先端技術とその周辺

ITなどの先端技術サーベイとそれを支える諸問題について思う事をつづっています。

スマートマスク、マスクにマイクを着けてスマホと連携

2020年06月30日 11時10分13秒 | 日記
 
日本のスタートアップ企業が、スマホと接続できるスマートマスクを開発し、長年人々の健康を守ってきたマスクを再定義しようとしている。開発元のドーナッツロボティクスはこのデバイスを、コロナ時代に安全を確保しつつコミュニケーションを取れるツールとして売り込もうとしている。


C-Mask(シーマスク)と呼ばれるこのマスクは、一般の布製マスクの上に装着するデバイスで、ブルートゥース接続したスマホのアプリ経由で発言を文字化し、テキストメッセージで送信する。テキスト翻訳は8言語に対応しており、マスクをしたまま10メートル離れた相手に直接ボイスを届けることも可能になっている。

ドーナッツロボティクスCEOの小野泰助はロイターの取材に「我々は長年、ロボットの開発を手がけてきたが、そのテクノロジーでコロナ後の世界に役立つプロダクトを生み出した」と述べた。

C-Maskはまず日本国内で9月から5000台が出荷され、価格は3980円とされている。その後は米国や欧州、中国などでの発売も予定されている。

C-Maskは現時点でメッセージ送信や翻訳に対応し、議事録の作成も可能だが、将来的にはAR(拡張現実)やVR(仮想現実)にも対応予定という。

このデバイスがどこまでの支持を集めるかは現段階では不明だが、既に各国から問い合わせが寄せられているという。パンデミックの影響で、世界のスマホ市場は甚大なダメージを受け、調査企業ガートナーは6月に、世界のスマホ売上が約20%低下したと述べていた。それと同時に、外出時になるべくスマホに直接触れたくないという需要も高まっている。

そのような状況下で、C-Maskはスマホを非接触型で利用することを可能にするツールとなる。このデバイスを用いれば、スマホを手に持たずに会話やテキストの送信が可能で、マスクを外さずにコミュニケーションを行える。それにより、外出時の感染リスクを下げつつ、スマホを使い続けることができる。

新型コロナウイルスのパンデミックによって、安全を確保しつつコミュニケーションを続けることの重要性は高まっている。C-Maskが世界の多くの人々や、企業から関心を集めることは確実だ。
 

クラウドサービスとスマートリモコン

2020年06月30日 10時08分14秒 | 日記

エアコン、TV、照明などの家電を、スマホから制御できるスマートリモコンなるものが流行り始めている。いくつかの家電(多分同じメーカー製品でないといけないかも)あるいは同じTV家電なら1個のリモコンで制御できるようになっているから、スマートリモコンなるものの実現は難しくはないであろうとは想像できていた。しかし、それが屋外から、ノートPC、スマホ、タブレットで、SaaS(クラウドサービス)として制御できるようになっていて、スマートリモコン会社の無料サービスとして提供されていたとは驚き。SaaSにはいろいろな可能性があるということで、システム屋は思いを凝らすべきかも。


WiFiの出力電力

2020年06月30日 06時50分31秒 | 日記

WiFiルーターは外国製のは高出力で1Wもあって、1Kmも2Kmも飛ぶものがあるのに、日本製は数十mメートルしか飛ばない。以前から疑問に感じていたが、総務省や電波法などを見るのも面倒であったが、思い切って総務省の電波の利用に関するWebサイトを見て、アンテナ出力電波が200mW を超える場合は、登録制になっているのをしった。ただ、総務省の総合通信基盤局の平成30年11月2日の資料に以下の表が掲載されており、諸般の理由で、2GHz、5GHz帯のアンテナ出力電波に制約をかけている。これが日本のWiFi機器が、米国のWiFi機器のように遠くまで飛ばない理由。

ともかくも、下記の図のような規制があった。しかも、登録局の運用に際しては、「第三級陸上特殊無線技士」の「無線従事者の資格」が必要になるという。この 規則のために、日本のWiFi装置の出力電波が小さいということがわかった。


着々と進む、スペースXの衛星ネットワーク「スターリンク」

2020年06月29日 13時10分27秒 | 日記
 

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ニューズウィークの記事に『スペースXの衛星ネットワーク「スターリンク」は、世界の情報格差を解消できるか?』で、テスラ傘下の1万2千個の小型人工衛星で、次世代衛ネットワークを構築するというスターリンク構想が着々と進んでいると報じていたが、イーロンマスク、次々大事業を成功させているのはすごい。

軌道上で稼働可能なスペースXの衛星は530基を超える

<イーロン・マスク率いるスペースXでは、次世代型衛星ネットワークを構築する「スターリンク」計画を着々とすすめている......>

アメリカの実業家イーロン・マスクが率いる民間宇宙企業スペースXでは、小型通信衛星を高度540〜570キロメートルの低軌道に送り込み、次世代型衛星ネットワークを構築する「スターリンク」計画をすすめている。

2020年6月3日、8回目のミッションで米ケネディ宇宙センターから約60基を打ち上げたのに続き、13日にも、9回目のミッションとして約60基を低軌道に送り込んだ。これにより軌道上で稼働可能な衛星は530基を超える。また6回目までに打ち上げられた衛星、合計360基の位置は「starlink satellite map」に示されている。

starlink-system.jpg

スターリンク計画のイメージ

 

2020年末までにブロードバンドインターネットサービスを開始予定

連邦通信委員会(FCC)は、スペースX に対し、2018年に小型通信衛星11943基の運用を認可し、2020年3月には、この衛星ネットワーク用地上基地局を100万カ所設置することも承認している。

スターリンクは、低軌道に多数の通信衛星を配置して大規模なネットワークを構築し、通信衛星の間で情報をやりとりさせる仕組みで、地上のインフラに制約を受けず、世界中に高速ブロードバンドインターネットを提供できるのが特徴だ。2020年末までに北米でサービスを開始し、2021年以降、世界で展開する計画となっている。

スターリンクのような低軌道通信衛星によるインターネットは、気象に影響を受けやすく、高価な既存の衛星インターネットに比べて、レイテンシ(通信の応答時間)が低いとされている。同様の衛星ネットワークの構築に取り組むスタートアップ企業ワンウェブでは平均レイテンシが32ミリ秒を記録した。

しかし、この数値は、平均レイテンシが12〜20ミリ秒の光通信に比べると劣っている。スターリンクのレイテンシは現時点で明らかになっていないが、米国のブロードバンド市場への参入を目指すならば、「平均レイテンシは20ミリ秒未満とする」という既存の基準を下回る必要があるだろう。

デジタルデバイド解消基金の基準を満たすか?

連邦通信委員会は、2020年1月30日、米国の地方部での高速ブロードバンドインターネットの普及を推進し、デジタルデバイド(情報格差)の解消につなげる基金「地方部デジタル機会基金」を創設。今後10年にわたって、地方部での高速ブロードバンドネットワークの構築に総額204億ドル(約2兆1800億円)を投じる。

この基金は、低軌道通信衛星を活用したブロードバンドインターネットも対象となっており、スペースXはその応札に関心を示している。これに対し、連邦通信委員会は、6月9日、「スペースXを含め、衛星インターネット・プロバイダーにも応札する権利はある」と述べる一方で、「『レイテンシは100ミリ秒を下回らなければならない』とする応札基準をスペースXが満たすかどうかについて判断する必要がある」との見解を示している。

SpaceX Starlink 8 Falcon 9 Launch Highlightsの映像

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世界最大の中国「三峡ダム」崩壊の危機?!

2020年06月29日 12時19分46秒 | 日記

 

ニューズウィークが世界最大の中国「三峡ダム」崩壊の危機と報じているが、最悪の場合、上海の都市機能が麻痺するだけでなく、世界経済も新型コロナ災禍に加えて、大打撃を受けてしまう。建設が2009年で大工事と厳しい環境で当時から10年と持たないという批判もあったというから、最悪の事態も起きかねない。

 三峡ダムの放水(2010年) REUTERS

 

<四川省で起きた大規模な山崩れは、本当に大雨だけが原因なのか。世界最大の三峡ダムが一帯で大地震を頻発させているという指摘があり、さらには砂礫により、ダムそのものも機能不全に陥っている>

6月24日、中国・四川省で大規模な山崩れが発生した。中国メディアによれば、住宅62戸が土砂に埋まり、120人以上が生き埋めになったという。山崩れの現場は、四川大地震と同じ場所であり、ここ数日、大雨が降りつづいて地盤が緩んでいたことが原因だとされる。だが原因はそれほど単純なものではないだろう。

2008年5月に発生した四川大地震はマグニチュード7.9を記録し、甚大な被害をもたらした。震源地近くでは地表に7メートルの段差が現れ、破壊力は阪神・淡路大震災の約30倍であった。

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専門家は、四川盆地の北西の端にかかる約300キロにわたる龍門山断層帯の一部がずれたために起きたと分析し、これによって地質変動が起こり、龍門山断層帯は新たな活動期に入ったと指摘している。今後、さらに大規模な地震が発生する可能性が高いのである。

四川盆地はもともと標高5000メートル級の山々がつらなるチベット高原から急勾配で下った場所に位置する標高500メートル程度の盆地で、ユーラシア・プレートと揚子江プレートの境界線の上にあり、大小さまざまな断層帯が複雑に入り組む地震の多発地帯である。

それに加えて、最近の中国の研究では、地震発生の原因のひとつは「三峡ダム」の巨大な水圧ではないかとの指摘がある。ダムの貯水池にためた水の重圧と、地面から地下に沁みこんだ水が断層に達することで、断層がずれやすくなったという分析である。

建設中から数々の難題、天気や地震にまで悪影響

三峡ダムは、中国政府が「百年の大計」として鳴り物入りで建設した世界最大のダムである。16年の歳月を費やして、四川省重慶市から湖北省宜昌市にいたる長江の中流域の中でも、とくに水流が激しい「三峡」と呼ばれる場所に建設された。竣工は2009年だ。

ダムは70万キロワットの発電機32台を擁し、総発電量2250万キロワットを誇り、当初の計画では、湖北、河南、湖南、上海、広東など主要な大都市に電力が供給され、全中国の年間消費エネルギーの1割を供給でき、慢性的な電力不足の解消に役立つはずだった。

だが、建設中から数々の難題が生じた。まず「汚職の温床」と化した。総工費2000億元のうち34億元が汚職や賄賂に消えた。国民の多大な犠牲も強いた。はじめに地域住民約110万人が立ち退きを迫られ、強制的に荒地へ移住させられて貧困化し、10万人が流民になった。

李白、杜甫、白楽天などの詩に歌われた1000カ所以上もの文化財と美しい景観が水没し、魚類の生態系が破壊され、希少動物の河イルカ(ヨウコウイルカ)が絶滅したことは、中国内外で議論の的になった。

そればかりではない。四川大地震が発生した同じ2008年、竣工を目前に控えた三峡ダムで試験的に貯水が開始されると、下流域でがけ崩れと地滑りが頻発した。この年の9月までに発生したがけ崩れと地滑りは、合計32カ所、総距離33キロに達し、崩れた土砂の量は約2億立方メートルにのぼった。

その後の調査で、地盤の変形などが合計5286カ所見つかり、大きなひずみが生じていることが判明した。ダムの構造物や防水壁には約1万カ所の亀裂が見つかり、補修に奔走した。

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そして2009年、三峡ダムが完成すると、今度は気候不順が起きた。貯水池にためた膨大な量の水が蒸発して大気中にとどまり、濃霧、長雨、豪雨などが発生するようになったのだ。

気候不順は年々激しくなり、2013年までに、南雪災害、西南干ばつなどの災害が相次いだ。2016年にも豪雨による洪水が発生。エルニーニョ現象が原因だとされたが、死者、行方不明者は128人にのぼり、中下流域で130万人が避難を余儀なくされた。

大地震が次々に起きた。2008年の四川大地震以外にも、汶川大地震、青海省大地震など、毎年のように大小の地震が発生した。2014年には、三峡ダムから約30キロ上流にある湖北省でマグニチュード4.7の地震が連続して2度起きている。

総じてみれば、人工物である三峡ダムが天気や地震にまで影響を及ぼすとは、まるで信じられないような話ではある。

水が流れず、貯水できず、解決策も見いだせない

だが、三峡ダムにとって、さらに深刻な事態がもちあがっている。長江上流から流れて来る砂礫で、ダムがほぼ機能不全に陥り、危機的状況にあることだ。

怒涛のように押し寄せる大量の砂礫で貯水池が埋まり、アオコが発生してヘドロ状態になっている。ヘドロは雑草や発泡スチロールなどのゴミと一体になり、ダムの水門を詰まらせた。ゴミの堆積物は5万平方メートル、高さ60センチに達し、水面にたまったゴミの上を歩ける場所があるほどだという。地元では環境団体などが毎日3000トンのゴミを掻き出しているが、お手上げ状態だとされる。

重慶市でも、押し寄せる砂礫で長江の水深が浅くなった。水底から取り除いた砂礫は50メートルも積みあがった。重慶大橋付近の川幅はもともと420メートルあったが、橋脚が砂礫に埋もれて砂州となり、今では川幅が約半分の240メートルに狭まっている。大型船舶の航行にも著しい支障をきたしている。

水が流れず、貯水できないダムなど何の役にも立たないが、三峡ダムが周囲に及ぼす悪影響は、この先、増えることはあっても減ることはないだろう。中国政府も技術者も根本的な解決策を見いだせず、すでに匙を投げてしまっているからだ。だれも責任を取ろうとする者がいないまま、今も三峡ダムは放置されている。

著名な水利学者の遺言「ダムは10年もたない」

もし三峡ダムが地震の原因のひとつであるなら、今後さらに四川大地震のような大規模な地震が起きる可能性があるだろう。そして大地震が発生したとき、原因を作った「瀕死」の三峡ダムは、果たして持ち堪えられるだろうか?

万一、ダムが決壊するようなことがあれば、長江流域の広大な土地が洪水に見舞われ、穀倉地帯は壊滅して、数千万人の犠牲者が出るだろう。長江の河口部にある上海では都市機能が完全に麻痺し、市民の飲み水すら枯渇してしまう。そんな事態は想像するだけでも恐ろしい。

三峡ダムが建設された当初、中国政府は「千年はもつ」と豪語したが、数々の難題が発覚して、わずか数年で「百年もつ」とトーンダウンした。今日、巷では「10年もつのか」と危ぶむ声がある。

「10年」と区切るのは、かつて三峡ダムの建設に反対した著名な水利学者、清華大学の故・黄万里教授の言葉に由来している。

戦前、アメリカのイリノイ大学で博士号を取得した黄教授は、建国間もない中国で黄河ダム建設の計画が進められたときに強く反対し、毛沢東から「右派」の烙印を押されて22年間の強制労働に追われた。

1980年代に名誉回復した後、長江の三峡ダム建設が国家の議題にのぼると、中国政府に6度も上申書を提出して反対したが、鄧小平と李鵬首相(当時)に無視された。黄教授が反対した理由は、21世紀の今日、私たちが直面している危機的状況を言い当てたからにほかならない。

そして「もしダムを強硬に建設したら、10年もたないだろう」と警告した。2001年8月、黄教授は病床で家族に向かって三峡ダムを見守りつづけるようにと告げ、「どうにも立ち行かなくなったら、破壊するより方法はない」と遺言を残した。享年90。中国の「水利事業の良心」と称えられる伝説的な人物である。

もし「10年もたない」とすれば、期限は2019年だ。あと2年で三峡ダムは決壊するかもしれないのだ。タイムリミットは刻一刻と近づきつつある。唯一の解決策は、黄教授の遺言通り、人間の手で破壊することだけなのだろうか。