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丹波霧     ( その8 )

2008-08-06 08:04:05 | ある被爆者の 記憶
おそらく、山伏の話を、祖母や母にも伝えなかったのは、この変わったタブーのある家の歴史とのかかわりを、子ども心に直観したためであったと思う。老山伏が、山路の祖父にえらい世話になったというなら、祖父が、その凄腕を鳴らした警察官時代でなければならない。その祖父が、濡れ手拭いを広げて水気を切る音に、人の首を打ち落とす音の似通いを聞きつけるというのは、普通ではない。
 老山伏の過去と、祖父の過去とが結びついているとしたら、この勝手な想像の中でしかないように思ったのである。
 山路の家は代々刑吏、つまり首斬り役人であったかどうかは別としても、牢獄、形場を預かる家であったにちがいない。父が祖父を不浄役人と軽侮したのも、母方の実家のことであり、どこまで父は詳しく知っていたか分からないが、当っていないことではない。祖父は代々の家業を、時代が変わっても踏襲したことになる。
 明治新政府の権力機構の末端としての地方警察が、どのように組織され、編成されたかについては詳しく知らない。
 しかし、山路の家に限っては、断髪、廃刀して、官服に着替えただけで、仕事そのものに変わりはなかったことになるのであろうか。
 初孫が虚弱であるといって、元気づけのためにわざと帯刀して、いっしょに写真を撮らせたりしているくらいだから、その表情からも、明治維新という歴史の転換期の動揺は見当たらない。
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