☆ <参考までに『列子』より>
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第二次世界大戦後まもなく80年になる。
世界は再び大動乱の時代に入りつつある。
最近、『列子』という本を読んでいたら、以下のような文章に出会った。参考までに紹介します。
関心のある方はお読みください。
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厳恢(げんかい:列子の弟子?)が、
「我々は何のために学問しているのかというと、それは富有の身になりたいからである。
ところが、考えてみると、直接珠玉を手に入れても、富有という点では同じである。
何も学問して宇宙の法則を悟るなどということをする必要はないではないですか」
と言ったところ、列子先生は、次のように答えられた。
「昔、夏(か)の桀王(けつおう)や殷(いん)の紂王(ちゅうおう)は、
ただ利益ということだけを重く考えに置いて、法則を修めることを軽視した。
そのために国家の滅亡を招いてしまった。
幸いにして、私はまだこの道理を君に教えてなかった。
一体、人間でありながら、道理にかなうということを無視してしまったら、
残るのはただ腹を満たすという問題だけである。
そうなると、鶏や犬ころのような家畜類と、少しも相違のないものになってしまう。
争って腹を満たし、互いに力をきそい合って、
勝ったものが他を押さえてゆくといって世界は、鳥獣の世界と同じである。
家畜や鳥獣と同じでありながら、なお他人が自分を尊敬するようにと願ったとて、到底かなうことではない。
それどころか、人が自分を尊敬しないとなると、身の危険や恥辱の類が迫ってくることになるであろう」と。
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(明治書院・新釈漢文大系22『列子』362~363ページより)
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