BBCが、『カナダの気温、過去最高の47.5度に 「ヒートドーム」現象で』という見出しで、太平洋に面した米国・カナダの北西部が、まだ7月にもならないうちから異常な熱波に見舞われていると報じている。
日本の気象庁の7-9月の3か月気温予報は
と穏やかなもの。
これに対し、BBCでは、かなりの警戒感で報じている。
カナダやアメリカの西部で記録的な熱波が続くなか、カナダ・ブリティッシュコロンビア州リットンで28日、47.5度を観測した。前日に46.6度を記録し、84年前の最高記録を破ったばかりだった。上空の高気圧が熱い空気を閉じ込める「ヒートドーム」現象が原因とみられる。
アメリアとカナダの両国政府は「危険」な高い気温が今週中は続く恐れがあると、市民に警告した。
カナダ観測史上最高を記録したリットンのほか、ブリティッシュコロンビア州の40カ所で最高気温の記録を更新した。カナダではこれまでの最高気温の記録は、1937年7月にサスカチュワン州の2カ所で記録された45度だった。
「ヒートドーム」現象では、停滞する高気圧が、加熱中の鍋の「ふた」のように機能する。BBCのニック・ミラー気象予報士によると、「ヒートドーム」は厳密には気象用語ではないものの、広範囲の高気圧が晴天と高気温をもたらす。高気圧が長期間続けば続くほど、熱波も続き、気温は日に日に上昇を続けるという。
北米大陸に現在かかる高圧帯は米カリフォルニア州からカナダの北極圏、内陸のアイダホ州まで、広大な範囲を覆っている。
冷房器具の販売が急増し、市内各地で涼をとるための避難所が設けられている。暑すぎて営業できないと一部の飲食店が休業した。暑すぎるからと休業した屋外プールもある。
ブリティッシュコロンビア州の電力各社は、冷房の使用が増え、電気需要が急増していると明らかにした。
カナダ環境・気候変動省の上級気象学者デイヴィッド・フィリップス氏は、放送局CTVに対して、「記録を破るのは好きだが、これは破るというより打ち砕いてこなごなにしている感じだ。カナダ西部の一部がドバイより暑くなっている」と言い、28日には47度以上を記録する地域もあるだろうと予測した。
同省は、「継続的で危険で歴史的な熱波が、今週ずっと続く」と予測し、多くの場所でこの時期の通常の気温を10-15度上回り40度近くを記録するだろうと警告した。
気候変動が異常気象の頻発につながると専門家の間で言われているが、個別の気象事案を気候変動と結びつけるのは容易ではない。
アメリカ北西部で「歴史的」熱波
アメリカ西岸でもワシントン州とオレゴン州を中心に、記録的な高気温が続いている。
米国立気象局(NWS)は現在の熱波を「歴史的」なものだとして、「日別や月別の記録、あるいはあらゆる記録を破る」気温が今週中、複数の地点で記録されるだろうとしている。
雨の多い街として知られるシアトルとポートランドは共に27日、最高気温を記録した。ポートランドは44度、シアトルは40度に達した。
オレゴン州は新型コロナウイルス対策の行動制限を緩和し、屋外プールや、冷房の効いたショッピングセンターなどの営業を認めた。しかし、ワシントン州のシアトルでは、プール周辺の表面が「危険」なほど高温になったため、1カ所のプールを閉鎖した。
オレゴン州ユージーンで27日に開かれていた、東京オリンピックの陸上代表選考会は、危険な高気温のため観客を競技場から退場させる必要が生じ、一時中断された。
暑さの影響でワクチン接種会場も一時閉鎖された。
NWSは内陸アイダホ州でも40度以上の気温が予測されるとして、同州の一部は「北西部内陸で記録されたことのない、きわめて極端で持続的な熱波」に襲われる恐れがあると警告した。
NWSは市民に、水分補給と体力温存を呼びかけ、近隣の高齢者など影響を受けやすい人の安否を確認しあうよう求めた。