パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

ノーベル文学賞は、ベラルーシのアレクシエービッチ氏

2015年10月13日 | フクシマ原発震災
 ◆ アレクシエーヴィチ著『チェルノブイリの祈り』(岩波現代文庫)

 ◆ 日本でノーベル文学賞受賞者の『チェルノブイリの祈り』が追加出版へ (sputnik news)
 8日、ベラルーシの作家、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ氏のノーベル文学賞受賞が発表されたことを受け、アレクシエーヴィチ氏の『チェルノブイリの祈り--未来の物語』の発行元である岩波書店は、書店からの多量注文に答えるため、版の追加印刷を行っている。岩波書店販売部のオクノ・マコト部長がリアノーボスチ通信に対して明らかにした。
 オクノ販売部長は追加印刷は10月20日までに出来上がり、それから書店への配布が開始されると語っている。現在、『チェルノブイリの祈り』は完売で、岩波書店の倉庫には1冊も残っていない。
 本ではアレクシエーヴィチ氏の本は『チェルノブイリの祈り』以外にも『戦争は女の顔をしていない』(三浦みどり訳、群像社)、『ボタン穴から見た戦争』(訳者:三浦みどり、群像社)、『死に魅入られた人びと』(松本妙子訳、群像社)『アフガン帰還兵の証言-封印された真実』(三浦みどり訳、日本経済新聞社)などが邦訳されている。
 『チェルノブイリの祈り』は2011年、全世界が福島第1原発の事故で震撼した年に再版された。福島の悲劇はチェルノブイリ原発事故とよく比較されている。リアノーボスチの東京特派員が調べた範囲では、現在日本の書店でアレクシーエヴィチの本を見つけることは不可能。大手インターネットショップのアマゾンでも現在は在庫切れで補填までは数週間かかると掲示されている。
『sputnik news』(2015年10月09日)
http://jp.sputniknews.com/culture/20151009/1011515.html
  《3・11より4年前(2007年)の書評》
 ◆ お薦めしない本・・・「チェルノブイリの祈り」
(熊谷さとしのフィールドニュース!!)

 チェルノブイリの本を読んでいる。
 「えっ、今更?」と言われるかも知れないが、この本は事故後10年目に出た本だ。だからこそ、当事者がぼちぼちと真実を話し始めたインタビュー形式の本だ。
 原子炉の消火に日本とアメリカのロボットが活躍した・・・しかし放射能で故障してしまい、5分しか使えなかった・・・こんなジョークがある。
 「日本とアメリカのロボットは5分で壊れた・・・しかしソ連のロボットは二時間動く・・・」と、なぜならソ連はロボットではなく人間だったからだ。
 その人間でさえ二時間しか持たなかった(本来は40秒でも危険なのだが・・・・妨害工作の爆発だと伝えられていたから、Tシャツ1枚で、ぐじゅぐじゅしている核燃料の上で消火作業をしていたという・・・へぇっ、核燃料って「ぐじゅぐじゅしている」んだ・・・・)
 「チェルノブイリのリンゴは大きくておいしそうだけれど、食べても平気ですか?」
 「いいですよ、でも、食べ残しは深く土に埋めてください」・・・これもジョークだ。

 カラオケ・ツナミという言葉は世界共通語になっているけれど、ロシアでは「ヒバクシャ」という言葉が普通に使われている。当時被爆者達は、こぞって広島長崎のことを(被爆したであろう自分たちの「その後」という意味で)知りたがったが、事故直後に全ての図書館から原爆関係の本が撤去された。
 俺は幸い、「生き地獄」というのを経験したことはない・・・広島・長崎・コソボ紛争・スペイン内乱・ルワンダ内戦・ホロコースト・硫黄島・沖縄戦・・・文献や映像で自分なりに理解するだけだ。それとて、どこまで理解できているかは、はなはだ疑問だけれど。
 チェルノブイリの映像はいろいろ出ており、俺もいくつか持っているので検証したけれど、ウソばっかりだよ。(今だからこそ「ウソだった」というのがわかる)
 俺らは「たいした事故ではないし、原発事故というのは人の力でナントカできる」という、世界に向けてのウソの「プロパガンダ映像」を見せられていただけだったのだ。
 今まで文献や映像で知った全部の悲劇がこの本に詰まっている。しかもそれは過去のことではなく今も進行していることなのだ。
 ・・・この本はキツイ・・・今現在、この本が出版されてから10年目、事故後20年目なわけだけれど、この本で「・・・でも、もうあの人達は死んでいるでしょう・・・」と取材に語った本人さえも、死んでいる。だからこそ「今更」ではなく、20年後に読む意味があると思った。
 チェルノブイリ地域の人達は、(今は「チェルノブイリ人」という差別用語にくくられており、子どもを産むことは「罪」とされている)「ソ連の原発は世界一安全だ」「赤の広場に作ってもいい」「夢のエネルギーだ」「白い服を着た立派な人たちがボタンを押している」・・・ということを信じていた人たちだ。
 ◆ 現在の日本人と全く同じではないか? 
 今の日本で「原発のことはしっかり考えないと・・・」と言ったら、そう言う人のことを恨むだろう、まるで旧約聖書の「ノア」扱いなのかもしれないな。
 当時、チェルノブイリの人たちは「スウェーデンの野郎が余計なことさえ言わなければ・・・」と、スウェーデンを恨んでいた・・・なぜならば、事故の2日後、スウェーデンの原発が、空気中に異常な高濃度の放射能を感知したために事故が発覚し、公表せざるを得なくなったのだ。
 スウェーデンさえ余計なことを言わなければ、ソ連は事故を隠したまま、普通にメーデーを祝っていられたのだから・・・・。
 だからこの本はお薦めしない・・・「フィクションだよね」と思える人だけ読めばいい。

 では「教訓」になっているのだろうか? 事故の資料はアメリカが全部持っていった・・・「原発が危険なのではなく、原発従事者が未熟だったための事故」という結論にするという条件で、取り引きしたのだ。
 米ソ(古い言葉だが、当時はね)の原潜が沈んでも、お互いに「原因を追及しないことにしようね」、「引き上げないこと」という取引と一緒だ。
 そう、ちょうど「731部隊」の資料を全部提出する代わりに、彼等を「戦犯」には問わない。と取引したのと同じだ。その連中は死刑にならず、各医大の重鎮だったり、例の「ミドリ十字」の役員に収まった。
 「見えないことは信じない」・・・放射能は見えない・・・(はずなのだが、セシウムのかけらが青や赤に光って庭に落ちていたという・・・「ラジウム」を発見したキューリー夫人も「青く光る」と言っている、キューリー夫人は晩年、人前では帽子を脱がなかった・・・エジソンやウィルバー・ライト(ライト兄弟の)の葬式でも脱がなかったそうだ、おそらく髪の毛が抜けて禿げていたのだろうな)
 
 チェルノブイリ事故の消火に使ったヘリコプターや車両は、被爆墓場に捨て置いてあったはずなのだが、10年後には全て誰かが持ち去っていた・・・・。
 放射能に汚染されたウシもウマもブタもトナカイも全て処分された・・・はずだった・・・しかし処理場に運ばれてくるウシのヒレ肉とモモ肉は全部切り取られていたそうだ。
 我が国でも「ミートホープ」のような食肉業者ならやりそうなことではないか。
 福井県で養殖ハマチが放射能排水で汚染されたことがあった・・・背骨が曲がったり鱗がはげ落ちたハマチを処分するために、浜辺に積み上げていたら、ある大手スーパーのトラックが持ち去ったのだそうだ。
 ワカメが原発の放射能漏れ排水に汚染されたために、漁師は電力会社から莫大な補償金を受け取っておきながら、そのワカメを塩漬けにしておいて、事故のほとぼりが冷めた頃に売りに出したことがあった・・・「このように、原発を誘致すれば二倍儲かるのです」と宣う市長がいるのが我が国だ。
『熊谷さとしのフィールドニュース!!』(2007年09月30日)
http://blog.livedoor.jp/kumagai_satoshi219/archives/51146170.html
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