ぽかぽかと行きましょう

急がず、後れず。自分の歩幅でぽかぽか行くようなブログです。

いろ波・4 紅梅色

2007年02月12日 | 色の世界

「紅梅色(こうばい いろ)」。

日本の春の始りを告げる花、梅。 中国中部原産でバラ科。日本で山野に野生化したものが各地に。もともと薬用植物として使われたので、薬用の烏梅(ウバイ)が中国から入ったのが最初でウメに転じたとも、また梅を中国語でメイと発音するとこからウメとも。

さて色の話、白梅が主体で、紅梅紅梅色よりは赤い。

紅梅の花は、赤いので清少納言は、見飽きのする色だといっている。「すさまじきもの」として季節外れの紅梅の衣(きぬ)をあげている。

しかし王朝文学のなかでは、紅梅色は美しい色の代表としてしばしば登場する。薄いピンクの染色は愛好されたらしい。

襲(かさね)の色目の「紅梅の衣(きぬ)」は表が紅(くれない)裏が紫とされている。

早春を過ぎると、「すさまじきもの」と清少納言に言われるので、今のうちに。 色にも賞味期限が有るらしい


いろ波・3 木賊色(とくさいろ)

2006年12月18日 | 色の世界

こんなところで、木賊(とくさ)を見つけました。大通りに面したビルのエントランスの軒沿いに、木賊が植わっているのです。一般的にはつつじのような花の咲く低木や、青蔦を這わせるところですが、このビルは、木賊が整然と並んで植えてあります。

古い日本家屋の庭の片隅や、雪隠(せっちん、昔玄関脇の表に有った お便所)の脇などに植えられていたものです。私も久しくお目にかからなかった植物なので都会の真ん中でビルとの取り合わせが妙にモダンで斬新な感じに見えました。

他でもデザイナーの好みで、コンクリートの打ちっぱなしの建物に沿わせて植えることもあるのかなと思いました。上野公園のように多くの植物があるところでも見かけないのですが。

このあまり一般的でない植物の木賊の色が、伝統色名の木賊色と言うことは、かっては何処ででも見られた身近な植物であったのでしょう。

鎌倉時代以降中世の物語にも木賊色の狩衣や水干の記述があるとのことです。色は木賊の色そのものの深い緑色でやや黒味をおびた色。木賊(とくさ)を知らない人や、木賊をモクゾクと読む人には、もはや色名として通用しないのではと心配するのです。

シダ植物で、多年草、およそ一寸間隔で、竹のように節のあるこの木賊がビルの軒先で健在でありました。

砥草とも書くように、この茎はサンドペーパとして物を磨くのに役立てたそうです。

ところで、深緑の木賊色の色無地のきものは、中年配の方の慶弔両用のきものとして、お勧めしています

白っぽい格調のある帯を合わせますとセミフォーマルとして、また喪の帯(染め帯、織帯)で、通夜や、法事のきものとしてお召しいただけます。


カテゴリ・色の世界のご紹介

2006年12月11日 | 色の世界

カテゴリに『色の世界』を入れてより、今日で14回目。

「今日のお色目」で、12回。「いろ波」に改め2回。

来訪者の皆さんに、なるべく『色の世界』カテゴリを通しで読んで頂けたら有り難いなと、ずうずうしくも思っている投稿者です。

「今日のお色目」は冗談めかしたものでしたが、「いろ波」は、もう少し真面目に、自らも勉強のつもりで記事に致します。

またご意見、ご叱正が御座いましたら、コメントを通じてご指導賜りますれば、有難き幸せに存じます。

吉天の「色の世界」いろ波を、引き続き宜しく御願い申し上げます。


いろ波・2 朽葉色

2006年12月11日 | 色の世界

日本の色は、自然界の色を取り入れて楽しんできた。

朽葉色(くちばいろ)は、前回の柑子色(こうじいろ)に続く、黄赤系の色として平安時代から鎌倉・室町時代の物語に多出する。老いも若きも広く着用している。

衣裳の色を季節に合わせて着ることの出来たのは、藤原氏など上流貴族で、今で言うセレブな人たち、色の黄金時代といわれる。

したがって、物語に残されている色は、贅沢に衣裳を着る事の出来た、一握りの特権階級で、一般庶民はおおよそ色とは無縁であった。貧困層と、都市の貴族の格差は、現代の格差の比ではなかったと思われる。

中世の武人に受け継がれた伝統の色は、時代が下って江戸時代になって、ようやく一般大衆に色への関心が拡がり、好みの歌舞伎役者の衣裳の色が、当時のファッションであった。

日本の伝統色は、今 はその人の好みに応じて誰でもきものにして、楽しめる。

朽葉色は、秋を彩る紅葉(こうよう)が落ち葉となり地面に散り敷いて重なり朽ちてゆく晩秋の景の中に見られる色。

赤みのある赤朽葉、黄色の強い黄朽葉、緑の色合いの残る青朽葉とあるが、微妙な色の違いから朽葉48色と数えられるほど。その代表が朽葉色。

現代のきものに染める場合、柑子色よりも赤味の少ないこの朽葉色の方が、調和がとり易い。

色名事典や、色見本帳は印刷により、同じ色名でも編者の認識により色が異なる。前回も述べたとおり布の染め見本で確認のうえ染め出しされたい。

歳時記にも、枯葉、落ち葉についで、朽葉があるが作例は少ない。

      山の井に色よきままの朽葉かな  素外

こちらは古井戸の水底にたまった朽ち葉が以外に色鮮やかなのを詠んだ句。


いろ波・蜜柑色

2006年12月09日 | 色の世界

カテゴリ「色の世界」で、その時々の色を話題に「今日のお色目」として来ましたが、今回から「いろ波」としてご紹介して行きたいと存じます。

スーパーや八百屋さんに、蜜柑などの柑橘類がならび、冬至(今月22日)には、ゆず湯につかって冬の健康に備えます。

「蜜柑色(みかんいろ)」は、文字通り蜜柑の色でポピュラーな色名です。

柑子蜜柑といって、日本原産の蜜柑のこと。柑子色(こうじいろ)と言う色名で古くから呼ばれていたが、蜜柑色といわれるようになったのも古い。

平安朝の柑子色が現代の蜜柑色であろう。 

源氏物語には萱草色(かんぞういろ)と称されている。これは柑子や蜜柑の色でなく黄色から橙色(だいだいいろ)の百合に似た小さな花の色で、一日で凋むところから、平安朝の人々は、この花の色に染めた「萱草の襲(かさね)」を喪に服すときの色としたと言う。

色名の根拠や出自はともかく、同じ色相である。オレンジ色というのも、現代はよく口にされるが、このオレンジよりも幾分黄みを帯びているのが、柑子色や蜜柑色である。

さて、この色をきものに用いるとすると、黄赤系の彩度の高い色でストレートに色無地のきものに染めると派手な感じで帯あわせが難しくなる。

同じ系統の色と言うことで、トーンダウンした色を用いる。そして生地も、光る素材のものでなく紬の無地のような生地で落ち着いた感じにしたい。 もちろん きものを着る方の好みで、明るくぱーとしたのが似合う場合もあるのですが。

そして誂え染めの場合必ず、染め見本は布(絹布)に染まったもので指定して染める。それもなるだけ大きな染め色見本が望ましい。

小さな布見本でイメージしたものが、反物に染め上がって想定外の色になる。まして印刷された色見本(カラーチップ)や、グラビアのカラー写真をもいで、この色と言われた場合は、布の見本帳の中で最も近い色に置き換えて確認しないと、染屋さんの職人さんはは受け付けない。

日本の色は、天然自然の色、主に植物からその名をとっている。そして染料も、草木染などに見るとおり、植物染料である。

化学染料になってからも、色名は伝統色の名で呼ばれている。

余談だが、映画がカラーになった時、「総天然色でワイドスクリーン」の迫力に胸躍らせて映画館に通った時代があった。

今は、何でもカラーだから、テレビも新聞も、年賀状?も総天然色で、はじめてカラーになった時の映画のような感動はない。

そこへ行くと、きものは昔からすべて総天然色だったから、すごい。

ところで、「いろ波」は、色と きものの結びつきを投稿して参りますのでどうぞ今後とも ご贔屓に願いあげます。


今日のお色目12・葡萄酒色

2006年10月08日 | 色の世界

11月16日の解禁に向けて、デパートなどの通販予約のダイレクトメールの舞い込む、ボジョレーヌーボーの季節となった。

秋の味覚の色目第三弾は、ぶどう。 先に栗色・柿色をご紹介したが、葡萄色(ぶどういろ)なる色名はなく、葡萄酒色となる。

葡萄酒色・ワインカラーは、秋のファッションカラーとして欠かせない。赤ワインの色は、フランスのボルドーから舟積みされるワインの色が、ボルドーとして色名に定着、一般に暗い赤紫色のこと。鮮明な赤ワインの色はワインレッド。

自分の好みのワインの色をイメージするのでもっと透明感のある色をワインカラーと決めている人もいるかもしれない。

日本では、古来 葡萄色(えびいろ)と称して山葡萄の熟した実の色で暗い赤紫の色が伝統色名であったが、海老色にすりかわってしまった。葡萄の古名が「えび」であったとは、忘れ去られ 「えび」といえば、海老でイセエビの殻の色から、海老色ができてしまったとはお粗末。

文明開化の女学生の海老茶袴の色と、ワインカラーとは別物ということに。 

えびちゃんのことではないよ。 えびちゃんのことよく知らない爺様。


今日のお色目11

2006年09月21日 | 色の世界

故郷はもうすっかり色づいた頃かな。

今日のお色目は、秋の味覚第2番目、柿色

前回の栗色も、色々でしたが、お馬さんの好きな方には、栗毛もありましたね。 馬場で栗毛の駒がかけるのを双眼鏡で追って見る興奮を楽しむ方も居られる事でしょう。

さて柿色に戻りましょう。

柿色も、色目や濃淡で種類があり、柿色と称して、茶系のもの、朱系のものがあります。

柿渋で着色した茶系の柿色とは古くからのものでしょう。

近世の柿色は、熟した柿の実の色でオレンジ色に近い照柿(てりがき)を言います。 しかし、熟さない薄く黄みを帯びた色も、柿色と称するので、色見本などでどっちと確認するか、薄柿色と区別が必要。 近衛柿も赤味の少ない柿色。

東洋原産の柿は、フランスやドイツでは、そのままカキ(kaki)と言う色名だそうです。英語では、パーシモンが色名です。

陶磁器の柿右衛門の赤絵は柿の色を目指したものと言われます。

歌舞伎の舞台の定式幕(じょうしきまく)の萌黄、、黒の三色の中の、茶色の部分が、柿色柿渋染めからきている茶。

歌舞伎と言えば、団十郎の「暫」の素襖(すおう)。団十郎茶として有名であるが、これも茶系の柿色のひとつ。

食欲の秋には、果実の柿の色の方を思い浮かべる。

どうも、歌舞伎もいいが、胃の腑を満たす柿の方が先のようで。


今日のお色目 10

2006年09月10日 | 色の世界

秋の味覚の色目は 栗色 柿色 葡萄(ワインカラー,葡萄酒色)

栗色落栗色栗皮色

一般的に栗の実の色、栗の皮色そのままの色、栗皮色の赤茶色である。

襲(かさね)の色目に、落栗という色目がある。秋の色目で表が蘇芳(こきすおう)、裏が香色とされている。落ちたばかりの栗は、赤みが強く見えたのであろう。

栗は英語や、フランス語、ドイツ語、イタリア語の各国語の色名にあり、ヨーロッパではファッション・カラーとして多く取り上げられている。

イタリア語のマローネ、フランス語のマロン、その後英語のマルーンが定着した。日本の栗色よりも赤みが強い。日本の栗色は茶系統で、栗梅という色があるが、薄い茶色に赤みがさしたもので、マルーンとはかけ離れた色である。

柿色は次回にゆずる。

外に出ると、月がきれいで虫が良く鳴いている。 PCに向き合ってばかりいないで、外の空気を吸おう。 秋の夜なのだ。


今日のお色目 9

2006年08月23日 | 色の世界

早実の斉藤佑樹投手 再試合の最後の一投が連日の熱戦を締めくくった。 試合中 汗を拭ってきた木綿のタオルハンカチがピッチングの凄さの陰で、人々の目にとまり 一躍こちらもハンカチ王子の異名を取ってしまう人気ぶり。

何気に母親が用意してくれたであろうハンカチが、青い色だったのが幸いした。  さわやかな印象とともに人々の心をひきつけた。

あまりの人気ぶりに、同じハンカチを求める人たちがデパートなどのハンカチ売り場に殺到したと言う。

どう言うハンカチであったか、検証のとりざたまで かしましい。   おそらく実用的なタオルハンカチとすれば、テレビで見る限り薄い青色。

わたくし的に、断定すれば この色は空色。 すみきった日本の空の色。

空の色も、国によって微妙に違う。 太陽の光が大気圏に入って、大気の粒子によって散乱現象を起こし青空となる。 色は光の波長で、スカイブルーの色も大気の状態でその青さ加減もさまざま。

各国語の空色を表す言葉も、色彩辞典をひもとけば、国や民族の歴史、文化にまで及ぶ。

さて、斉藤投手のハンカチの空色(青)は、内に秘めた熱い闘志を持ちながら、たとえピンチに臨んでも、沈着冷静に切り抜ける効果があった。クールといわれるゆえんである。

青は、赤の対極にあって、興奮や緊張を冷まし和らげる色と言われている。 まさしくカラーセラピー効果に適合したハンカチでありました。 

ただし、ハンカチ程度の青の分量でよかった。 冷め切るほどの青であったら、ブルーな気分になって闘志も沸かなかったのでわ。

いずれにしても、日本中を熱くした歴史に残る大試合に快さい。


今日のお色目 8

2006年08月03日 | 色の世界

緑色 

ここは みどりの里、梅雨が明けて緑の濃さが一段と増しました。

夏草、菜園、梨畑 そしてトトロの出てきそうな森や林、 あっ~猫バスが飛んでくる。  緑の間をぬって お空をかけている。

ね。聞いている? 空だよ。 何。 上の空(うわのそら)。

今日は、朝から 玄関脇の「隠れ蓑」の樹を剪定致しましたよ。

枝葉が生い茂って もう大変。 最初は細い樹で瀟洒な たたずまいで有りましたが、三十五,六年もたって、幹も太いところは若い女の子の太ももほども御座いますの。

毎年 この時期に剪定して、すっきりし風通し良く、夏を迎えますのじゃ。 すべすべした柔らかい葉のいっぱいついた枝を落として裸同然。 これでは「隠れ蓑」になりませんわ。

きものの模様に、「宝尽くし文(たからずくしもん)」 と言うのがありまして、おめでたい吉祥文様なんで御座いますが。 ご存知。

お宝いっぱいの模様です。つまり桃太郎が、鬼が島からぶん取ってきた戦利品の山を思い起こして頂ければお分かりいただけるかと存じますって。 ご幼少のころ絵本とか、紙芝居でご覧になっているかな。 いやもう 「アニメしか見てないよ」。

それではどんな物が、お宝かと申しますと、まあ、人間の願望とか欲望を叶そえてくれる便利グッズですぞ。 通販なんかで売ってません!

打てば宝が出てくる「打ち出の小槌」、思いのままになる「如意宝珠」、お蔵や土蔵の「鍵」、砂金や金貨の入った「金嚢」、金を量る「分銅」、祇園社の護符「祇園守り」、仏法の「丁子」や「七宝」などなどの中に、「隠れ笠」、「隠れ蓑」がある。

そこで問題。 何ゆえ、「隠れ笠」や「隠れ蓑」がお宝なのか?

ファイナルアンサー

人間は、透明人間願望があって、他人に見られないで自由に行動したいという思いが「隠れ蓑」に象徴している。

隠れ笠、隠れ蓑を身につければ、防犯カメラなんぞに映ら無い優れものなんだ。 すごいお宝。

「隠れ蓑」ひとつに、こんなに説明しておる間に今日は昨日になってしもうた。 時間の止まる時計を、お宝に加えましょう。

総理は、多事多難の中、漁港にマグロ視にいったとか。

次の総裁選まで、時間よ止まれ!って出かけたんじゃ。

緑のお色目についてじゃった。 そうじゃった。そうじゃった。

緑と一口に言っても、黄緑に始まり自然の植物から付けられた色名がわんさとある。

一つひとつの事は、次に譲って。

草木が緑に色づくことを 日本では「青い」と伝統的に形容、修辞してきた。

青山、青田、青葉、人間も青年、青二才と。

若武者の鎧も、萌黄おどしのと「平家物語」に多出して緑系統の色は、ヤングメンの晴れの武具に使われる色だ。

青信号 皆で渡れば怖くない。 アレー 当然だよな

信号は、青信号でも になってから渡りましょう。

緑は、青とも言う。 どちらも正解。 今日はここまで。

ご苦労様でした。 自分をねぎらってやりたい。

でも、こんなん 誰も読んでくれへんのちゃうか。

コリズニ、またのお越しをお待ちしてます。