記事を読むと、何のことない。従来のLiイオン電池の負極(アノード)は黒煙であったのを、LIにしたら、エネルギー容量が50%以上増えたとのこと。素人には小さいことに見えるが、そんなちょっとした工夫で大きな進歩を達成できるのなら、日本人技術者の得意とするところでは?
以下、記事の引用::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
従来のリチウムイオン電池では、2つの電極のうち一方の電極であるアノード(負極)のほとんどがグラファイト(黒鉛)でできている。グラファイトは炭素の一種であり、電解液を介してアノードとカソード(正極)の間を行き来するリチウムイオンを容易に取り込んで放電できる。この荷電粒子の流れが電流となって電池から流れ出て、モーターなどに電力を供給する。ただ、グラファイトはリチウムイオンのホスト物質にすぎず、リチウムイオンは炭素シートの間に入り込んでいる。荷物が棚の上に載っているようなものだ。グラファイトは、自らの力ではエネルギーを蓄えることも、電流を生み出すこともできない重荷なのだ。
リチウム金属電池は、アノード自体がリチウムでできている。つまり、電池のアノードに含まれるほぼすべての原子を利用して電流を生み出せるというわけだ。理論的には、リチウム金属アノードをベースとする電池は、グラファイトを使う電池に比べ、同じ重量・体積で50%以上多くエネルギーを蓄えられる。
ただ、リチウム金属は反応性が非常に高いため、液体電解質と常に接触していると反応が起こり、電池の劣化や発火の原因にもなる。そう語るのは、カーネギーメロン大学でリチウム金属電池を研究し、クアンタムスケープのコンサルタントを務めるベンカット・ビスワナサン准教授だ。別の問題として、リチウムイオンが行き来する際にデンドライトと呼ばれる針状の構造が電池内に形成される場合があり、電池のショートや発火の原因となることも挙げられる。
2020年11月に上場したクアンタムスケープは、秘密裏に10年間、研究開発を続けてきている。同社の固体電解質電池が上記の問題をどのように克服しているのかについての重要な詳細はまだ明らかにされていないが、性能は驚くほど優れているとされる。
2020年12月のオンライン・プレゼンテーションで開示された一連のグラフによると、同社の実験用の単層バッテリーは15分で容量の80%以上にまで充電でき、走行距離で数十万キロメートルまで使用でき、氷点下でも問題なく動作可能であるという。同社は、この電池によって電気自動車の航続距離を80%以上伸ばせると考えている。つまり、現在は1回の充電で400キロメートル走行できる車が、720キロメートル走行できるようになるということだ。
「クアンタムスケープには驚かされました」と、オークリッジ国立研究所の電池研究者で、固体電解質に関する先駆的な研究をしてきたナンシー・ダドニー博士は言う。「一見したところでは、とてもよいと思いました」。だが、博士は「他の電池の進歩においても、以前に同じようなことはありました 」と付け加えた。
ダドニー博士が指摘するように、画期的技術を期待されながら結局失敗に終わったスタートアップの例は、電池の分野では枚挙にいとまがない。クアンタムスケープをこの先待ち受けている課題も困難を極めるものであり、その中でも、試作セルを商用化し、製品として低コストで製造できるようにすることについては、とりわけ苦労しなければならないだろう。
同社が成功すれば、電気自動車市場を大きく変えることになるかもしれない。コストが削減され、航続距離が伸び、ガソリンスタンドで給油するのと同じくらい便利に充電できるようになれば、何千ドルもの大枚をはたいて自宅に充電ポートを設置できるようなお金持ち以外にも売れるようになるし、遠出すると足止めを食らってしまうのではと心配 …
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次世代自動車の普及拡大のために
地球温暖化問題の解決には、CO2の排出抑制が必須です。運輸部門では、ガソリン車から電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド自動車(PHEV)など次世代自動車への早期転換が求められています。そこで課題となるのが、現在のEVを駆動するリチウムイオン電池の高エネルギー密度化、安全性の向上、低コスト化などです。 株式会社東芝は、動作不良の一因となるリチウム金属の析出が発生しづらい「チタン酸リチウム(LTO)」を負極材に使うことにより、極めて高い安全性を備えたリチウムイオン電池「SCiB?」を2007年に開発しました。さらに市場の要請が強い「高エネルギー密度化」や「高出力化」に対して、2012年からのNEDOプロジェクト「リチウムイオン電池応用・実用化先端技術開発事業」に参画し、正極と負極の接触防止のためのセパレータの薄膜化などによって、革新的な二次電池(蓄電池)の実用化に取り組み、2015年に「23Ahセル」、2016年に「10Ahセル」の開発、実用化に成功しました。
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