《都庁で働く皆さま 都民の皆さま》 2012年8月23日号
■ 「君が代」不起立教員に対する「再発防止研修」
~今年から極めてひどいものに! 実に5ヶ月にわたる思想転向の強要
「君が代」不起立で処分された教員に対し、都教委は服務事故再発防止研修なるものを行ってきました。再発防止研修の始まった2004年に処分を受けた教員たちがこの執行停止を求めたところ東京地裁は、執行停止は認めなかったものの、「繰り返し同一内容の研修を受けさせ、自己の非を認めさせようとするなど、公務員個人の内心の自由に踏み込み、著しい精神的苦痛を与える程度に至るものであれば、そのような研修や研修命令は合理的に許容される範囲を超えるものとして違憲違法の問題を生じる可能性があるといわなければならない」(2004年7月23日決定)と判断しました。
それがあってか、都教委はこれまで、再発防止研修は実施するものの、やりたい放題はできずに来ました。
ところで、今年1月に出された「君が代」不起立処分取消の最高裁判決が、「戒告を超える重い処分」は原則違法としたことにより、都教委はこれまでの2回不起立で減給1か月にはじまり、4回不起立で停職1カ月、6回以上の不起立は停職6ヶ月としてきた累積加重処分を改めざるを得なくなり、この春の処分は複数回の不起立でも戒告処分に止めました。
しかし、この最高裁判決は、「不起立行為の前後における態度等」がよくなければ「戒告を超える重い処分」も可、と読み取れるものだったことから、都教委はそこを利用したのでしょう。再発防止研修を回数、内容、方法ともに、まさに受講者を屈服させるものに変えました。
■回数:回数は、従来は都教職員研修センターで1回(複数回の不起立者は2回)だったのが、今春の卒・入学式続けての不起立者については、都教職員研修センターで3回(4/5、5/7、8/31)、研修センター管理主事らが学校に出向いてが3回、校長によるものが毎週1回(4~8月までで20回)とされました。
不起立教員は、再発防止研修の嵐の中に5ケ月もの間置かれています。
■内容と方法:内容は、従来は「地方公務員法(服務規律)について」でしたが、今年度からは、「教育における国旗掲揚及び国歌斉唱の意義と教育者としての責務について」を加えました。都教委がこれまで踏み込まないとしてきた、「日の丸・君が代」そのものに踏み込み、教員としての責務を問うまでに及びました。
従来は受講者の意見に主催者側が評価を下すことや主催者側の正解を示すということは一切ありませんでした。しかし、今年の受講者に対しては、それをしたのでした。
例えば、「『法令や命令に伴って、公務員としての義務が定められることを踏まえ、今後どのように職務を遂行していこうと思いますか』という設問に、あなたは『一部の奉仕者ではなく全体の奉仕者として職務を遂行したい』と書いているが、『教育公務員として法令や上司の職務命令に従って職務を行っていく』と確認したかった」、「『教育公務員は学習指導要領に基づき、教育課程の適正な実施に向けて校長が発出した命令に従い教育活動を行う責務がある。このことを踏まえ教育公務員としてどのように職務を遂行していこうと思いますか』という設問に『憲法ならびに諸々の法令を理解し、職務を遂行したい』とお書きだが、校長が教育課程の適正な実施のために職務命令を発出しているのだから、それを守るべきであることを確認したかった」などというものでした。
この対応を見ると、都教委は「校長の職務命令に従う」という以外の答えをする受講者に対しては、研修の効果があがらなかったとするのではないか、と懸念します。
東京地裁は2005年には、「自己の思想・信条に反することはできないと表明する者に対して、なおも職務命令や研修自体について、その見解を表明させ、自己の非を認めさせようとするなど、その内申に踏み込み、著しい精神的苦痛を与える程度に至るものであるならば、これは、教職員の水準の維持向上のために実施される研修の本質を逸脱するものとして、教職員の権利を不当に侵害するものと判断される余地はある」(7月15日決定)と判じていますが、今年の再発防止研修は、まさにこの指摘通りのものです。
今年の再発防止研修は、「正しい教育」をしようとする教職員がその信念を放棄するまで執拗かつ強行に「研修」を行い、これに従わず、不起立を繰り返した場合には、「不起立行為の前後における態度等」を不良と見なし、「戒告を超える重い処分」を選択可とする、さらには、「教員としての資質に欠ける」として分限免職処分を行うのではないか、非常に心配です。
都教委は、子どもたちが「日の丸・君が代」に“畏敬の念”を持つように、不起立する教員を処分し、再発防止研修を行っていますが、このようにしてもの言う教員を弾圧し排除していくのは、子どもたちの成長に大きなマイナスとなります。
世の中には多様な考えがあることを知り、それを通して自己の考えを形成する過程にある子どもたちが、「日の丸・君が代」についても対立する考えがあるにもかかわらず、そこに蓋をされ、知り考える機会を奪われ、「尊重」の価値観だけを植え付けられるのは、自己の考えを形成する権利が侵害されることです。私たちが「日の丸・君が代」の強制や処分、再発防止研修に反対する第1の理由は、まさに、ここにあります。
※お知らせとお誘い
8月31日 8:45~ 再発防止研修 中止要求と抗議および当該激励
都教職員研修センター前(水道橋東口 工芸高校東隣)
16:00~ 都教委包囲行動
都庁第二庁舎前(都庁通り)にて 主催:都教委包囲首都圏ネットワーク
メインスローガン:10・23通達撤回! 「君が代」不起立処分撤回!
河原井さん・根津さんらの「君が代」解雇をさせない会
国立市北1-2-12 多摩教組気付 Tel/Fax 042-574-3093
http://homepage2.nifty.com/kaikosasenaikai
■ 「君が代」不起立教員に対する「再発防止研修」
~今年から極めてひどいものに! 実に5ヶ月にわたる思想転向の強要
「君が代」不起立で処分された教員に対し、都教委は服務事故再発防止研修なるものを行ってきました。再発防止研修の始まった2004年に処分を受けた教員たちがこの執行停止を求めたところ東京地裁は、執行停止は認めなかったものの、「繰り返し同一内容の研修を受けさせ、自己の非を認めさせようとするなど、公務員個人の内心の自由に踏み込み、著しい精神的苦痛を与える程度に至るものであれば、そのような研修や研修命令は合理的に許容される範囲を超えるものとして違憲違法の問題を生じる可能性があるといわなければならない」(2004年7月23日決定)と判断しました。
それがあってか、都教委はこれまで、再発防止研修は実施するものの、やりたい放題はできずに来ました。
ところで、今年1月に出された「君が代」不起立処分取消の最高裁判決が、「戒告を超える重い処分」は原則違法としたことにより、都教委はこれまでの2回不起立で減給1か月にはじまり、4回不起立で停職1カ月、6回以上の不起立は停職6ヶ月としてきた累積加重処分を改めざるを得なくなり、この春の処分は複数回の不起立でも戒告処分に止めました。
しかし、この最高裁判決は、「不起立行為の前後における態度等」がよくなければ「戒告を超える重い処分」も可、と読み取れるものだったことから、都教委はそこを利用したのでしょう。再発防止研修を回数、内容、方法ともに、まさに受講者を屈服させるものに変えました。
■回数:回数は、従来は都教職員研修センターで1回(複数回の不起立者は2回)だったのが、今春の卒・入学式続けての不起立者については、都教職員研修センターで3回(4/5、5/7、8/31)、研修センター管理主事らが学校に出向いてが3回、校長によるものが毎週1回(4~8月までで20回)とされました。
不起立教員は、再発防止研修の嵐の中に5ケ月もの間置かれています。
■内容と方法:内容は、従来は「地方公務員法(服務規律)について」でしたが、今年度からは、「教育における国旗掲揚及び国歌斉唱の意義と教育者としての責務について」を加えました。都教委がこれまで踏み込まないとしてきた、「日の丸・君が代」そのものに踏み込み、教員としての責務を問うまでに及びました。
従来は受講者の意見に主催者側が評価を下すことや主催者側の正解を示すということは一切ありませんでした。しかし、今年の受講者に対しては、それをしたのでした。
例えば、「『法令や命令に伴って、公務員としての義務が定められることを踏まえ、今後どのように職務を遂行していこうと思いますか』という設問に、あなたは『一部の奉仕者ではなく全体の奉仕者として職務を遂行したい』と書いているが、『教育公務員として法令や上司の職務命令に従って職務を行っていく』と確認したかった」、「『教育公務員は学習指導要領に基づき、教育課程の適正な実施に向けて校長が発出した命令に従い教育活動を行う責務がある。このことを踏まえ教育公務員としてどのように職務を遂行していこうと思いますか』という設問に『憲法ならびに諸々の法令を理解し、職務を遂行したい』とお書きだが、校長が教育課程の適正な実施のために職務命令を発出しているのだから、それを守るべきであることを確認したかった」などというものでした。
この対応を見ると、都教委は「校長の職務命令に従う」という以外の答えをする受講者に対しては、研修の効果があがらなかったとするのではないか、と懸念します。
東京地裁は2005年には、「自己の思想・信条に反することはできないと表明する者に対して、なおも職務命令や研修自体について、その見解を表明させ、自己の非を認めさせようとするなど、その内申に踏み込み、著しい精神的苦痛を与える程度に至るものであるならば、これは、教職員の水準の維持向上のために実施される研修の本質を逸脱するものとして、教職員の権利を不当に侵害するものと判断される余地はある」(7月15日決定)と判じていますが、今年の再発防止研修は、まさにこの指摘通りのものです。
今年の再発防止研修は、「正しい教育」をしようとする教職員がその信念を放棄するまで執拗かつ強行に「研修」を行い、これに従わず、不起立を繰り返した場合には、「不起立行為の前後における態度等」を不良と見なし、「戒告を超える重い処分」を選択可とする、さらには、「教員としての資質に欠ける」として分限免職処分を行うのではないか、非常に心配です。
都教委は、子どもたちが「日の丸・君が代」に“畏敬の念”を持つように、不起立する教員を処分し、再発防止研修を行っていますが、このようにしてもの言う教員を弾圧し排除していくのは、子どもたちの成長に大きなマイナスとなります。
世の中には多様な考えがあることを知り、それを通して自己の考えを形成する過程にある子どもたちが、「日の丸・君が代」についても対立する考えがあるにもかかわらず、そこに蓋をされ、知り考える機会を奪われ、「尊重」の価値観だけを植え付けられるのは、自己の考えを形成する権利が侵害されることです。私たちが「日の丸・君が代」の強制や処分、再発防止研修に反対する第1の理由は、まさに、ここにあります。
※お知らせとお誘い
8月31日 8:45~ 再発防止研修 中止要求と抗議および当該激励
都教職員研修センター前(水道橋東口 工芸高校東隣)
16:00~ 都教委包囲行動
都庁第二庁舎前(都庁通り)にて 主催:都教委包囲首都圏ネットワーク
メインスローガン:10・23通達撤回! 「君が代」不起立処分撤回!
河原井さん・根津さんらの「君が代」解雇をさせない会
国立市北1-2-12 多摩教組気付 Tel/Fax 042-574-3093
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