『済みません、赤旗引用します、右翼が米国の威を借りて反米を煽るので。 投稿者:田仁 投稿日:2009年10月29日(木)14時』より全文をアップしたい。
《沖縄新基地
元首相側近が語る米軍の本音
「古くさいレーダー、レベルアップしたい」
都心のビジネス街。レンガ造りの8階建てビル最上階の一室。元首相側近の個人事務所です。秘書に付き添われて姿を見せた元首相側近。1996年に日米合意した沖縄県の米軍普天間基地返還に深くかかわりました。
「いまはすっかり現役を退き、世の中のことはわからない」。言葉とは裏腹に背筋をピンと伸ばした姿勢と口調は年齢を感じさせません。
普天間基地の話題になると、一段となめらかな口調でこう切り出しました。
「米軍は、すっかり老朽化し、古くさいレーダーしかない、陳腐化した普天間基地を手放し、最新鋭の使い勝手のいい軍事的技術のレベルアップした基地にしたかった。これが海兵隊の本音だよ」
ー提供の方便ー
話題はいきなり核心に。96年、日米が普天間基地返還を合意したとき、さかんに強調された「県民の負担軽減」。海兵隊への新基地提供の方便だったのです。少女暴行事件で、県民に迷惑かけたから移転するということはありえない、それ以前からの「既定路線」だったといいます。
普天間基地の「陳腐化」は以前から日米間で話題になっていました。
橋本龍太郎首相(当時)が「普天間基地返還」合意で語った「(返還の)決断は沖縄県民の強い要望を背景になされた。喜んでもらえると信じている」は、「県民」を海兵隊と置き換えるべきものでした。ここにあるのは「県民の負担軽減」を最大の口実に米軍への新基地提供を優先する日米安保体制への忠実な立場です。
ー1枚の図面ー
米側の用意周到ぶりを印象づけたのは、同氏が首相官邸で見せられた1枚の図面でした。名護市辺野古のキャンプ・シュワブでの海兵隊基地計画でした。大浦湾に米軍が60年代から計画していた軍港機能をもった巨大基地計画です。
ー持ち込んだのはべクテル社だ」ー
べクテル社―。原子力から宇宙、軍事部門など米国の軍産複合体で、世界最大の建設・開発企業。CIA長官、政府高官などが天下り、米軍とはとくに深い関係にあります。この計画は現行案の滑走路がV字型に対し、2本の滑走路が並行している違いだけでうり二つです。
同氏は書棚に並ぶ、かつて仕えた首相関係の書籍に視線を移しながらこんなことも。
「米軍は、移転についてヘリが離着陸できる45メートルの滑走路と最新鋭のレーダー機能があればいい、と。ところが日本政府が米側に提示したのが1300メートルの滑走路だった。民間ジェット機を飛ばしたい、建設費などで利益をあげたい地元の『要望』を理由に」
ベクテル社の計画は、当時、大浦湾のウミンチュ(漁民)の強い反対と、ベトナム戦争の戦費調達の影響で実現しませんでした。「幻の巨大新基地構想」はこうした日米間のやりとりと、全額、日本の予算で息を吹き返したのです。
帰り際、同氏は言いました。「かつて米軍が存在理由にした軍事的脅威はいまアジアにはない。米国自身が中国とも友好な関係にある。21世紀は(軍事より)平和で文化的な世界でなければならない」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-10-28/2009102815_01_1.html
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-10-28/2009102815_01_1.html
◆鳩山政権という狡猾で巧妙で稀代の策士ぞろいの羊頭狗肉的新自由主義について考察に賛成のブログ記事はー
http://critic6.blog63.fc2.com/
《長妻昭は、今回の母子加算復活の政治において、財務省を7回訪ね、首相と2回直談判に及んでいる。通常、省の大臣が財務省に出向くのは、12月の予算案が纏まった時に年に一回だけ挨拶に伺っていただけで、予算折衝途中の7回訪問は異例中の異例だと報道ステーションの番組の中で言っていた。私も、母子加算復活折衝で長妻昭が財務省の廊下を足早に歩く姿をテレビ報道で見ながら、こんな事がこれまであっただろうかと思い、長妻昭らしいなと感じたものである。マスコミにはその快事をこそ国民に伝えて欲しかった。母子加算を削ろうとする藤井裕久と財務官僚に対して、長妻昭は体を張って闘っていたのであり、7回も財務省との間を往復していたのである。マスコミは、平野博文と藤井裕久と官僚の意向に沿い、長妻昭が会見をキャンセルしただとか、「ミスター検討中」だとか、「官僚を使いこなせてない」などと誹謗中傷を記事にしている。母子加算復活に7回も往復させている藤井裕久と古川元久の卑劣については何も批判しない。財務官僚と厚生官僚の代弁者になっている。》
《鳩山由紀夫は、長妻昭を行政刷新会議の担当相に据える腹でいた。形だけ入閣させ、長妻昭の入閣で支持率を稼ごうとしたのだ。菅直人の国家戦略担当相と同じで、看板だけの実権のないポストだった。
》
《長妻昭は、鳩山由紀夫からの行政刷新担当相の就任要請を断り、年金政策を自らの手でやるため厚労副大臣のポストを希望、それを最後まで譲らなかった。長妻昭らしい。退かないのである。上司や組織の命令に簡単には従わないのだ。結局、厚労大臣は仙谷由人から長妻昭になる。鳩山由紀夫はそれを根に持ち、結局、平野博文によって徹底的にいじめ抜かれる立場を引き受けさせられる》
《労省に入った日に拍手で迎えられなかったハプニングも、閣議初日にタクシーが渋滞で遅刻した一件も、平野博文が厚労省幹部(とマスコミ)に事前に指示を出していた策謀だとしか考えられない。仙谷由人が厚労大臣に就いていたら、母子加算復活は先送りで簡単に決着が付いていただろう。母子加算の件でマスコミは財務省を叩く姿勢が全くない。ネットでも、未だに鳩山政権の本質が政治主導を隠れ蓑にした官僚主導の政治であることを見抜いている声が出ない。自公政権の時代は、あれほど来る日も来る日も政権と政府を攻撃していたブログ左翼が、現在は政権翼賛の論陣に回り、毎日のように鳩山崇拝の提灯記事を並べ続けている。財務官僚主導の本質を射抜いた言論がない。選挙からすでに2か月が経ったが、公約していた「官僚の無駄の削減」について、何も具体的な成果は上がっておらず、成果が出そうな気配すら見えない。民主党の議員たちは、選挙の前、政権を取ったらすぐに「天下り禁止法案」を成立させ、官僚の天下りを禁止すると豪語していた。今、そんな約束事を覚えている国民もいないのではないか。マスコミは何も言わない。そういう法案が準備されている徴候も微塵もない。》
《ただ、この2か月の間に、鳩山政権がどのような予算を無駄だと考えているかを教えてくれた事例があった。他のどんな概算要求は削らなくても、財務省が抵抗に抵抗を続けて予算措置を認めようとしなかった政策項目があった。言うまでもなく、生活保護の母子加算復活である。この予算化については、選挙前の民主党の話では、法案の手続の必要がないから10月から即実施できるという話だった。山井和則がテレビで何度もそう言った。ところが、鳩山由起夫が政権の中軸に据えた藤井裕久と平野博文は、予算額わずか60億円で予備費から支出できる母子加算復活に最後まで首を縦に振ろうとしなかった。60億円を30億円に削ろうとし、さらに生活保護世帯の子ども手当を収入認定しようとまでした。子ども手当の収入認定! これには自民党議員も驚いただろうし、自公政権でこんな案を財務官僚が持ち出したら、すぐに公明党が潰したに違いない。なぜ、他の予算要求は削られないのに生活保護の母子加算が削られるのか。その政治がまかり通るのか。それは、鳩山政権にとって母子加算が「無駄な予算」だからである。国の予算を付ける必要のない政策項目だからだ。その主張は財務官僚のものと報道されているが、実際はそうではない。鳩山由起夫がオーソライズしているのである。この新政権の2か月間で、財務省に最も「無駄」と判断され、優先順位を後に回されたのが、母子加算復活の政策だった。鳩山政権は言っていることとやっていることが全く違う。言っていることは反新自由主義だが、やっていることは新自由主義の政策である。だが、その事実について正面から指摘する言論がない》
《10/26の鳩山由紀夫の所信表明の中で気になる点が二つある。一つは、労働者派遣法の改正について一言の言及もなかった点で、この点については、10/29に共産党の代表質問に対して答弁があり、「通常国会への提出を目指し」の表現があった。気づいている人間も多いと思うが、労働者派遣法改正はどんどん後退している。福島瑞穂は、この政策の実現について、当初は臨時国会で法案を成立させると断言していた。それがトーンダウンして、通常国会に法案提出になり、遂には通常国会の法案提出を準備するという地点にまで後退してしまった。「準備する」というのが政府答弁なのだから、必ず提出すると約束したわけではない。通常国会でも提出されない可能性があり、12月に出される労働政策審議会の報告によっては、派遣法改正の政策方針そのものが揺らぐ事態もある。そもそも、民主党は野党時代にすでに改正案を纏めているのであり、国会(衆院)に法案の提出もしている。これ以上、審議会で議論する必要など全くない。この法案と政策の実質的な責任閣僚であるはずの福島瑞穂からは何も発言がない。労働者派遣法改正について、敢えて口に出さないように努めている雰囲気が察せられる。欺瞞的だ。二つ目は、所信表明の中で貧困率についての言及がなかった点である。この問題については、10/29の志位和夫の代表質問でも取り上げられていない。湯浅誠の反貧困ネットが7/31にお茶の水で集会し、そこで総選挙に向けての反貧困のマニフェストを採択したが、その最も重要なテーマは政府に貧困率を調査させ、貧困率を下げる政策の実施を所信表明の中に入れさせることだった。結果的に、湯浅誠の訴えは政府に採用されなかった。
国家戦略局か内閣府に「参与」で入ったらしいが、名前だけで、実際に反貧困が掲げた政策目標は鳩山政権に蹴られた形になっている。鳩山由紀夫は情報操作が巧みで、マスコミに「前向きな」イメージを醸し出すニュースは精力的に乱発する。政府は貧困率減少を数値でも政策でも目標化しなかった。予算にも法案にも反映させないという意味である。新自由主義の政権だから、当然、こうした政策方針になる。貧困は自己責任なのだ。だから、生活保護家庭には、子ども手当をくれてやるかわりに生活保護費を削るのである。ベンツで子供を幼稚園に送り迎えしている家庭には、嬉々として子ども手当を支給するのである。鳩山政権の新自由主義の政治は、自公政権と基本的に同じか、むしろ過激で強烈になっていて、と同時に、正体を隠すテクニックについては巧妙になっている。》
《沖縄新基地
元首相側近が語る米軍の本音
「古くさいレーダー、レベルアップしたい」
都心のビジネス街。レンガ造りの8階建てビル最上階の一室。元首相側近の個人事務所です。秘書に付き添われて姿を見せた元首相側近。1996年に日米合意した沖縄県の米軍普天間基地返還に深くかかわりました。
「いまはすっかり現役を退き、世の中のことはわからない」。言葉とは裏腹に背筋をピンと伸ばした姿勢と口調は年齢を感じさせません。
普天間基地の話題になると、一段となめらかな口調でこう切り出しました。
「米軍は、すっかり老朽化し、古くさいレーダーしかない、陳腐化した普天間基地を手放し、最新鋭の使い勝手のいい軍事的技術のレベルアップした基地にしたかった。これが海兵隊の本音だよ」
ー提供の方便ー
話題はいきなり核心に。96年、日米が普天間基地返還を合意したとき、さかんに強調された「県民の負担軽減」。海兵隊への新基地提供の方便だったのです。少女暴行事件で、県民に迷惑かけたから移転するということはありえない、それ以前からの「既定路線」だったといいます。
普天間基地の「陳腐化」は以前から日米間で話題になっていました。
橋本龍太郎首相(当時)が「普天間基地返還」合意で語った「(返還の)決断は沖縄県民の強い要望を背景になされた。喜んでもらえると信じている」は、「県民」を海兵隊と置き換えるべきものでした。ここにあるのは「県民の負担軽減」を最大の口実に米軍への新基地提供を優先する日米安保体制への忠実な立場です。
ー1枚の図面ー
米側の用意周到ぶりを印象づけたのは、同氏が首相官邸で見せられた1枚の図面でした。名護市辺野古のキャンプ・シュワブでの海兵隊基地計画でした。大浦湾に米軍が60年代から計画していた軍港機能をもった巨大基地計画です。
ー持ち込んだのはべクテル社だ」ー
べクテル社―。原子力から宇宙、軍事部門など米国の軍産複合体で、世界最大の建設・開発企業。CIA長官、政府高官などが天下り、米軍とはとくに深い関係にあります。この計画は現行案の滑走路がV字型に対し、2本の滑走路が並行している違いだけでうり二つです。
同氏は書棚に並ぶ、かつて仕えた首相関係の書籍に視線を移しながらこんなことも。
「米軍は、移転についてヘリが離着陸できる45メートルの滑走路と最新鋭のレーダー機能があればいい、と。ところが日本政府が米側に提示したのが1300メートルの滑走路だった。民間ジェット機を飛ばしたい、建設費などで利益をあげたい地元の『要望』を理由に」
ベクテル社の計画は、当時、大浦湾のウミンチュ(漁民)の強い反対と、ベトナム戦争の戦費調達の影響で実現しませんでした。「幻の巨大新基地構想」はこうした日米間のやりとりと、全額、日本の予算で息を吹き返したのです。
帰り際、同氏は言いました。「かつて米軍が存在理由にした軍事的脅威はいまアジアにはない。米国自身が中国とも友好な関係にある。21世紀は(軍事より)平和で文化的な世界でなければならない」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-10-28/2009102815_01_1.html
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-10-28/2009102815_01_1.html
◆鳩山政権という狡猾で巧妙で稀代の策士ぞろいの羊頭狗肉的新自由主義について考察に賛成のブログ記事はー
http://critic6.blog63.fc2.com/
《長妻昭は、今回の母子加算復活の政治において、財務省を7回訪ね、首相と2回直談判に及んでいる。通常、省の大臣が財務省に出向くのは、12月の予算案が纏まった時に年に一回だけ挨拶に伺っていただけで、予算折衝途中の7回訪問は異例中の異例だと報道ステーションの番組の中で言っていた。私も、母子加算復活折衝で長妻昭が財務省の廊下を足早に歩く姿をテレビ報道で見ながら、こんな事がこれまであっただろうかと思い、長妻昭らしいなと感じたものである。マスコミにはその快事をこそ国民に伝えて欲しかった。母子加算を削ろうとする藤井裕久と財務官僚に対して、長妻昭は体を張って闘っていたのであり、7回も財務省との間を往復していたのである。マスコミは、平野博文と藤井裕久と官僚の意向に沿い、長妻昭が会見をキャンセルしただとか、「ミスター検討中」だとか、「官僚を使いこなせてない」などと誹謗中傷を記事にしている。母子加算復活に7回も往復させている藤井裕久と古川元久の卑劣については何も批判しない。財務官僚と厚生官僚の代弁者になっている。》
《鳩山由紀夫は、長妻昭を行政刷新会議の担当相に据える腹でいた。形だけ入閣させ、長妻昭の入閣で支持率を稼ごうとしたのだ。菅直人の国家戦略担当相と同じで、看板だけの実権のないポストだった。
》
《長妻昭は、鳩山由紀夫からの行政刷新担当相の就任要請を断り、年金政策を自らの手でやるため厚労副大臣のポストを希望、それを最後まで譲らなかった。長妻昭らしい。退かないのである。上司や組織の命令に簡単には従わないのだ。結局、厚労大臣は仙谷由人から長妻昭になる。鳩山由紀夫はそれを根に持ち、結局、平野博文によって徹底的にいじめ抜かれる立場を引き受けさせられる》
《労省に入った日に拍手で迎えられなかったハプニングも、閣議初日にタクシーが渋滞で遅刻した一件も、平野博文が厚労省幹部(とマスコミ)に事前に指示を出していた策謀だとしか考えられない。仙谷由人が厚労大臣に就いていたら、母子加算復活は先送りで簡単に決着が付いていただろう。母子加算の件でマスコミは財務省を叩く姿勢が全くない。ネットでも、未だに鳩山政権の本質が政治主導を隠れ蓑にした官僚主導の政治であることを見抜いている声が出ない。自公政権の時代は、あれほど来る日も来る日も政権と政府を攻撃していたブログ左翼が、現在は政権翼賛の論陣に回り、毎日のように鳩山崇拝の提灯記事を並べ続けている。財務官僚主導の本質を射抜いた言論がない。選挙からすでに2か月が経ったが、公約していた「官僚の無駄の削減」について、何も具体的な成果は上がっておらず、成果が出そうな気配すら見えない。民主党の議員たちは、選挙の前、政権を取ったらすぐに「天下り禁止法案」を成立させ、官僚の天下りを禁止すると豪語していた。今、そんな約束事を覚えている国民もいないのではないか。マスコミは何も言わない。そういう法案が準備されている徴候も微塵もない。》
《ただ、この2か月の間に、鳩山政権がどのような予算を無駄だと考えているかを教えてくれた事例があった。他のどんな概算要求は削らなくても、財務省が抵抗に抵抗を続けて予算措置を認めようとしなかった政策項目があった。言うまでもなく、生活保護の母子加算復活である。この予算化については、選挙前の民主党の話では、法案の手続の必要がないから10月から即実施できるという話だった。山井和則がテレビで何度もそう言った。ところが、鳩山由起夫が政権の中軸に据えた藤井裕久と平野博文は、予算額わずか60億円で予備費から支出できる母子加算復活に最後まで首を縦に振ろうとしなかった。60億円を30億円に削ろうとし、さらに生活保護世帯の子ども手当を収入認定しようとまでした。子ども手当の収入認定! これには自民党議員も驚いただろうし、自公政権でこんな案を財務官僚が持ち出したら、すぐに公明党が潰したに違いない。なぜ、他の予算要求は削られないのに生活保護の母子加算が削られるのか。その政治がまかり通るのか。それは、鳩山政権にとって母子加算が「無駄な予算」だからである。国の予算を付ける必要のない政策項目だからだ。その主張は財務官僚のものと報道されているが、実際はそうではない。鳩山由起夫がオーソライズしているのである。この新政権の2か月間で、財務省に最も「無駄」と判断され、優先順位を後に回されたのが、母子加算復活の政策だった。鳩山政権は言っていることとやっていることが全く違う。言っていることは反新自由主義だが、やっていることは新自由主義の政策である。だが、その事実について正面から指摘する言論がない》
《10/26の鳩山由紀夫の所信表明の中で気になる点が二つある。一つは、労働者派遣法の改正について一言の言及もなかった点で、この点については、10/29に共産党の代表質問に対して答弁があり、「通常国会への提出を目指し」の表現があった。気づいている人間も多いと思うが、労働者派遣法改正はどんどん後退している。福島瑞穂は、この政策の実現について、当初は臨時国会で法案を成立させると断言していた。それがトーンダウンして、通常国会に法案提出になり、遂には通常国会の法案提出を準備するという地点にまで後退してしまった。「準備する」というのが政府答弁なのだから、必ず提出すると約束したわけではない。通常国会でも提出されない可能性があり、12月に出される労働政策審議会の報告によっては、派遣法改正の政策方針そのものが揺らぐ事態もある。そもそも、民主党は野党時代にすでに改正案を纏めているのであり、国会(衆院)に法案の提出もしている。これ以上、審議会で議論する必要など全くない。この法案と政策の実質的な責任閣僚であるはずの福島瑞穂からは何も発言がない。労働者派遣法改正について、敢えて口に出さないように努めている雰囲気が察せられる。欺瞞的だ。二つ目は、所信表明の中で貧困率についての言及がなかった点である。この問題については、10/29の志位和夫の代表質問でも取り上げられていない。湯浅誠の反貧困ネットが7/31にお茶の水で集会し、そこで総選挙に向けての反貧困のマニフェストを採択したが、その最も重要なテーマは政府に貧困率を調査させ、貧困率を下げる政策の実施を所信表明の中に入れさせることだった。結果的に、湯浅誠の訴えは政府に採用されなかった。
国家戦略局か内閣府に「参与」で入ったらしいが、名前だけで、実際に反貧困が掲げた政策目標は鳩山政権に蹴られた形になっている。鳩山由紀夫は情報操作が巧みで、マスコミに「前向きな」イメージを醸し出すニュースは精力的に乱発する。政府は貧困率減少を数値でも政策でも目標化しなかった。予算にも法案にも反映させないという意味である。新自由主義の政権だから、当然、こうした政策方針になる。貧困は自己責任なのだ。だから、生活保護家庭には、子ども手当をくれてやるかわりに生活保護費を削るのである。ベンツで子供を幼稚園に送り迎えしている家庭には、嬉々として子ども手当を支給するのである。鳩山政権の新自由主義の政治は、自公政権と基本的に同じか、むしろ過激で強烈になっていて、と同時に、正体を隠すテクニックについては巧妙になっている。》