考えてみれば、ワクチンも集団免疫獲得の一つの手段である。ワクチンとは、ウィルスなど病原体から作られた抗原を人体に投与することで体内に抗体を作り出し免疫を獲得することだから、言わば、人為的に感染拡大を推し進めて、速やかに安全裡に集団免疫を獲得する試みでもある。マスコミ報道では、ファイザーのワクチン開発と接種開始を救世主のように喧伝しているが、一部の専門家はその効果に対して慎重な見方を示している。気になって、100年前のスペインかぜのときの事情を調べてみると、日本でも20万人にワクチン接種が行われたようだが、当時のウィルス学の技術水準は低く、予防注射は感染防止の決定打にはならなかったようである。事実としては、1918年から20年まで、3波の流行を通じて48万人の死者を出し、日本人全体の60%が感染して集団免疫を獲得したというのが、収束に至った経緯と理解してよさそうだ。新型コロナのワクチンについて懐疑的な一人に、ワクチンの専門家である岡田晴恵がいる。
最近はテレビの出番が減った岡田晴恵だが、6日の番組に出演したとき、SARSもMARSも未だ有効なワクチンは開発されてないのだと指摘していた。SARSは2002年11月に中国で発生してカナダなど世界中に感染拡大したウィルス性呼吸器疾患だが、ワクチンの開発を待たないまま2003年7月に流行が収束している。このとき大きな被害を出した台湾は、経験と教訓を生かして今回見事に水際対策に成果を上げ、そのエクセレンスを世界から称賛された。MARSは2012年9月以降にサウジアラビアを中心に感染が広がった呼吸器症候群だが、中東以外では2015年に韓国でアウトブレイクして注目された以外は、特に大きな被害の拡大はなく収まった状態にある。韓国はこのときの混乱と失態の反省を生かして、今回気合いの入った対策を見せ、PCR検査と隔離で世界のお手本となった。コロナ対策の優等生を演じた。日本は、SARSもMARSも水際対策に成功している。言うならば、SARS・MARSの際の日本は、今回の台湾と同じ高レベルなシャットアウトを達成している。
スペインかぜのパンデミックは、世界では1918年から19年の2年間に集中して猛威をふるった恐ろしい災禍だった。そして総括的に言えば、自然生的な集団免疫獲得で収束となっている。SARS・MARSの経験とスペインかぜの歴史を見ると、感染症から国民を守る対策として効果的なのが、何より早期発見・早期隔離であり、そして早期の大量検査であり、それ以上に初期水際対策の完全封殺であることが頷ける。台湾と中国と韓国の方法が正しいことが了解される。スペインかぜも、SARSもMARSも、ワクチンの供給と投与で収束させたわけではないのだ。結局のところ、パンデミックで台湾や中国のクリーンルーム方式を奏功させられなかった国は、ウィルスを国内に充満させる道を選ばざるを得ない。ロックダウンと解除を繰り返すところの、原始的なハンマー&ダンスの方策に頼らざるを得ず、ピークカット方式で時間を遅らせつつ集団免疫獲得の目標に向かうしかない。そして、それに必要な時間を(スペインかぜの経験から)2年と想定したとき、コロナはもう1年を経過したのである。折り返しの地点に立った。
アバウトに予想して、来年の今頃はコロナは世界の脅威ではなくなっていて、話題の中心から離れているだろう。少なくとも、アメリカやヨーロッパでは集団免疫獲得の状態をほぼ実現していると想像される。ワクチン接種が進もうが進むまいが、関係なく、ハンマー&ダンスの弛緩の局面で未感染者が新たに大量に感染者となり、社会全体の感染率を上げて60%に接近して行くだろう。現在のヨーロッパとアメリカと日本は、ハンマー&ダンス路線しかなく、ピークカット方式の実践の途上にあるのであり、最後まで突っ切って到達するしかないのだ。あと1年なのだ。あと1年で集団免疫獲得と考えると、ワクチンで騒いで喜んでいるのが何やら奇妙な気分にもなる。アメリカでは感染者の累計数が1560万人に及んでいる。この数は全人口の5%を占める。この数字はPCR検査で陽性判明した者の統計値だから、実際には検査を受けないまま発症し回復したり、本人が意識なく、罹ったけれど無症状のまま治っている者が多数いる。その数は2倍か3倍に上るだろう。ざっくり、アメリカ人全体の10%から20%は抗体を保持していると見積もってよいのではないか。
9月に出たスタンフォード大の調査報告では、全米の成人人口の9.3%が抗体を保有していると推計されている。そこから巨大な第2波が到来して現状がある。もし仮に、現時点でアメリカ人全体の15%がすでに抗体を保持しているとすれば、60%の集団免疫ラインまでは一直線であり、1年で十分に到達できるところだろう。アメリカ人の中にはスウェーデン的なレッセフェールを強硬に主張し、国家による防疫行政を個人の自由への干渉だとして拒絶するリベラリストが無数にいる。彼らはマスクを着用せず、ロックダウンに抵抗し抗議する。トランプ主義の彼らの存在と活動がロックダウン解除後の弛緩期の「人の移動と接触」を過剰に増やし、感染流行の次の山を高くする原因を作る。そうした環境でのアメリカの問題は、次に感染爆発したときの山の高さであり、被害の大きさに他ならない。抗体保有率が5%から15%になるのと、15%から35%になるのとでは、感染者数のボリュームが異なる。実効再生産数が同じでも、単位期間の感染者発生数が違ってきて医療への負担と社会のダメージが重くなる。2021年第一四半期のアメリカは試練の正念場となるはずだ。
7日、ファウチは「1月中旬は暗黒の時期になる」と警告を言い、クリスマス休暇後の感染拡大に懸念を表明した。感謝祭時のアメリカ国内での人の移動が甚だしかったらしく、先月29日にも深刻な危機感を発している。尾身茂のような政権に忖度して欺瞞を垂れるだけが能の男と異なり、ファウチは信頼の置ける科学者だから、発言に誇張や政治的思惑はないだろう。現在、すでに1日20万人の感染者を出しているのに、年末から1月にかけてはさらに感染者のボリュームが膨らみ、死者数も多くなるという予測だ。われわれからすれば、1日20万人でも卒倒する数字だけれど、コロナに慣れて弛緩したアメリカの今の様子からは1日30万人の規模に増大しておかしくない。1日30万人の感染者が1か月続くと900万人、半年続くと5400万人となる。無症状者を合わせると1億人は完全に突破する。想像を絶する世界だが、スペインかぜの歴史から認識を向ければ、これがパンデミックというものであり、パンデミックのリアルな進行過程であり、集団免疫獲得(=問題解決)のゴールに向けての刻一刻なのだろう。パンデミックに対しては二通りの解決方法しかない。
台湾・中国のウィルス徹底排除のクリーンルーム方式か、米国・欧州・日本の集団免疫へ漸進するピークカット方式か、二つに一つである。例外として、スウェーデンのレッセフェール方式があり、中間形態として韓国の折衷方式がある。クリーンルーム方式とは「ゼロ・コロナ」の発想であり、ピークカット方式とは「ウィズ・コロナ」の路線である。台湾は「ウィズ・コロナ」ではないのだ。
スペインかぜのパンデミックは、世界では1918年から19年の2年間に集中して猛威をふるった恐ろしい災禍だった。そして総括的に言えば、自然生的な集団免疫獲得で収束となっている。SARS・MARSの経験とスペインかぜの歴史を見ると、感染症から国民を守る対策として効果的なのが、何より早期発見・早期隔離であり、そして早期の大量検査であり、それ以上に初期水際対策の完全封殺であることが頷ける。台湾と中国と韓国の方法が正しいことが了解される。スペインかぜも、SARSもMARSも、ワクチンの供給と投与で収束させたわけではないのだ。結局のところ、パンデミックで台湾や中国のクリーンルーム方式を奏功させられなかった国は、ウィルスを国内に充満させる道を選ばざるを得ない。ロックダウンと解除を繰り返すところの、原始的なハンマー&ダンスの方策に頼らざるを得ず、ピークカット方式で時間を遅らせつつ集団免疫獲得の目標に向かうしかない。そして、それに必要な時間を(スペインかぜの経験から)2年と想定したとき、コロナはもう1年を経過したのである。折り返しの地点に立った。
アバウトに予想して、来年の今頃はコロナは世界の脅威ではなくなっていて、話題の中心から離れているだろう。少なくとも、アメリカやヨーロッパでは集団免疫獲得の状態をほぼ実現していると想像される。ワクチン接種が進もうが進むまいが、関係なく、ハンマー&ダンスの弛緩の局面で未感染者が新たに大量に感染者となり、社会全体の感染率を上げて60%に接近して行くだろう。現在のヨーロッパとアメリカと日本は、ハンマー&ダンス路線しかなく、ピークカット方式の実践の途上にあるのであり、最後まで突っ切って到達するしかないのだ。あと1年なのだ。あと1年で集団免疫獲得と考えると、ワクチンで騒いで喜んでいるのが何やら奇妙な気分にもなる。アメリカでは感染者の累計数が1560万人に及んでいる。この数は全人口の5%を占める。この数字はPCR検査で陽性判明した者の統計値だから、実際には検査を受けないまま発症し回復したり、本人が意識なく、罹ったけれど無症状のまま治っている者が多数いる。その数は2倍か3倍に上るだろう。ざっくり、アメリカ人全体の10%から20%は抗体を保持していると見積もってよいのではないか。
9月に出たスタンフォード大の調査報告では、全米の成人人口の9.3%が抗体を保有していると推計されている。そこから巨大な第2波が到来して現状がある。もし仮に、現時点でアメリカ人全体の15%がすでに抗体を保持しているとすれば、60%の集団免疫ラインまでは一直線であり、1年で十分に到達できるところだろう。アメリカ人の中にはスウェーデン的なレッセフェールを強硬に主張し、国家による防疫行政を個人の自由への干渉だとして拒絶するリベラリストが無数にいる。彼らはマスクを着用せず、ロックダウンに抵抗し抗議する。トランプ主義の彼らの存在と活動がロックダウン解除後の弛緩期の「人の移動と接触」を過剰に増やし、感染流行の次の山を高くする原因を作る。そうした環境でのアメリカの問題は、次に感染爆発したときの山の高さであり、被害の大きさに他ならない。抗体保有率が5%から15%になるのと、15%から35%になるのとでは、感染者数のボリュームが異なる。実効再生産数が同じでも、単位期間の感染者発生数が違ってきて医療への負担と社会のダメージが重くなる。2021年第一四半期のアメリカは試練の正念場となるはずだ。
7日、ファウチは「1月中旬は暗黒の時期になる」と警告を言い、クリスマス休暇後の感染拡大に懸念を表明した。感謝祭時のアメリカ国内での人の移動が甚だしかったらしく、先月29日にも深刻な危機感を発している。尾身茂のような政権に忖度して欺瞞を垂れるだけが能の男と異なり、ファウチは信頼の置ける科学者だから、発言に誇張や政治的思惑はないだろう。現在、すでに1日20万人の感染者を出しているのに、年末から1月にかけてはさらに感染者のボリュームが膨らみ、死者数も多くなるという予測だ。われわれからすれば、1日20万人でも卒倒する数字だけれど、コロナに慣れて弛緩したアメリカの今の様子からは1日30万人の規模に増大しておかしくない。1日30万人の感染者が1か月続くと900万人、半年続くと5400万人となる。無症状者を合わせると1億人は完全に突破する。想像を絶する世界だが、スペインかぜの歴史から認識を向ければ、これがパンデミックというものであり、パンデミックのリアルな進行過程であり、集団免疫獲得(=問題解決)のゴールに向けての刻一刻なのだろう。パンデミックに対しては二通りの解決方法しかない。
台湾・中国のウィルス徹底排除のクリーンルーム方式か、米国・欧州・日本の集団免疫へ漸進するピークカット方式か、二つに一つである。例外として、スウェーデンのレッセフェール方式があり、中間形態として韓国の折衷方式がある。クリーンルーム方式とは「ゼロ・コロナ」の発想であり、ピークカット方式とは「ウィズ・コロナ」の路線である。台湾は「ウィズ・コロナ」ではないのだ。
Commented by 山姥 at 2020-12-09 23:12 x
旭川では、クラスターが起きた厚生病院にかかっていた妊婦さんたちが赤十字病院に転院されたそうだが、転院された方に感染者が出て、妊婦さんたちは旭川医大へとさらに転院されるようだ。
そして旭川赤十字病院の麻酔科医3名感染確認。手術はできないのではないか、という見立て。
札幌でも3次救急の北大病院が、2次救急を受けているようだ。
旭川の勤務医の方のお話にあったが「感染スピードがはやく、あっという間」だと。
コロナ制圧の基本もできていないのだから、貴殿が書かれているような経済発展どころの話ではありません。
自殺者も増えています。
そして旭川赤十字病院の麻酔科医3名感染確認。手術はできないのではないか、という見立て。
札幌でも3次救急の北大病院が、2次救急を受けているようだ。
旭川の勤務医の方のお話にあったが「感染スピードがはやく、あっという間」だと。
コロナ制圧の基本もできていないのだから、貴殿が書かれているような経済発展どころの話ではありません。
自殺者も増えています。
Commented by 山姥 at 2020-12-10 00:45 x
再度で失礼ですが、大阪急性期総合医療センターでクラスター発生。ここは、県立中央病院にあたる病院ですから、制圧できないと大変なことになります。
例のコロナ重症化センターはここの敷地内。全国から人工呼吸器の管理経験のある看護師を派遣してもらうべく動いていました。そして自衛隊の大阪への派遣は「受け入れ態勢が不十分のため」という理由で旭川より遅れていますが、こんな状況では重症化センターオープンは難しいでしょう。
2週間くらい前、gotoトラベルの北海道と大阪除外、キャンセル料をどうするかなどがニュースになっていました。一方、旭川で医療崩壊のせいで転院に次ぐ転院を余儀なくされる一般患者は、すべて病院の費用は自己負担ですか?
例のコロナ重症化センターはここの敷地内。全国から人工呼吸器の管理経験のある看護師を派遣してもらうべく動いていました。そして自衛隊の大阪への派遣は「受け入れ態勢が不十分のため」という理由で旭川より遅れていますが、こんな状況では重症化センターオープンは難しいでしょう。
2週間くらい前、gotoトラベルの北海道と大阪除外、キャンセル料をどうするかなどがニュースになっていました。一方、旭川で医療崩壊のせいで転院に次ぐ転院を余儀なくされる一般患者は、すべて病院の費用は自己負担ですか?
Commented by 山姥 at 2020-12-10 01:31 x
重ねての投稿で失礼いたします、大阪急性期医療センターのクラスターは今年に入ってからのコロナの出来事の中で、一番まずい出来事ですね。3次救急ですから。
ここは阪大出身の先生も多いはず。重症化センターをオープンさせるというので人の出入りが多くなり、吉村がマスコミのカメラ引き連れて視察に行ったりしてましたし、そういう不特定多数の人の出入りが感染の引き金になったのではないでしょうか?
ここは阪大出身の先生も多いはず。重症化センターをオープンさせるというので人の出入りが多くなり、吉村がマスコミのカメラ引き連れて視察に行ったりしてましたし、そういう不特定多数の人の出入りが感染の引き金になったのではないでしょうか?
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