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「ものの見方について」笠信太郎著です。
この本が最初に刊行されたのは、敗戦後5年を経た時点でした。私は生まれていません。
筆者は、朝日新聞のヨーロッパ特派員として異郷の地で、日本と日本の将来について悶々として考え続け、活路を探し求めていたのでした。
冒頭にあの有名なくだり、「イギリス人は歩きながら考える。フランス人は考えた後で走り出す。そしてスペイン人は走ってしまった後で考える」がありますね。日本人は??それぞれの国民の「ものの見方」「考え方」を社会、経済、政治、文化、歴史の各方面と結びつけながら解き明かし、その中から日本の学ぶべきものを鋭く指摘しています。
高校1年生の時、この本に触れ、未熟なりに、考えさせられました。その後、改訂されたのを求めたのは、今世紀に入ってからでしょうか。
そしてこの2日ほどで、ほぼ忘れかかっていたこの本を再読しました。
現代に、この国民論が合うかどうか、は、疑問の余地もあります。国家間の相違より、個人の個性の違いといったほうが、すっきりするとまで言えるかもしれません。ただ、個人も背景があってこそ、私たちが日本人だからこそ、たとえば、コロナ禍もスムーズに乗り終えられた、なんてめでたく拍手喝采、自画自賛していたのもつかの間、最近はそうもいっておれないひっ迫した事態が繰り広げられています。
将来この国を背負うはずの若者が自分を、自分の身近な周囲を大切にするという基本的最低ラインを死守できない、そんな風潮に、日本の国民性もへったくれもない、と虚しくなる人も少なくないでしょう。
もう時代遅れかもしれませんが、この本は色々考えさせてくれました。
ここに記すには、少し頭の整理が必要なので、いずれまた読了感を残したいと思います。