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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

《反原発》 汚染者負担原則

2011年10月18日 | フクシマ原発震災
 国学院大学経済学部教授 市民エネルギー研究所 菅井益郎さんに聞く <上>
 ▼ 《反原発》 汚染者負担原則


 福島原発事故から3カ月がたった6月12日、私は南会津で、南相馬からの避難者を前に講演しました。
 避難者の皆さんは、復興を手伝ってもらいたいと言う南相馬市長に対して、放射線量が高いのに帰れるのか、除染しても危険ではないかなどと激しく迫りました。
 私は場合によっては帰れない人のために避難する権利、生きる権利は認めるべきだと話しました。
 事故から6カ月たっても第一原発の1~4号機は“かけ流し”状況が続いています。冷却水が止まったり、地震が起きれば再臨界の恐れがあります。1~4号機(発電量281・2万キロワット)には6カ月後でも少なくとも7000万キロワットという膨大な残留熱が溜まっています。冷却に失敗したらすぐ溶融しかねません。
 スリーマイル島事故ではカメラを圧力容器内に入れるのに4、5年かかりました。4機が同時に破損した福島は格納容器の内部にも近づけず、安定した状態にするには相当の時間がかかります。
 簡単に除染と言いますがこれが大変です。ヨウ素やセシウム134、137など放射性物質は粘土質の土壌、コケ類、森林の幹に固着し、グラウンドや雨樋、屋根に高い線量が残ります。
 素人が高圧洗浄すると飛沫を浴びて危険です。政府は年間20ミリシーベルト以下の放射線量なら大丈夫と言いますが、とんでもない話です。
 放射線業務従事者の被曝限度は5年間で100ミリシーベルト、又は1年で50ミリシーベルト、緊急時は100ミリシーベルトだったのですが、3月14日、いきなり250ミリシーベルトに引き上げられました。
 ちなみに白血病については、50ミリシーベルト以下でも労災認定された事例があります。
 しかも文科省は学校の被曝線量の上限を1日3・8マイクロシーベルト、年間20ミリシーベルトにするとバカなことを発表しました。その根拠が一日のうち学校に8時間いて、後は家の中にいるという計算です。
 福島のお母さんたちが怒りました。ゴフマンによれば10歳以下の発ガン率は大人の10倍、0~1歳児は15倍です。
 さすがに文科省は年間1ミリシーベルトを目指すと言いましたが、20ミリシーベルトは引っ込めていません。
 法律では3カ月で1・3ミリシーベルトの被曝線量のある所は管理区域で、18歳未満は立ち入り禁止です。つまり、毎時0・6マイクロシーベルト以上は管理区域になるので、福島市をはじめ福島県の中通り地区は、全体が放射線管理区域に指定されてしかるべきだ、といえます。
 本来、被曝による健康被害や除染費用は東電がもつべきです。しかし、東電にはそのつもりはありません。市場原理や経済的ルールに照らして、汚染者負担原則が忘れられています。
 負担が大きくなれば企業活動を止めるのが資本主義の論理ですが、その原理が働いていません。
 私企業が負担できずに潰れたら、政府が払うというのが筋なのに、東電を生かし、国民に責任を押し付けるのは本末転倒です。

『週刊新社会』(2011/10/4)

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