◆ 「日の丸・君が代」処分-都教委敗訴
裁量権逸脱で、処分取消 (週刊新社会)
信教の自由を語る岸田さん
定年退職直前の卒業式での"君が代"ピアノ不伴奏により、東京都教育委員会に停職1か月(のち、都人事委員会が減給に修正)の処分を受けた岸田靜枝・元豊島区立小学校教諭(65歳)が取消しなどを求めた裁判で、東京地裁・清水響(ひびく)裁判長は10月8日、都教委に処分取消しを命じる判決を言い渡した。
岸田さんはクリスチャンとしての信仰上の理由等から"君が代"伴奏はできないと繰り返し伝えていたが、小久保進校長(当時)が職務命令を発出。予行時から別の女性教諭がピアノ伴奏し、2010年3月25日の式当日もその教諭の伴奏で進行したが、都教委は過去4回の不起立等の処分との累積を理由に停職1か月処分を発令。岸田さんは現役最後の31日、停職欠勤にされた。
判決は職務命令については、「原告の信教の自由の制約となる面はある」と認めつつ、「秩序確保、式典の円滑な進行を図る必要性」などの理由で、「当該制約を許容し得る程度の必要性及び合理性が認められる」とし、「憲法第20条に違反するといえない」と判じた。
しかし処分量定については、「減給以上とする相当性を基礎付ける具体的な事情が認められるとまではいえない」とし、「裁量権の範囲を超え違法。取り消されるべきものである」と判じた。
司法記者クラブの会見で、筆者が「4回目以降減給にされ続けている田中聡史・都立学校教諭の処分への、本判決(5回目でも戒告超の処分は違法)の影響」を問うと、高橋拓也弁護士は「歯止めになる」と明言。岸田さんは「判決をもらい、今後につなげられる道路の石ころの1つになった気持ちです」と語った。
一方、中井敬三都教育長(59歳)は「判決は誠に遺憾。今後、内容を確認し訴訟対応をとっていく」とのコメントを出した。
『週刊新社会』(2015/11/3)
裁量権逸脱で、処分取消 (週刊新社会)
永野厚男(教育ジャーナリスト)
信教の自由を語る岸田さん
定年退職直前の卒業式での"君が代"ピアノ不伴奏により、東京都教育委員会に停職1か月(のち、都人事委員会が減給に修正)の処分を受けた岸田靜枝・元豊島区立小学校教諭(65歳)が取消しなどを求めた裁判で、東京地裁・清水響(ひびく)裁判長は10月8日、都教委に処分取消しを命じる判決を言い渡した。
岸田さんはクリスチャンとしての信仰上の理由等から"君が代"伴奏はできないと繰り返し伝えていたが、小久保進校長(当時)が職務命令を発出。予行時から別の女性教諭がピアノ伴奏し、2010年3月25日の式当日もその教諭の伴奏で進行したが、都教委は過去4回の不起立等の処分との累積を理由に停職1か月処分を発令。岸田さんは現役最後の31日、停職欠勤にされた。
判決は職務命令については、「原告の信教の自由の制約となる面はある」と認めつつ、「秩序確保、式典の円滑な進行を図る必要性」などの理由で、「当該制約を許容し得る程度の必要性及び合理性が認められる」とし、「憲法第20条に違反するといえない」と判じた。
しかし処分量定については、「減給以上とする相当性を基礎付ける具体的な事情が認められるとまではいえない」とし、「裁量権の範囲を超え違法。取り消されるべきものである」と判じた。
司法記者クラブの会見で、筆者が「4回目以降減給にされ続けている田中聡史・都立学校教諭の処分への、本判決(5回目でも戒告超の処分は違法)の影響」を問うと、高橋拓也弁護士は「歯止めになる」と明言。岸田さんは「判決をもらい、今後につなげられる道路の石ころの1つになった気持ちです」と語った。
一方、中井敬三都教育長(59歳)は「判決は誠に遺憾。今後、内容を確認し訴訟対応をとっていく」とのコメントを出した。
『週刊新社会』(2015/11/3)
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