詩人PIKKIのひとこと日記&詩

すっかりブログを放任中だった。
詩と辛らつ日記を・・

デラシネ(根無し草)の旗

2020年01月27日 | 
何年か振りの故郷の夢だった
洞爺湖行きへのバスを待っていると
なんと!猫バスが
待っている数人を置いてきぼりにして
つづれ折りの坂道をぐんぐんと登ってくる

ちらりとこっちを見ては
にっこりと微笑んでいる
憎たらしい猫バス

みんな血相を変えて
一生懸命にその猫バスを追いかけるけど
猫バスはぐんぐんスピードをあげて
はるか湖畔を一周してゆく

峠から降りてゆくと
懐かしい我が家が見える
いまは亡い父の表札のかかった
いまにも倒壊しそうな平屋の家

冬には
人間の腕ほどもあるツララが
窓一面にぶら下がってた我が家

「忘れてたわけじゃないんだ」
「生きるだけで大変だったんだ」と
懐かしい山並みを見上げながら呟いて
立ち尽くすばかりの自分がいた

デラシネ(根無し草)の旗のもとでは
明日もまた
生きることに懸命の毎日に違いない

人生の途上では誰もがデラシネ
デラシネの旗がなびく日々の途上で
たった一日しかない今日を
ただひたすら懸命に生きるしかない


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