パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

◆ 「奥野さんを支える叫ぶ石の会」通信『CRYING STONES 33号』

2023年05月15日 | 「日の丸・君が代」強制反対

◆ 合理的配慮無視の処分撤回裁判判決
5月17日(水)午後1時半大阪地裁809号法廷
判決後、午後2時半より大阪弁護士会館904で報告集会を行います。
多くの皆様の傍聴支援をよろしくお願いします。

  =石ころがゆく 33 奥野泰孝=
 ◆ 「となり人とは?」と考えて

 私は「敬虔なクリスチャン」などと言われると「違う」と思う。実際の私を知っている人は決して「敬虔な」とは言わないのである。
 社会人になって1年目、このままでは倒れて起き上がれなくなるだろうという状態を助けてもらうために教会に行きだしたのだ。クリスチャンとして生きようと決めた後、「偽善者」という思いに悩まされる。信仰の先輩は「偽善でもいいやん、神の役に立つなら。」と言ってくれて、少し肩の荷は下りた。「自分は何がしたいか、神は私に何をしろと言われているか」が大事なことになった。

 社会の為、他人の為にしていると言うのは何か後ろめたい。自分が利益を得ているのを隠してしているのではないか、という思いが湧く。「偽善」で悩んだことと同じでここに囚われるのはよくない。自分のやりたいことをやって、他人が喜んでくれたり社会が生きやすくなるのがうれしい。最近思うのは「となり人」として人と関わり続けることが楽しい、生きがいというものだということ。

 四角柱Aの底面に欠けが出来て、左に10度傾いた時、倒れないように、隣の四角柱Bが右に10度傾いて柱と柱がもたれ合って倒れない状態にすることができる。Aの底面の欠けが直るまで支え合っている時は、どちらも他者の助けで立っているのである。AもBも他者から力を得ている。AもBも「よきとなり人」なんだと思う。よきとなり人となる条件は、となり人が倒れそうな時、自分も傾いて寄り添うとなり人になる心の準備ができているかどうかなんだと思う。

 教えるって、教えられること。支えるって支えられること。助けるって助けられること。支援するって支援されること。
 重力に逆らえないように、「これしかない」という行動をしていきたい。決して流されるということではない。

 「国歌斉唱」時立てなかったのも、「これしかない」という選択だった。自分自身の信仰による支えを失わないために「起立できない」ということは個人的にあった。またそれは、「この社会で生きていく一つの姿を学校の生徒に見せる」という教員としての選択でもあった。そして、今回の裁判での「不起立」は、発作を起こすかもしれない生徒を守るために最善の選択として「となりで座り続けた」ということであった。生徒A君と担任の私はとなり人として支え合う関係になっていたのだ。肢体不自由で他者とのコミュニケーションもスムーズにいかないA君が、周りのほとんどが起立する中で、座ったままでいることで、どれほど不安になるか私は共感できる体験を持っていた。

 私は信仰によって、そして教員としての信条によってそれまでの卒業式・入学式で立てなかったのだが、その時の少数者としての不安と緊張は、本来のその行事の趣旨を味わいにくくさせて来たのだ(本来、卒業式・入学式は「君が代強制反対」を表明するための行事ではないのである)。
 A君は車イスに座ったままで「国歌斉唱」の時を過ごした。これしかできないという選択である。担任の私はA君のとなり人として支え合うために座っていたのである。この時は一人で座ったのではなく、A君と支え合って座ったのである。

 聖書にある記事に由来する「善きサマリア人の法」というのがある。
 「災難に遭ったり急病になったりした人など(窮地の人)を救うため誠実に善意の行動をとった場合、たとえ失敗しても責任を問われない」という趣旨の法律でアメリカ・カナダ・オーストラリアなどにはあるが日本にはない。
 これは、人を助けるためにやむにやまれずとった行為が結果によらず責められないための法である。「となり人」の関係を支える法と言える。

 ◆ 帰還の行進

 最近、テレビのドキュメンタリーでパレスチナのガザ地区の「帰還の行進」の状況を教えられた。
 ガザの住民が土地や家の権利を求めて教会までデモ行進するのだが、銃で撃たれ負傷する若者が続出する。命を落とす者もいる。脚を切断する者も大勢いる。毎週繰り返され、毎金曜は病院に大勢のけが人が担ぎ込まれる。
 医師自身も心に傷を受けながら、治療と外科手術を次々にこなさなければならない。治療を受けている片足を切断した若者は痛みはあっても「帰還の行進」に参加したことに後悔は無いようだった
 医者も「帰還の行進」をやめるようには言わない。やむにやまれぬ行為だと分かっているから(悲しいのはできることの選択肢が少なくて、「帰還の行進」がされていることだ)。
 この若者も医者もとなり人だ。自由のために支え合って闘っている人々は美しく見える。ここで若者に「早く大人になれよ」という医者がいたら、おかしな人間だと思われるだろう。
 しかし、日本では、「君が代」不起立者に対して「早く大人になりなさいよ」と助言したりする人が常識のある人と思われる空気がある。


「奥野さんを支える叫ぶ石の会」
連絡先:〒659-0051 兵庫県芦屋市呉川町2-5
芦屋福音教会内 大久保正道気付「叫ぶ石の会」
E-mail: luke19_40cry@yahoo.co.jp
ゆうちょ振込口座番号:00950-5-257182

『CRYING STONES 33号』(2023年4月)
https://acrobat.adobe.com/link/review?uri=urn:aaid:scds:US:142708c2-f32a-32fa-80e0-c1b6d083bc65

 


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