もうじき真夏だというのに
水がひやっと冷たかったので
ふっと母を思い出してしまった
寝たきりになったベッドの上から
しょっちゅう
「お湯をつかいなよ」
と言っていた母
まだ暗い道のあちこちの
凍った水溜りのなかの
冬の星座をひとつずつ
壊して歩かずにはいられなかった
あの頃
人を愛する気持ちは
氷に似てるのかもしれない
重すぎると
こなごなに落下してゆく
殺したあとには
すっかり溶けてしまって跡形もない
水がひやっと冷たかったので
ふっと母を思い出してしまった
寝たきりになったベッドの上から
しょっちゅう
「お湯をつかいなよ」
と言っていた母
まだ暗い道のあちこちの
凍った水溜りのなかの
冬の星座をひとつずつ
壊して歩かずにはいられなかった
あの頃
人を愛する気持ちは
氷に似てるのかもしれない
重すぎると
こなごなに落下してゆく
殺したあとには
すっかり溶けてしまって跡形もない