先端技術とその周辺

ITなどの先端技術サーベイとそれを支える諸問題について思う事をつづっています。

中国のミサイル軍備、アメリカ空母を無力化できる?

2019年04月30日 22時21分12秒 | 日記

ロイターが表題の記事を載せていたが、正鵠を得ているかも!

米国をにらんで軍事力の増強を急ぐ中国は、もし対米開戦が現実になった場合、どのように軍を展開するのか。制海権を確立するには、米航空母艦(空母)への攻撃が大前提となる。その破壊計画を示唆するような映像が昨年11月、衆目の中で披露された。

中国広東省珠海で開かれた2年に1度の中国国際航空宇宙博覧会(珠海航空ショー)。大型スクリーンの上で、空母、駆逐艦、攻撃機などで構成される敵側の「青軍」艦隊が味方の「赤軍」海域に接近、「赤軍」は相手艦隊に向け陸、海、空からミサイルを発射する。

ミサイルは敵軍の駆逐艦に命中し、さらに空母の飛行甲板、船首付近の側面にとどめの一撃を加える。国営ミサイルメーカー、中国航天科技集団(CASIC)が公開したアニメーションだ。

この映像が、巨大な空母と世界各地のおよそ800もの基地によって軍事覇権を謳歌してきた米国へのメッセージであることは疑いようもない。

 

米ソ対立の空白を突く
 

米国が中東やアフガニスタンでの戦いに多くの兵力と資金を費やしてきた過去20年以上の間に、中国は米国からアジアの軍事覇権を奪うべく、人民解放軍の増強に惜しみなく投資を続け、軍装備の近代化を図ってきた。その成果を象徴しているのが、ミサイル攻撃力の飛躍的な向上だ。中国のミサイルの多くは、米国側である日本、韓国、台湾などの基地およびその周辺で展開する空母への攻撃を想定している。

中国のミサイル攻撃能力はすでに米国や同盟国のレベルに匹敵しているか、それを凌駕している──。人民解放軍のミサイル発射実験に詳しい米軍の現役・退役の将校や台湾、日本、中国の軍事アナリストらはそう指摘し、中国国営メディアの公表資料もそれを裏付ける。地上発射型中距離弾道ミサイルと巡航ミサイルの一部は、事実上、中国の「独壇場」だ。

誘導ミサイルを発射する中国軍艦。2013年、北海艦隊の司令部がある山東省青東市の沖で行われた軍事演習で撮影。(2019年 ロイター)
 

中国が躍進を果たした大きな理由は、中距離核戦力(INF)廃棄条約にある。同条約は冷戦時代に核戦争の脅威を避けるため米国とソ連(当時)が調印、両国は射程500─5500キロメートルの核弾頭、通常弾頭を搭載した地上発射型の弾道ミサイルと巡航ミサイルを廃棄することになっている。しかし、同条約に拘束されない中国は、その空白を突いて、このクラスのミサイルを次々と開発している。

その一例が「空母キラー」の異名を持つ「東風(DF)21D」だ。1500キロメートルの最大射程を持つ中距離弾道ミサイルで、海上を移動する空母などへの攻撃も可能(中国や欧米の軍事アナリスト)と言われる。また、最大射程4000キロメートルの「東風26」はグアムの米軍基地を攻撃できる「グアムキラー」と呼ばれる。

中国の公式機関と米国防総省が2017年に発表した中国軍に関する報告書によると、「東風26」も海上移動中の空母などを攻撃できる。さらに、地上攻撃巡航ミサイル「長剣(CJ)10」 は射程が約1500キロメートルで、韓国と日本にある米軍基地がターゲット圏内に入るとみられている。

DF-16  最大射程は1000キロ。台湾に届く。
DF-21、DF-2D                                                                    最大射程は215海軍第7艦隊の母港である横須賀を含め、在日米軍基地に届く。D型の射程は1500キロで、「空母キラー」の異名を持つ。
DF-26  最大射程は4000キロ。グアムにある重要な米軍基地に届く。「空母キラー」でもある。
 

1987年12月、INF条約に署名するソ連のゴルバチョフ大統領(左)と米国のレーガン大統領。中距離ミサイルの開発と配備を禁じたこの条約は、核の脅威を低下させることが目的だったが、批准していない中国には有利に働いた。(2019年 ロイター/Dennis Paquin)

日韓台への「飽和攻撃」に十分な規模
 

中国の指導者は、人民解放軍が保有するミサイルの数を公表していないが、共産党の青年組織「中国共産主義青年団(共青団)」は2016年10月に、中国版ツイッターの微博(ウェイボー)上でいくつかのデータを公表した。それによると、ロケット軍の要員は10万人、大陸間弾道ミサイル約200発、中距離弾道ミサイル約300発、短距離弾道ミサイル1150発、巡航ミサイル3000発を保有するという。

米国など西側諸国の推定では、中国はINF廃棄条約の対象となるミサイルを約2000発保有する。これは、日本、韓国、台湾の空軍基地、港湾、その他重要インフラに対し、反撃能力をしのぐ「飽和攻撃」を仕掛けるのに十分な規模だ。

こうした中国のミサイル開発に対抗するため、米国側は亜音速対艦ミサイル「ハープーン」に改良を加え、最大射程を約240キロメートルにした。しかし、米バージニア州アーリントンにある米空軍協会ミッチェル研究所の客員シニアフェローで米軍の特殊作戦軍司令部のアドバイザーを務めるロバート・ハディクは、「中国の対艦ミサイル能力は、射程、速度、捕捉・追尾において米国を上回っている。その差は非常に大きい」と警告する。

 
 
 

米太平洋艦隊の情報部長を務めたジェームズ・ファネルも「中国は我々がめざしている防衛システムを圧倒する能力を持っている」と指摘。「中国は世界で最も進んだ弾道ミサイル戦力を持っている」と明言した。

トランプ大統領は今年2月1日、ロシアがINF廃棄条約に違反しているとして同条約からの離脱を発表したが、廃棄対象とされているミサイルの領域では、中国の優位性が当分続くとみられている。

 
 米の領海接近を阻止できる自信
 

習近平は、建国以来最大とされる人民解放軍の改革を断行し、トップダウンの体制を確立した。旧来の組織を改編し、戦略兵器を扱うロケット軍を「中国の戦略抑止の核心。国の安全を守る礎」として、陸、海、空と同等の軍種に格上げした。

もはや米空母は寄せ付けない、と人民解放軍幹部からは勇ましい声も聞こえてくる。ロイターがインタビューした中国指導部と関係のある人物や人民解放軍OBなど6人は、中国のミサイル能力が中国沿岸への米軍の接近を防ぐ「抑止力」になると主張する。

米国が11隻の空母を保有するのに対し、中国は2隻。「海では米国に勝てない」としながらも、人民解放軍の元大佐は「戦闘になれば、われわれには空母を標的とするミサイルがあり、米軍が領海に接近するのを阻止できる」と語る。

もちろん、中国のミサイル部隊の力に不安がないわけではない。まず、その信頼性や精度やペイロード(弾頭)は実戦で立証されていない。1979年の中越戦争以降、中国は戦争をしていない。これに対し、米国のミサイルは、過去20年のさまざまな戦争で繰り返し使用され、その性能は実証済みだ。

人民解放軍のミサイル発射施設、誘導システム、指揮統制センターなどが物理的な攻撃だけでなく、電子・サイバー攻撃にも太刀打ちできるかも不透明だ。ある軍事アナリストは、通称「空母キラー」の弾道ミサイルが実際に中国沿岸から遠く離れた海上の移動目標を探知し、追尾し、命中させることができるか、疑問が残ると話す。

 

2015年の軍事パレードに姿を見せた対艦ミサイルのDF-21D。「空母キラー」の異名を持つ。(2019年 ロイター/Andy Wong)
 

米軍司令官や人民解放軍ウォッチャーの中には、中国のミサイルに関する報道はその攻撃能力を過大評価しているのではないか、との指摘もある。人民解放軍の元大佐はロイターに対し、「米国のミサイルは、質、量ともにわれわれのミサイルより優れている」と語った。中国の軍事アナリストは「もし私たちが本当にアメリカより進んでいたら、すでに台湾を解放していただろう」と述べた。

 

米に根本的な戦略見直し迫る

 

2018年3月、太平洋軍司令官(当時)のハリー・ハリスは上院軍事委員会で「中国は西太平洋にある米軍の基地や艦船を脅かす地上発射型弾道ミサイルを保有している。その意味で、われわれは中国よりも不利な状況にある」と証言した。少なくともミサイルに関しては中国が優位に立っていることを米国が公式に認めた発言だ。

ハリスが警告する通り、中国のミサイル強化によって、米国は軍事戦略の根本的見直しを迫られている。

中国の対艦ミサイルには、米空母の艦載機による攻撃をしのぐ射程距離を持つものもある。空母が艦載機の作戦範囲外にとどまることを余儀なくされれば、作戦効果はなくなる。かといって、中国に接近しすぎると空母自体が危なくなる。

中国本土近くにおける戦いでは、もはや空母が役に立たない可能性がある、という最近まで存在しなかったシナリオが米軍を悩ませている。

 
 

さらに、安価な中国製ミサイルが、きわめて高価な米軍艦の建造を無意味なものにしてしまう懸念もある。米海軍によると、米国とその同盟国の主力ミサイル、「ハープーン」の改良型の価格は120万ドル。中国はミサイルの価格を公表していないが、西側の軍事当局者は、中国の製造コストは米国より低く、同様のミサイルをより安く製造できると考えている。さらに、最新の米国空母「ジェラルド・R・フォード」の建造費はハープーンのおよそ1万倍となる約130億ドルにのぼる。

そうした中で、米国とその同盟国にとっての最重要課題は、中国が優位に立ち始めているミサイルの「射程戦争」での失地回復だ。

米国では、旧式の空対空ミサイルや海上発射型ミサイルの改良が行われている。ボーイングは対艦ミサイル 「ハープーン」 の改良に取り組んでおり、レイセオンの巡航ミサイル 「トマホーク」 は対艦バージョン (射程1600キロメートル超) がテスト段階にある。

米海軍による対艦攻撃機の拡充や新兵器の開発も進んでおり、ロッキード・マーチンは昨年12月、新型長距離対艦ミサイルの一連の試験が成功し、まずは米空軍に初回分を納入したと発表した。このステルス設計のミサイルは、海軍の艦船にも配備されるとみられている。

2017年11月、艦載機スーパーホーネットを先頭に、陣形を組んで西太平洋を航行するロナルド・レーガン、セオドア・ルーズベルト、ニミッツの米空母3隻とその打撃群。韓国海軍の艦艇も加わった。米海軍提供(2019年 ロイター)

 
 真珠湾攻撃のような奇襲作戦を想定
 

Google Earth(グーグル・アース)が示す2枚の画像で、中国ロケット軍が模擬攻撃の演習を繰り返している可能性が明らかになった。

衛星写真:グーグル、デジタルグローブ

中国西部のゴビ砂漠にある模擬滑走路。2013年半ばに撮影された画像には、滑走路の南端に戦闘機らしきものが写っている。約3年後、2016年後半の画像では、攻撃されたと思われる同機のデルタ翼と機体の一部が残骸となって山中に散乱している。

元米空軍情報分析官で、現在は軍事情報サービス会社ジェーンズの主席調査アナリストを務めるショーン・オコナーら衛星画像の専門家たちは、ここが人民解放軍のミサイル試射場であると特定した。

この場所だけでなく、中国西部の辺境地には、複数のミサイル試射場があり、空軍基地、燃料貯蔵施設、港湾、船舶、通信拠点、レーダーなどを模した標的に発射実験を繰り返しているとみられる。

米海軍司令官のトーマス・シュガートとハビエル・ゴンザレスが2017年に提出した報告書によると、中国の衛星画像で、米空母 「ロナルド・レーガン」 の母港、横須賀基地など在日米軍の主要施設への攻撃を念頭に置いた演習が行われた可能性があるという。

 

衛星写真:グーグル、デジタルグローブ、ランドサット/コペルニクス

 

同報告は演習が旧日本軍による1941年12月のパールハーバー(真珠湾)奇襲作戦のような攻撃のリハーサルとも受け取れる、と指摘している。実際には、日本軍は米空母がパールハーバーを離れていたため撃沈できなかったが、珠海航空ショーのアニメーションは、このような日本の失態を繰り返すことはない。

赤軍のミサイルは敵軍の空母に見事に命中。そしてアニメーションは「守備的逆襲作戦は予想通りの結果をおさめた」という言葉で締めくくられた。

 
 

大断層地震は、底の水温が20度とかから500度になって断層滑りを起こした為?

2019年04月30日 22時06分25秒 | 日記

日経の記事によると東北大地震の源信を探っている大阪大学の研究チームが、発生時に内部水温20倍に上昇したことを突き詰めた。その温度上昇の理由には触れていない。

阪大の広野哲朗准教授らは、東日本大震災を起こしたプレート境界にある断層の大規模滑りの原因を突き止めた。地震発生前に比べ、発生時は断層内の水の温度が約20倍に上昇し、断層が浮く状態になったことで断層が滑った可能性が大きいという。従来は断層滑りの原因が強度の弱い地質にあるというのが有力な学説だった。断層地震の新たな原因究明につながる成果として注目される。

研究チームは、2012年に地球深部探査船「ちきゅう」が水深約7キロメートル、海底下約850メートルの地点から採取した断層の試料をモデル計算して分析した。地震発生前に25度であった断層内の水の温度が、発生時には500度以上に加熱されていた。加熱されることで水の圧力が上昇して断層にかかる荷重が低下して滑りを起こした可能性があるという。

さらに地震時に海溝付近の断層から発生する地震波の周波数特性を分析したところ、高周波が多かったことも確認した。これは東日本大震災で気象庁や防災科学技術研究所などの観測データを裏付けることになる。

広野准教授は「これまでの地震研究では観測やトレンチ調査が主流だったが、断層の特性を調べることによって断層の滑り量と地震波の周波数特性を事前に評価することが可能になった。内陸の活断層でも地下深くから多くの水が流れているため、同じ現象が起きている可能性がある」と指摘する。

東日本大震災は日本海溝付近の断層が50~80メートル滑ったことで巨大地震が起こったとされている。成果は29日の英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」電子版に発表した。


ベルト装着のシロイルカ、「ロシア海軍要員」疑惑

2019年04月30日 14時29分25秒 | 日記

ノルウエイでベルト装着のシロイルカが見つかり、「ロシア海軍要員」か? 

カメラ付きベルト装着のシロイルカ発見、ロシア軍が訓練か

(CNN) ノルウェー沖で操業していた漁船が、胴体にベルトを巻かれてカメラを装着したシロイルカに遭遇した。海洋生物に詳しい専門家は、ロシア海軍に訓練されたイルカだったと推測している。

シロイルカはノルウェー北東部のフィンマルク沖で操業していたジョアル・ヘステン氏が先週発見し、同国の漁業理事会に連絡した。

同理事会の海洋生物学者ヨルゲン・リー・ウィーグ氏はCNNに対し、「イルカは遊びたそうな様子にも見えるが、われわれの直感では、ベルトを外してほしいと助けを求めていた」と話す。

 

/Jorgen Ree Wiig, Norwegian Directorate of Fisheries/Sea Surveillance Service
/Jorgen Ree Wiig, Norwegian Directorate of Fisheries/Sea Surveillance Service

 

ベルトは特注品と思われ、装着されていたのはアクションカメラの「ゴープロ」だった。ベルトの金具には「サンクトペテルブルク」の文字が刻印されていた。

イルカはロシア海軍によって訓練され、ロシアのムルマンスクからやって来たとウィーグ氏は推測する。同氏によれば、ロシアはかつて、海軍基地の警備やダイバー支援、紛失物の捜索などの目的でシロイルカを訓練していたことが分かっているという。

海洋哺乳類に詳しいノルウェー海洋研究所のマーティン・ビュー氏もウィーグ氏と同じ見解で、「訓練された動物だったという事実は疑う余地がない」との見方を示した。

 

/Jorgen Ree Wiig, Norwegian Directorate of Fisheries/Sea Surveillance Service
/Jorgen Ree Wiig, Norwegian Directorate of Fisheries/Sea Surveillance Service

 

「このイルカは明らかにボートとの行動に慣れている。水面から頭を出して口を開ける行動からは、ご褒美の魚を期待する様子がうかがえる」と同氏は言い、「ノルウェーやグリーンランドの研究者はそんなことをしないし、ベルトも使わない」と説明。あくまでも推測にすぎないと断った上で、「冷戦時代のロシア軍は、機雷や古い魚雷を探知する目的でシロイルカを訓練していた」と指摘した。

今回見つかったシロイルカは、ノルウェー漁業理事会がベルトを外して海に放した。


軍事費、米中が他国を圧倒!

2019年04月30日 14時03分18秒 | 日記

SIPRI(ストックホルム国際平和研究所(Stockholm International Peace Research Institute、略称はSIPRI)は、スエーデンを本拠地とする国際平和研究機関)は、毎年世界各国の軍事費を調査公開しているが2018年の調査結果が公開されたそれによると

米国の国防費は71.4兆円、中国が27.5兆円、サウジアラビアが7.4兆円、インドが7.3兆円、フランスが7兆円、ロシアが6,7兆円、英国が5.5兆円、ドイツが5.4兆円、日本が5.1兆円。

中国の軍事費が世界2番目に大きく、その額は、3位以下を大きく水をあけている。

軍事費に投下されている額は巨額。戦争抑止を超えた軍事費となっているのでは?


誰も見たことがない3種の神器

2019年04月30日 00時39分43秒 | 日記


天皇の即位、退位は神道にとって重要な行事で、その際、「三種の神器」がまつられるが、天皇すら見たことがないという、皇室が持つ謎の宝物である。ではなぜ三種の神器は重要なのか?

日本の宗教のひとつ、神道は、儀式を非常に重視している。過去や、人間の命に関わる魂とつながるための儀式だ。

Emperor Akihito accompanied by Shinto priests carrying an Imperial Treasure at the palace (1990)Image copyrightGETTY IMAGESImage caption三種の神器は即位の礼で大きな役割を担うが、実物を見たことのある人はいない

三種の神器も、こうした神道の一部だ。神々から、直系の子孫とされる皇室に代々伝えられていると言われている。日本の天皇は王冠を被らない代わりに、三種の神器が皇位を表す。

しかし、神聖なこれらの宝物は、人々の目から隠されている。

名古屋大学の河西秀哉教授はBBCの取材に対し、「いつ作られたのか分からないし、見たことがありません」と説明した。

「天皇ですら見たことがないのです」

皇室の即位式である「即位の礼」においてさえ、形代(かたしろ、レプリカ)を使う。なお、このレプリカもまだ披露されていない。

オリジナルは、もし本当にそこにあるとすれば、日本各地の神社にとどまることになる。

八咫鏡(やたのかがみ)

1000年以上も前に造られたとされる八咫鏡は、三重県の伊勢神宮に納められていると信じられている。

倫理学の研究機関「モラロジー研究所」の竹中信介博士によると、三種の神器の中でも八咫鏡が最も神聖とされている。

1989年に天皇が即位された際、八咫鏡だけは「剣璽等承継の儀(けんじとうしょうけいのぎ)」で継承されず、皇居の賢所(かしこどころ)で個別に祭儀が行われた。

Artist impression of Yata no KagamiImage copyrightBBC/DAVIESSURYA

日本の民話では、鏡は神の力を持ち、真実を映すとされる。皇室の儀式では、八咫鏡は天皇の知恵を象徴する。

日本の古代神話を記した古事記によると、八咫鏡は伊斯許理度売命(いしこりどめのみこと)という神によって造られた。

太陽神である天照大神(あまてらすおおみかみ)が、きょうだいの建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)との不和を理由に天岩戸(あまのいわと)に隠れてしまい、世界は闇に包まれた。

困った神々は宴を開いて天照大神を誘い出そうとした。天照大神は、八咫鏡に映った自分の写し身に誘われて外に出て、世界に光が戻ったとされる。

八咫鏡を含む三種の神器はその後、天照大神の孫に当たる邇邇芸命(ににぎのみこと)に受け継がれた。

竹中博士によると、天照大神は邇邇芸命に「この鏡こそは、ひたすら私の魂として、私自身を祭るように心身を清浄にしてお仕えせよ」と命じたという。

邇邇芸命は、紀元前660年に日本で最初の天皇となった神武天皇の曽祖父とされている。

草薙剣(くさなぎのつるぎ)

草薙剣は、愛知県の熱田神宮に祭られているといわれている。

Artist impression of Kusanagi no TsurugiImage copyrightBBC/DAVIESSURYA

伝説によると、草薙剣は8つの頭を持つヘビ「八岐大蛇(やまたのおろち)」の尾から生まれた。

八岐大蛇に娘を食べられてしまった老夫婦が、最後に残った娘との結婚を条件に須佐之男命に助けを求めた。

須佐之男命は八岐大蛇に酒を飲ませて退治し、その尾から草薙剣を見つけた。

草薙剣はその後、天照大神に捧げられた。

剣は天皇の勇敢さを示している。しかし、その由来や所在はほとんど分かっておらず、実在を疑問視する声もある。

ただ、その存在が秘匿されているのは事実だ。江戸時代、1人の神主がこの剣を見たと触れ回ったが、その後、神主は流刑にされたという。

一方、12世紀の壇ノ浦の戦いで失われたという説もある。しかし竹中博士は、この失われた草薙剣もレプリカだった可能性があり、現在は別のレプリカが皇居に安置され、即位の礼に使われると説明する。

1989年の平成の即位の礼では、天皇は草薙剣を継承したとされているが、剣を納めた箱が開けられることはなかった。

八尺瓊勾玉やさかにのまがたま

勾玉とは、紀元前1000年ごろから日本で作られ始めたコの字型に曲がったビーズの一種。もともとは装身具だったが、後に象徴的な価値を持つようになった。

Yasakani no MagatamaImage copyrightBBC/DAVIESSURYA

璽(じ)とも呼ばれる八尺瓊勾玉は、天照大神の岩戸隠れの際に、玉祖命(たまのおやのみこと)が作って飾ったとされる。

三種の神器の中では唯一「オリジナル」が残っているとされているものだ。

現在は皇居に保管されており、天皇の慈悲を象徴している。

日本人は三種の神器を信じている?

日本の皇室はその祖先を天照大神としているが、現在の天皇は神を称してはいない。第2次世界大戦に負けた後、昭和天皇は自らは人間であるという旨の詔書を出した。

Old drawing of the coronation of Emperor Taisho at the Imperial Palace in Kyoto, Japan, July 1912Image copyrightCULTURE CLUB/GETTY IMAGESImage caption1912年、京都御所で行われた大正天皇の即位の礼の図画

河西教授は、三種の神器には神の力が宿っていると信じている日本人も多くいるが、「他の国で王族が持つ王冠のような、装飾品としてみているでしょう」と説明した。

その上で、三種の神器の重要性は「天皇の神秘さを表し」、「皇室というシステムが長く続いている象徴」になっていることにあると述べた。

竹中博士は、三種の神器が先住の大和民族や出雲民族と帰化系民族の融合を表していると分析する専門家もいると指摘した。

この説を採れば、三種の神器は「この三つの民族を差別することなく統治する天皇」を表していることになるという。

一方で、20世紀にはテレビと冷蔵庫、洗濯機が「三種の神器」と呼ばれたように、現代の日本人にとって、この単語はより実用的な意味合いが強くなっていると話した。