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かぼちゃの少女・・・ 一

2005-08-06 08:53:00 | ある被爆者の 記憶
被爆者たちは、夜明けに死んだ。生きながらに幽霊と化した、人類最初の変身者たちは、もう泣きもしなかったし、もう助けをも求めなかった。
 ただ黙々と、意思があるのか、ないのか、夢遊病者のように歩いた。もう振り向く力もないのかと思うと、ゆっくり頭を廻らしたりした。その後ろ姿に共通のことは、必ず両手をわざわざ幽霊手にして、両脇あたりにぶらぶらさせていた。 
 私は後になって思った。あれはやっぱり、人間の最大苦痛の全身的表現にちがいないと。譬えてみれば、道に転んだ二、三歳の童子が、手離しで泣く一瞬前の姿と同じであった。
 死に直面している人間に、神仏は死の恐怖を与えない。覚悟が定まったからではない。現実には、生と死との陥没した谷間に放りこまれた亡者の群れにちがいなかった。けれども亡者たちは、再び生き返ろうと努力したり、自分から完全な冷たい死骸となりきらないことのおいて、亡者であった。
 亡者は、助けをもとめない。

 
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