先端技術とその周辺

ITなどの先端技術サーベイとそれを支える諸問題について思う事をつづっています。

6月12日前に、北朝鮮高官と米国務長官が会談へ

2018年05月31日 00時16分46秒 | 日記

時事通信社が伝えることによると、北朝鮮の金英哲朝鮮労働党副委員長は30日、滞在先の北京を出発、ニューヨークを訪れ、北は敵対解消することを伝達する模様と。しかしトランプ大統領が6月12日首脳会議をキャンセルしたのは、北の2名の外務次官が、かなり強い調子でアメリカ高官を非難したことに依るし、多くの人はこれで派キャンセルhsやむを得ないと感じていた。北はなんだかおかしいと思う。

 米国との「敵対関係解消」に意欲を示す金正恩朝鮮労働党委員長からトランプ大統領に宛てたメッセージを伝えるとともに、6月12日の米朝首脳会談開催に向け、最終調整を行うとみられる。

 金英哲氏は、正恩氏最側近の一人で、2000年の北朝鮮国防委員会の趙明禄第1副委員長(当時)以来、訪米する北朝鮮高官としては最高レベル。ポンペオ氏は中央情報局(CIA)長官在任時を含め2回訪朝しており、米朝閣僚級の相互訪問が実現する。

 トランプ氏は24日、米朝首脳会談の中止を表明した際、正恩氏に宛てた書簡で「最終的に意味を持つのは対話だけだ」と述べ、「首脳会談に関し、気が変わった場合はためらうことなく連絡してほしい」と呼び掛けていた。金英哲氏はこれに対する正恩氏の返書または口頭メッセージを伝達する可能性が高い。 

ポンペオ米国務長官と会談する。

 米国との「敵対関係解消」に意欲を示す金正恩朝鮮労働党委員長からトランプ大統領に宛てたメッセージを伝えるとともに、6月12日の米朝首脳会談開催に向け、最終調整を行うとみられる。

 金英哲氏は、正恩氏最側近の一人で、2000年の北朝鮮国防委員会の趙明禄第1副委員長(当時)以来、訪米する北朝鮮高官としては最高レベル。ポンペオ氏は中央情報局(CIA)長官在任時を含め2回訪朝しており、米朝閣僚級の相互訪問が実現する。

 トランプ氏は24日、米朝首脳会談の中止を表明した際、正恩氏に宛てた書簡で「最終的に意味を持つのは対話だけだ」と述べ、「首脳会談に関し、気が変わった場合はためらうことなく連絡してほしい」と呼び掛けていた。金英哲氏はこれに対する正恩氏の返書または口頭メッセージを伝達する可能性が高い。 


熊本の「桂花ラーメン」東京進出50年 倒産乗り越える! 

2018年05月30日 00時12分00秒 | 日記

 

 熊本を代表する老舗ラーメン店「桂花」が東京に進出して半世紀を迎えた。ご当地ラーメンの先駆けとして注目を集めながら、経営破綻も経験。平たんな道のりではなかったが、今も都内で8店舗を展開し、伝統の味に磨きをかける。

 創業14年目の1968年、創業者の久富サツキさん(91)=熊本市=が自ら上京し、新宿区に東京1号店(新宿末広店)を開店。東京進出の看板ラーメンとして、豚の角煮を載せた「太肉麺[たーろーめん]」をメニューに加えた。

 その頃、東京でラーメンといえばしょうゆ味の「中華そば」が主流。白濁して臭みの強い豚骨スープは抵抗が強かった。久富さんの孫で、桂花東京事務所の責任者小林史子さん(40)は「スープをながめて、一口も食べずに帰る客もいたそうです」と打ち明ける。東京で確固たる地位を築いたかに見えたが、2000年頃に風向きが変わる。博多ラーメンや、つけ麺のブーム到来だ。特に同じ豚骨の博多ラーメンに客を奪われ、売り上げが急減。東京の店が足を引っ張る形で経営が傾いた。

 ラーメン評論家の山路力也さん(50)=千葉県=は「豚骨ラーメンを持ち込んだ功績で桂花は東京のラーメンシーンに欠かせない」と評価するが、「一風堂や一蘭など博多ラーメンの勢力拡大に押された」と解説する。

10年に民事再生法の適用を申請し、「味千ラーメン」の重光産業(菊陽町)から経営支援を受けて再出発。人気店がしのぎを削る激戦地・東京で、生き残りに力を注ぐ。

 安定した味を提供するため、料理人の感覚頼みだったスープは機械で濃度をチェック。焦がしにんにく油「マー油」も、よりスープになじむよう改良した。浦上さんも「これまで以上に丁寧にあく抜きし、臭みを軽減した」と自信を見せる。

 「破綻前は、乱立した店舗ごとに味がばらつき、失望することもあった」と山路さん。「今は出店ペースも緩やかで、品質向上に意識が向いている」と評価する。今年3月にはサンヨー食品(東京都)から誘いが掛かり、カップ麺「名店の味」シリーズとして全国発売された。

 


中国のシェールガスの埋蔵量は世界一で20%になるという

2018年05月29日 05時59分24秒 | 日記

国連貿易開発会議(UNCTAD)の最新報告書によると、天然ガスの一種「シェールガス」の採掘可能な埋蔵量は世界で214兆5000億立方メートルに達し、世界の天然ガス消費量の61年分に相当することがわかった。中国では発電は石炭に依っているので、シェールガス採掘がおこなわれれば、中国の大気汚染が改善されるかも。

埋蔵量は中国が最も多く、アルゼンチン、アルジェリア、米国、カナダがこれに続く。報告書は、2030年代半ばまでに、高度な採掘技術で増産できる北米と埋蔵量の多い中国のシェールガスが世界の天然ガス需要の2割をまかなうようになると予測している。こうした主要生産国では将来、国内生産の天然ガスの半分程度がシェールガスになるという。

シェールガスは、頁岩(けつがん)(シェール)と呼ぶ岩盤層に含まれる天然ガス。岩盤に水圧をかけて割れ目をつくってガスを採取する技術が確立され、エネルギーコストを引き下げるとも言われる。しかしながら、岩盤に水圧を掛けてガスを採取するため、自然環境を破壊するので、欧州では採集を禁じている国も多い。

用途は天然ガスと同じで、都市ガスや火力発電に使われる。

 


ゴラン高原を巡ってイスラエルとイランが衝突

2018年05月28日 19時20分31秒 | 日記

ゴラン高原を巡って 中東で軍事大国のイスラエルとイランの対立が先鋭化し、衝突の危機が高まっている。そもそも、ゴラン高原は1967年にそれまでシリア領であったものをイスラエルが奪い取ったもの。中東は古来から、さまざまな王国が誕生しては戦争で消え、国境が定かでない。イスラエルにしろ遊牧民とされるが、ダビデ・ソロモン王朝などを起こしており、国家を持っていたことは歴史が示している。そういう複雑な歴史の背景に加えて、欧米や帝政ロシアの帝国主義介入で、訳が分からなくなっている。

それが今、ゴラン高原から戦争が起ころうとしている。戦争となれば、近代兵器に一日の長がある欧米が優勢になると思われる。以下、時事通信社の解説::::

 イスラエル軍は5月初旬、隣国シリアにあるイラン精鋭部隊「革命防衛隊」の拠点を空爆。イランがイスラエル占領地ゴラン高原に向けてロケット弾約20発を発射したとして、その報復攻撃だったと主張した。「緊張の激化で、静かな生活を脅かされたくない」。イスラエルと敵対するシリア、レバノンに近接するゴラン高原の住民は「戦時下」への警戒を強めている。

 ◇高まる軍事的緊張
 肥沃(ひよく)な丘陵にリンゴやブドウの木が溶け込み、牛が牧草をはんでいる。イスラエルが1967年の第3次中東戦争で、シリアから奪い占領したゴラン高原。点在するユダヤ人入植地ではワインやオリーブ油の製造が盛んで、観光バスにもすれ違う。

 のどかな風景とは裏腹に、ゴラン高原は軍事的緊張に包まれている。イスラエルは4月以降、シリア領内のイラン軍事拠点を再三攻撃し、イラン兵や、イランが支援するイスラム教シーア派組織ヒズボラ戦闘員が多数死亡したとされる。イスラエルの存在を認めず敵視するイランが反撃に出れば、ゴラン高原は最も近い標的となるからだ。

 イスラエル軍は5月10日、イランがゴラン高原に向け発射したロケット弾を迎撃したと発表。着弾被害はなかった。ただ、ヒズボラの最高指導者ナスララ師は「(今後)反撃がないと思ったら誤りだ」とイスラエルをけん制。その後もゴラン高原でロケット弾飛来を伝える誤警報が発令され、住民らは「緊張は新たな局面に入った」と話す。

 ◇本気の攻撃なら「地獄に変わる」
 「最初は混乱もあった」。ゴラン高原の町カツリンの地域評議会職員、ダリヤ・ラモスさん(45)は振り返る。イスラエル軍はイランの攻撃に備え、ゴラン高原の住民に避難シェルター開放を指示。異例の事態を受け、ラモスさんはその20分後には警戒を呼び掛けるテキストメッセージを住民に一斉送信した。

 対シリア国境まで数キロのアインジバン。住民のダビド・スペルマンさん(74)はメッセージを見て「何が起きるか分からないという意味では不安だが、ゴラン高原に住む以上は軍事的な危険は生活の一部」と語った。67年の占領直後に入植し、既に51年。「イランが国境近くに新たな前線をつくるのは絶対認めない」と語気を強める。

 米国が21日に発表したイラン新戦略では、シリアからのイラン兵力撤退、イスラエルを念頭に近隣諸国への脅迫行為中止など12項目の要求を突き付けた。しかし、イランが応じる可能性は低く、むしろ態度を硬化させかねない。ラモスさんは「イランが本気で攻撃すれば、ここの生活は瞬時に地獄に変わる」と険しい表情を崩さなかった。 


トヨタの提携契約、スザマシイ!

2018年05月28日 18時55分06秒 | 日記

ITmediaというIT系の会社が報道していたが、トヨタのアライアンス戦略は他分野に及んでいて、凄いというかスザマシイ。他の自動車会社には見られない勢い。EVや自動運転が一般的になれば、トヨタのアライアンス戦略は実を結び、更に大きな企業になるであろう。以下のその内容::

トヨタ自動車はアライアンス戦略に余念がない。自動車メーカーやサプライヤーのみならず、マイクロソフトのようなテック企業やアルバートのようなデータエンジニアリング会社、小売のアマゾン、サービス産業のウーバー、飲食業のピザハットに至るまで提携や協業関係を構築している。

 企業間の話だけではない。エンジニアに関してもそうだ。トヨタのAI(人工知能)研究を担うTRI(Toyota Research Institute,)のCEOとして、ロボット技術のカリスマであるギル・プラット氏を迎え入れた。米国防高等研究計画局(DARPA)のロボットプロジェクトの頭脳を務めた人物である。あるいはGoogleの自動運転をけん引してきたジェームス・カフナー氏もそうだ。カフナー氏は前述のTRI日本法人のトップを務めることになった。

●トヨタの変貌

 なぜそんなことが起きているのかと言えば、トヨタの提携の形が変わったからだ。大が小を飲み込む吸収的合併ではなく、もっとオープンで、提携相手へのリスペクトを前提とした提携へとトヨタは舵を切った。別に良い人ぶりたいわけではない。その方が得るものが多いことにトヨタは気付いたのだ。

 カフナー氏の例を見れば明らかで、氏の前職はGoogleのエンジニアだ。Googleは2016年に、その自動運転開発部門を分社化し、Waymo(ウェイモ)として独立させた。株主に対して自動運転部門の独立採算を明確化するためである。しかしながら市場に投入されていない自動運転が現時点で黒字化するはずもなく、そんなことをすれば研究開発費が圧縮され、自由な研究ができなくなる。自由な研究を求めたカフナー氏はトヨタへと移籍し、望むものを手に入れた。

 トヨタがなぜ、そんな大尽な振る舞いを見せるのか、そこをトヨタに聞くと「オープン」がキーワードだと言う。トヨタは長らく自前主義の伝統を持っており、全てを自社で開発し、外部に依存しない方針を貫いてきた。徳川家康以来の三河の風土もあるのだろうが、倹約質素を旨として一所懸命の場に備えることを重視してきた。

 ところが、それが通じなくなった。近年のトヨタはその逆のことを言うのだ。自社だけでいくら頑張ってもトライ&エラーのデータ獲得には限界がある。あるいは資本支配によって効率良く正解だけ獲得しても、それは条件が1つ変われば崩壊してしまう。そこで真の実力となるのは「どうやると失敗するのか」あるいは「なぜそれが正解なのか」という膨大な蓄積データなのだ。

 だから先行している会社や研究機関、研究者とコラボレートして、彼らのトライ&エラーのノウハウを丸ごと共有することを目論んでいる。前述のカフナー氏で言えば、自動運転を実現するための正解のみに価値があるわけではなく、そこに辿り着くまでに行なった膨大な試行錯誤ごと価値だと考える。そのためなら自由な研究環境くらい提供するのは全くやぶさかではないだろう。

 しかも驚くべきことに、トヨタはそうして達成した技術そのものもオープン化すると言う。例えばトヨタがマツダ、デンソーとともに立ち上げた電気自動車(EV)の開発会社EV C.A. Spiritでは、クルマ側のバッテリーに対する要求性能と、バッテリー側の性能を標準化しようとしている。コンピュータで言えばUSB規格のようなもので、差込口の形状、データの形、電圧と電流の定格化などの基準を設け、USBのバージョンさえ合っていれば、どんな機器でも接続することができる。その社名に含まれる「C.A.」とはコモンアーキテクチャのことで、まさにバッテリーと車両の関係を標準化してコモンアーキテクチャ化する計画である。

 そしてここで作られた規格は完全にオープンにして、誰もが使えるようにするのだと言う。規格に則ったバッテリーと車両なら互換性が保たれる。つまり彼らが手間暇をかけて研究し、作った規格にタダ乗りして互換品を生産することも可能になる。

 「それは敵に塩を送る行為ではないのか?」と問うと、「規格そのものは普及した方が良いんです。それを開発する間に得たノウハウは、規格だけ見ても分かるわけじゃありませんから」と言う。

 こういうトヨタの変化に敏感に反応したのがスズキの鈴木修会長で、フォルクスワーゲンとの提携で相手の豹変によって完全支配されそうになるという手痛い失敗をしながら、今のトヨタなら大丈夫とばかり提携を申し入れた。独立独歩の気概が強いスズキにしても、やはり自前ではもうグローバルを戦えないことは自明だった。大トヨタですら、オープン化によって外部ノウハウを導入しようとしている時代に、スズキをスズキらしく残しながらどこの陣営に参加するかを考えれば、答えは1つしかなかったのだろう。

●提携の中身

 さて、トヨタとスズキの提携はまだ確定状態には至っていない。あくまでも協議の内容が発表されたに過ぎないが、その洗練度は相変わらず見事なものだ。以下スズキのリリースから書き出してみる。

<協議内容>

1. スズキが主体となって開発する小型超高効率パワートレインに対し、デンソーとトヨタが技術支援を行う。

2. スズキが開発した車両をトヨタキルロスカ自動車(株)(以下、TKM)で生産し、トヨタ・スズキの両ブランドでインド国内において販売する。

3. 上記TKM生産モデルを含むスズキの開発車両を、トヨタ・スズキ両社がインドからアフリカ市場向け等に供給し、それぞれの販売網を活用して販売するとともに物流・サービス領域の協業を進める。

 これらの詳細については、今後協議していく。

 大前提の説明から始めよう。インドは言うまでもなく中国以上のポテンシャルを持つ、次世代自動車産業の激戦区である。スズキは81年に、インド政府76%、スズキ24%の出資でマルチ・ウドヨグ社を設立した。インド国民車構想にのっとって、日本の軽自動車「アルト」に800ccのエンジンを搭載した「マルチ800」を販売。ピーク時にはインドの80%を占める寡占状態を誇った。マルチ・ウドヨグ社は現在マルチ・スズキ・インディアと社名を変更しつつ40%前後のシェアを誇っている。

 80%から40%へのシェアの落ち込みの理由は簡単で、91年ベルリンの壁崩壊で、それまでソ連とのビジネスを大きな柱としてきたインド経済は大打撃を受けた。中印戦争と第二次印パ戦争以降、インドはソ連を後ろ盾にしつつ、中国を背景とするパキスタンと対立してきた。ところが、頼みの綱としてきたソ連は崩壊してしまう。加えて湾岸戦争で石油が高騰し、同時にリスクの高い中東への出稼ぎによる外貨獲得が激減し、外貨準備高が不足した。通貨危機に陥ったインド政府はルピーを20%切り下げると同時に、親共産主義の方向を改め、経済自由化政策を打ち出した。

 そこで90年代を通して世界中の自動車メーカーがインドマーケットに参入を始めるのである。それまで大戦直後の英国車のノックダウンモデルであるヒンダスタン・アンバサダーくらいしか目ぼしいクルマがなかったインドマーケットでは性能でも価格でもスズキは圧倒的であり、自動車産業の参入が規制されていたマーケットでは無人の野を行くような圧勝を続けていた。

 ところが経済自由化によって、ルノー、GM、ダイムラー、ホンダ、フィアット、ヒュンダイ、トヨタ、フォード、シュコダ(フォルクスワーゲン傘下)、BMW、三菱、マツダ、ボルボ、デーウなど多くの自動車メーカーが参入して、スズキの事実上の独占マーケット時代が終わり、大競争時代に突入した。この大競争の中で、当然スズキのシェアは落ちるのだが、その間もスズキの販売台数はうなぎのぼりを続ける。それだけの驚異的成長中のマーケットなのだ。それでもスズキは寡占時代の余勢をかって40%のシェアを確保し続けている。

 さてインドには大きなポテンシャルがあり、それゆえに競争が激化している。ここで勝つためにどうすれば良いのか?

●緻密な戦略

 日本にいると想像がつかないが、インドでは現在、生産が需要に全く追いついていない。売れて売れてクルマが足りないのだ。つまり生産キャパシティが低ければ、先に投資してキャパシティを増やした会社にどんどんシェアを奪われてしまう。スズキはこの面で不利だ。インド政府や現地資本と40年近く良好な関係を築いてきた以上、いざ投資は必要だと言っても、スズキの都合だけで資本を増やせない。つまり三人四脚状態なので、一番資本的体力が劣るメンバーのペースがボトルネックになってしまう。

 だから「2」は非常に大きい。トヨタが現地資本と提携で設立したTKMで、スズキのクルマを生産できれば、目前の問題は解決する。トヨタの側はどうなのか? トヨタ側は「小さいクルマの開発は得意ではない」とすでに認めている。だからこそのダイハツやスズキとの提携である。トヨタはむしろそこをアライアンスの他メンバーに任せ、中型車以上にリソースを集中したい。加えて新工場の建設や広大な国土での販売店網の整備など、投資案件は山積みである。そこにトヨタの資本が生かせるとなれば、今後の展開は明らかに有利になる。つまりインドで40年間に渡って培ってきたスズキ・ブランドをトヨタの力で飛躍させる戦術がそこからうかがえる。

 さらに、インドでは現在、カリフォルニアのZEV(ゼロ・エミッション・ビークル)規制にならったインド版ZEVがスタートしようとしている。そこで遅ればせながら前述のEV C.A. Spiritに参加し、EVへの布石としている。

 しかし、世界全体の流れを見れば、販売台数のうち一定台数をゼロエミッションにするZEV規制だけでなく、企業全体の平均燃費を下げることを義務付けるCAFE(企業平均燃費)規制もまた厳しくなっており、二正面作戦を戦わなくてはならない。ZEV規制だけ見ていてもダメなのだ。EVはZEVをクリアするために必須だが、価格低減が見込めないことから所詮は台数に限界があり、平均値を動かしてCAFEをクリアするための主戦力にはならない。平均燃費を向上させるためにはハイブリッドしかない。スズキがマイルドハイブリッドやハイブリッドに力を入れているのはそのためだ。

 しかしながら、CAFEの難しいところは平均燃費を下げるクルマ、つまり、燃費の悪いクルマがヒットしたら全てがおしまいなところにある。つまりEVでもハイブリッドでもない普通の1番売れるクルマの燃費を上げないとリスクが増えてしまう。現在コンベンショナルなエンジンでは直噴によって気化潜熱で混合気の冷却を行い、ノッキングを防止する方法で圧縮比を上げ、燃費を稼ぐ方式が主流である。スズキでもすでに一部の上級モデルに採用済みだが、全モデルに採用するためにはまだコストダウンが必要で、今後も継続的に開発が必要だ。この直噴インジェクターの技術を持っているのがデンソーだ。「1」の「小型超高効率パワートレインに対し、デンソーとトヨタが技術支援」とはこのことだ。

 恐ろしいのは「3」だ。インドは地勢的に非常に面白い位置にある。アジア、欧州、アフリカの3つのエリアに対して、アクセスが可能なのだ。仮にインドへの投資を強化し、インドの生産キャパシティを上げた後、インドの景気が冷えた場合にどうするかと言えば、長らく次々世代と言われているアフリカへの輸出拠点として活用する。すでに述べたようにインドは現在国内マーケットの需要が旺盛で、作るそばから売れていくが、仮に過当競争に陥って生産余力ができたとき、それをどう活用するかまでがプランに織り込まれている。

 トヨタとスズキの提携が果たしてどこに落ち着くか、それが楽しみでならない。