法21条に直接関わり「表現そのものを処罰することの憲法整合性」が問われているのだと述べた。
その後現職・退職教員が発言した。
藤田事件は10.23通達に起因するものであり、処分を背景に教育が行われることを考えてほしい。
ひとつの判決が現場に及ぼす影響は大きい、裁判官は判決を出すことの重さを自覚してほしい。
開式前にトイレに行き数分遅れることや「日の丸・君が代」が徹底されないことの責任を担任が問われるという状況は、正常な「教育の場」とは言えない。
現場では卒・入学式の5分、10分遅れは日常茶飯事である。
権力を持たないものが裁判所に要請するのは、事実と異なることでの裁定に異議があるからだ。
30分という短い制限時間の中で、学校現場の実情についての発言が続いた。
一般市民の発言もあった。
十分な証拠調べなしのこじつけ判決で、裁判官が事実を見ようとしていない。罪状の根拠となっている開式2分遅れは、市民感覚でも誤差の範囲、なぜ「威力業務妨害」なのか。十字架を象った国旗を持つイギリスでは、多様な宗教、民族が存するがゆえに国旗国歌の強制はしていないことが語られた。
「言論・表現の自由を守る会」は、藤田事件・葛飾事件等を犯罪とすること自体がとんでもないことであると述べた。
司会F氏の終盤での発言は、10.23通達後の実態をよく伝えるものだった。
「私や藤田氏は敗戦時、3、4歳。戦後教育スタートとともに学童期を過ごした私たちが退職する頃、教育現場に大きな変化が生じ始めていた。
廃校を控えた島嶼の都立高校定時制最後の卒業式を経験した。たった1人の30歳代の卒業生は卒業式に不参加、式後の祝う会には参加した。後日その気持ちを聞く機会があった。自分が卒業式に参加することにより学校に不都合な事態を招くことをこの青年は危惧したのだ。不起立の先生方が処分されるかもしれないと。こんな小規模校にも10.23通達は大きな権力となった」
とまとめたF氏は、最後に矢後氏に語りかけた。
「我々の気持ちを汲んでいただき、今日の要請の思いを書記官等に伝えてほしい。培ってきた戦後の積み重ねを覆すことのないように」と。
加藤弁護士によると、涌井裁判官死去、甲斐中裁判官定年退官に伴い、新しい裁判体で審理やり直しとなり、判決までしばらく時間がかかりそうだということだ。
年末申し入れた「調査官面接要請」に対しては、「現時点では必要を感じていないが、将来必要があれば連絡する」と加藤弁護士に回答があったとのことである。これは将来に含みを持たせた珍しい対応だそうで、弁護団は「上告趣意補充書」作成に着手する意向とのことだ。少なくとも門前払いではないという一条の光を期待はするが、最近の「君が代」関連・ビラ事件関連の判決を鑑みれば、藤田事件最高裁判断にはまだまだ予断を許さない状況があることは間違いない。引き続き要請行動等を重ねていかねばならないだろう。 (郷まどか)
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