日経クロストレンド023年02月20日号に、「伊勢神宮参道の食堂、非エンジニアだけでAI開発」なる記事が出ていた。日経記者と経営者との 対話形式で記事は展開されているが、核は、下記の対話の部分で、そのなかに「約400項目のデータと来店客数との相関関係を調べたところ、アルゴリズムのようなものが見えてきました。それを使って来客予測AIを非エンジニアだけで開発、ゑびやで導入し業務改善につなげた」とある。これは、多少とも経験と知識の意あるソフト技術者なら、小売り業向け、AI化したDXシステムを自然言語とかLowCodeあるいはNoCodeとかで、展開できるのではなかろうか?
そもそも、ソフトウエアは、扱うデータの定義と固定された処理の手続きの展開なので、難しい問題ではないように思える。あるいは、すでに市場に出ている、自然言語とかLowCodeあるいはNoCodeとかであるいは最近話題になっている生成AIで開発できるかも。
どの産業分野でも、人手不足で、業務改善のためにDXが不可欠とされているが、領域を絞れば、ちょっとしたソフトウエア技術者なら、開発できるのではないかと思う。
石角(日経の記者) 伊勢神宮の参道に店を構える、100年以上の歴史ある老舗食堂だそうですね。奥様の実家とはいえ、なぜ東京でビジネスを始めるのではなく、ゑびやで働くことにしたのですか。
小田島(ゑびや代表) 当時、店はかなり衰退していて、廃業も視野に入れていました。そこで建物をテナント化して家賃収入が得られるようにし、自分は海外移住するつもりでした。要するに“撤退戦”をしにいったんです。飲食業界を盛り上げたいとか、地方を元気にしたいといった思いは当時ありませんでしたね。
石角 そうだったのですね。会社を引き継ぎ再建するつもりで入社されたのだと思っていました。
小田島 ところがテナント化がうまくいきませんでした。そこで組織改革をしながら、商品開発やブランディングを進めて事業の多角化に取り組み始めました。いろいろやっていく過程で常にデータを取り、検証していたのですが、あるとき蓄積されたデータを生かして何かビジネスができないかと考えたのです。そこで開発したのが来客予測AIです。
業務時間を学習に充て、非エンジニアだけでAI開発
石角 今でこそデータの重要性は広く認識されていますが、そのころはまだデータ分析はあまり行われていなかったと思います。なぜそこに着目したのですか。
小田島 昔からデータを集めて分析するのが好きだったのです。最近になってDXという言葉が頻繁に使われていますが、私にとってはデータの収集、分析、実行は当たり前のこと。いわば “ライフワーク” なんです。
石角 なるほど、趣味がどれもデータに関連するものであるのも納得です。
小田島 ゑびやでは役に立ちそうにないものも含めてあらゆるデータを収集し、そのうち約400項目のデータと来店客数との相関関係を調べたところ、アルゴリズムのようなものが見えてきました。それを使って来客予測AIを開発、ゑびやで導入し業務改善につなげていきました。
石角 開発のためにどうやってエンジニアを採用されたのですか。
小田島 エンジニアの採用を外からせずに、私と当時店長として入社していた堤(堤庸輔氏)で開発しました。堤は現CIO(最高情報責任者)です。彼はITのバックグラウンドはなかったのですが、興味はあったんです。
石角 ゑびやの店長として勤務されていた方が、知識ゼロからシステムを開発するとなると、かなり勉強されたのではないでしょうか。
小田島 朝から晩までシステム関連の本を読んだり動画を見たりしましたね。でも今エンジニアをされている方もみなさん、最初からできたわけではなく、勉強して後天的に知識や技術を身につけていますよね? それと同じことです。ただその間、ほかの業務は一切やりませんでしたね。学ぶことを業務にしたのです。<button class="standard-btn article-morebtn js-article-morebtn" type="button" data-next="2"></button>