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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

高校で「日の丸・君が代」を学習すると反対意見が増える

2021年03月02日 | 日の丸・君が代関連ニュース
  =千葉高教組「日の丸・君が代」対策委員会『ひのきみ通信』から=
 ◆ この一年間と「日の丸・君が代」問題の授業実践
千葉県立高校の社会科教員

 最初に、この一年間の国旗や国歌に関する話題を3つ紹介する。
 昨年6月に香港立法会が多くの抗議する市民を逮捕して国歌条例を可決した。中国国歌の替え歌を禁止し、学校や公的行事での斉唱を義務づけ、違反者には禁固刑と罰金を科すものである。
 その後も香港国家安全維持法の猛威で統制が強まり、「一国二制度」たる香港の自治は風前の灯火と言われている。
 日本の国旗国歌法では尊重規定や罰則はないが、学習指導要領で式の掲揚斉唱を義務づけ、東京のように通達で教職員の起立斉唱を強制し大量処分したり、大阪のように条例化でクビをちらつかせ口元チェックまでする自治体もある。香港の「風前の灯火」は他人事ではない。
 アメリカでは昨年5月の白人警官による黒人暴行死事件に端を発するMLB運動の高揚で、2016年NFLの試合前国歌斉唱時に人種差別に抗議して片膝をつき排除されたコリン・キャパニック選手に対し、6月コミッショナーが「平和的な抗議への沈黙は誤りだった」と謝罪した
 7月開幕の米大リーグや8月再開のNBAの試合でも国歌斉唱中に片膝をつく選手が続いた。
 大坂なおみ選手の9月全米オープンでの抗議行動も世界中で讃えられた。
 IOCも五輪での選手の抗議表明への対応に関して今年3月までに提言をまとめるとしている。
 スポーツ選手に負けないよう、私たち教職員や生徒の「思想良心の自由」「意見表明権」への関心が高まるよう努力しなければならない。
 今年1月1日にはオーストラリア国歌の歌詞の一部を変更した
 英国王が元首のオーストラリアは1901年豪州連邦成立以来、イギリス国歌を国歌としてきた。その後1984年に今の国歌に変えたが、歌詞の一番冒頭が1788年イギリス入植開始の歴史を反映して「私たちは若くて自由だ(We are young and free)」だった。67000年以上前から住む先住民にとって「若い国」ではないと2006年から歌詞を変える運動が続き、今回「私たちは一つで自由だ(We are one and free)」に変更した。
 国歌の歌詞の意味や歴史にこだわり続け、より多くの国民の支持を得られるよう改善する努力を日本も学ぶべきである。
 次に、今年度の現代社会(三年生)の「日の丸・君が代」問題をテーマとする授業実践を報告する。
 生徒は卒業式に関するニュースやビデオ映像には関心が高い。今まで経験した厳粛で画一的な儀式とは全く違う、かつての東葛飾・小金・国府台高校などの卒業式(「生徒主体」「対面式」「制服じゃない学校」)を見て驚き、「卒業式とは何か?」「国旗・国歌とは何か?」を改めて考える良い機会となる。
 ほとんどの生徒はこれまで「日の丸・君が代」について学習していない。卒業式・入学式つまり学校教育の問題であるはずなのに避けられている。
 授業(5時間)内容は次の通り。新聞記事等のプリントを多用した。
1.「日の丸」(日章旗)の図柄の意味と歴史(幕末・戦争で普及)
2.「君が代」の歌詞の意味と歴史(大山巌・1880年・天皇崇拝・儀式・意味変更)
3.卒業式の対立(1985年実施率、1987年読谷高卒業式、1998年埼玉県所沢高校、1999年広島県世羅高校、2001年千葉県東葛飾・小金・国府台高校、2004年東京不起立)
4.1999年国旗国歌法(「君が代」の解釈変更・尊重規定なし、国会説明、その後)
5.映画『ゆんたんざ沖縄』(1987年シグロ作品、読谷高校卒業式)、『卒業~わたしたちの新しい旅立ち~』(千葉高教組作製、東葛飾校高校等の卒業式)のビデオ視聴
 授業の最終盤で、「あなたの『日の丸・君が代』問題に関する意見」アンケートを行った。毎回、授業後は「日の丸・君が代」に反対意見が多くなる。代表的な意見を紹介する。
 [代表的な意見]
A.戦争のシンボルであった日の丸・君が代を現代人の多くが意味を知らず過ごしていることに問題があると思いました。卒業式に掲揚斉唱されるのに、生徒はもちろん先生方も全員が意味や歴史を理解しているのか? 改めて考えることが大切だと感じました。
B.大山巌が自分の名前の入った歌詞に決めたことも初めて知りました。国旗国歌法制定時には、国会議員が157人も反対してたのによく成立させたなと思いました。
C.この問題と同様に、政府が憲法第9条を変えようと思わないことを願います。

D.初めて国旗国歌の歴史や意味を学びました。国旗掲揚や国歌斉唱を義務とすることには疑問です。授業のビデオで観た学校ごとの個性があり生徒が創りあげていく卒業式は、今では考えられない形式でしたが、良いのではないかと思いました。
E.私も戦争で掲げられた旗や天皇を敬う歌を飾れ歌えと言われても納得できず反対すると思います。ただ、今の自分は行動は起こせないと思いますが、行動した読谷高校の女子生徒が如何に反対の意思が強かったかと感じました。
F.歌う歌わないは個人の自由で、処分があるくらいなら国歌斉唱をなくせば良い。私は日の丸や君が代が戦争のシンボルであった事実を学び変えるべきだと思いました。
G.日の丸や君が代には色々な考え方があるので、学校の卒業式に政治的問題を持ち込むのは良くないと思いました。
H.私は日の丸・君が代に反対です。戦争を忘れないために続けるという意見もありますが、ならば意味や歴史について小学校から教育すべきです。できないなら、戦後のドイツやイタリアのように変更すべきでした。ただ、戦後70年以上経って国民に定着したものを変えるのは大変困難です。したがって、もう一度歴史などを伝えた上で国民投票をするべきだと思います。
I.国旗国歌について初めて学びました。18年間何も知らないまま見たり歌っていたことを反省しました。このような問題があったことすら知らなかった。日本の卒業式は硬いイメージだったけど昔は笑いのある式が行われていたことも驚きだし対面式も行われ、一度体験したいし今も取り入れて良いと思った。生徒は強制じゃないとあったけど今はほぼ強制に近い感じがした。
J.授業で歴史や意味を学び、日の丸や君が代が少し嫌になりました。戦争を忘れないためにという意見もありますが、国旗国歌にしなくても忘れることはないと思います。強制せず、誰もが嫌な思いをしなくなるようにして欲しいと思いました。
K.卒業式に政治的なものを持ち込むのはおかしいので掲揚斉唱しなくて良い。日の丸や君が代の約150年の歴史はそう古くないので変えても良い。式で国旗といえども礼をするのはおかしい。
L.憲法で思想良心の自由が保障されているのに無理矢理国歌を起立し歌わされるのはおかしいし、罰則規定はないのだから処分するのもおかしいです。
M.日の丸・君が代に嫌な気持ち持つ人もいることを学び、今後大人になる上で、嫌な人もいることを踏まえて発言・行動していきたいと思いました。
N.戦争で多くの人が亡くなっているのに、国民全員が納得のいく国旗国歌を作らなかったことが原因だと思います。
O.国旗国歌を国が決めるのは悪いことではないが、歌うかどうかは個人が自由に決めた方が良いと思う。卒業式の掲揚斉唱は、主役の卒業生に投票をしてもらい多数決で決めていればこれまでの多くの事件は防げたのではないかと思う。
P.私は掲揚斉唱に賛成です。確かに戦争のシンボルですがそれも歴史として残したいからです。私たちが現在戦争しない国になり平和に暮らし学校に行けるのは、第2次世界大戦などの戦争で国のために戦って下さった人がいたからこそだと思っています。変えてしまったら命をかけ戦った方々が報われないと思います。しかし、強制するのは戦前日本と同じになってしまうので歌う歌わないは自由で良いと思います。
Q.国旗や国歌の意味や歴史を学んで、天皇はやっぱり偉大で尊重されていたと思いました。今の時代に生きている人や産まれてくる人は、絶対にこの日本でどんなことがあったのか、戦争の怖さや今がどれだけ平和なのか気づかないといけないと思うので、日の丸・君が代を通して知って欲しいと思います。
R.戦争で罪なき命が奪われたことを思い浮かべるためにも、卒業式や入学式に掲揚斉唱した方が良いのかなと感じました。
S.日の丸・君が代に関して自分的には反対してないです。過去に何があったとしても、国で決まったことなので君が代も歌います。
T.何気なく式や行事で飾ったり歌った日の丸・君が代にこんな歴史があって驚きました。私は歌や旗が最初から戦争目当てで作られたわけではなく、今でもズルズル続けているので、強制は良くないが歴史や戦争を風化させないために続けた方が良いと思います。
千葉県高等学校教職員組合「日の丸・君が代」対策委員会
『ひのきみ通信 第226号』(2021年2月20日)
http://hinokimitcb.web.fc2.com/html/21/226.htm#%E6%8E%88%E6%A5%AD
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