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ぽかぽかと行きましょう

急がず、後れず。自分の歩幅でぽかぽか行くようなブログです。

今日のお色目 7

2006年08月01日 | 色の世界

昨日 駅で見かけた おひとさん(女性)の きものの色が素敵でした。

ずばり うす小豆色  と言いたい。 が。

そのような色名はないらしい。  星の数と同じくらいの色があるので、先人も名はつけきれない。 いや、どの色も世界に一つしかない色と言うのが本当だろう。

小豆色と言うのは有るが、生の小豆そのものの色。  日本に小豆が渡来したのは奈良時代以前だそうであるが、染色の色名としては江戸時代。

私の言いたいのは、この濃い茶色の小豆色ではなく、お菓子というか、携帯汁粉の最中の皮を割って中の小豆と砂糖の混ざった白っぽい粉の淡い色、熱湯を注ぐ前の小豆の粉なんです。

類似の色から探せば退紅(紅花染めの薄い色)、珊瑚色のやや薄いのに近いのか。一日置くと色の記憶も確かとはいえないので再現は難しい。

ともかく そのような色の無地染めの絽縮緬。紋ひとつ背に染めぬきで、帯は白地の絽つづれ帯。 華紋が金銀に色糸で織られてお太鼓の右うえを柄として飾っている。 涼感を呼ぶ組み合わせ。

この きものの佳人はお茶人でありましょう。            

少し背の高いすらっとしたおひと。 残念ながら後姿しか拝見できませんでした。


今日のお色目 6

2006年07月30日 | 色の世界

牡丹色(ぼたんいろ)

昨夜は隅田川大花火大会、今年もテレビの中継で観賞。

花火・ゆかた・藍色~ 近年のゆかたはカラフルになり、連想は藍色につながらない。

  「一瞬の命はげしき大花火」   上野章子

花火もさまざまに趣向を凝らしたデザインで、色も形も 大空狭しと いっぱいに繰り広げ、かっての花火の情緒をかき消す勢い。

一瞬の~ 刹那みたいなものと、ちょっと違う。 江戸の粋はどこへやら。

バラエティと、イベントと、番組宣伝、それにコマーシャル。喧騒だけが、TV中継の花火。やはり現地の大川端へゆくべきかな。女

かって放浪の画家、裸の大将、山下清の ちぎり絵の「花火の図」を思い起こし、花火の色って、どんなだったかな。

花火は光、色は白、白はすべての色(光)の集約。

色即是空、般若心経に 色は有る様でない、無い様で有る。 なんちゃって(知ったかぶりの出来ない気弱な人間の照れ隠しの言葉)。

そこでもう一つ 夏の季語「水中花」 かな女の句

    「水中花菊も牡丹も同じ色」  長谷川 かな女

命の無い造花も、水につかると、涼しげに生きているように見える。それでも実際の花と違って、色は菊も牡丹も同じような色。

一瞬に大空に消える大花火、手元にて水を得て 生かされているが如き、水中花。 いずれも人間のはかない生命(いのち)を象徴するような夏の景物。

「候補者は花火をあげてまわるなり」  吉天子

やっと、牡丹色にたどり着きましたよ。

赤紫、赤と紫の中間に位置する色、花の王、牡丹から連想する赤みの強い華やかな色とは少し違うようでもある。

歴史的には七,八世紀、黒紫、赤紫と書かれている。

平安朝の「襲の色目(かさねのいろめ)」十二単のような重ね着の配色美の中に、牡丹と言う名がある。

花の名からとった日本の色名は優しい。現代は化学染料や、合成染料によるもので、牡丹色に近いもので洋紅色(ようこうしょく)、マジェンタである。

マジェンタは、印刷インクなどの三原色の一つでマゼンタともいう。

カラー印刷では、このマゼンタ(赤)シアン(青)イエロー(黄)の三原色に、さらにブラック(黒)の組み合わせで、さまざまな色が印刷再現される。 黒を含む四つの色を マゼアワセるのに、マゼンタとは。

ああ::疲れた~


今日のお色目 5

2006年07月25日 | 色の世界

今日のお色目は、セピア色

もとは、烏賊(いか)の墨から作った絵の具の色。

甲烏賊の意味のセピアから、ギリシャ語、ラテン語を経て英語にもそのまま使われてきた、きわめて歴史の古い色。

昔の銀版写真が古びてセピア色になり、映画やドラマで回顧するシーンで、セピア色の写真が登場したりする。

かって、新聞 雑誌のグラビア印刷にもセピア色のインクが用いられた。 今もプリンターでセピア調に変えてプリントするのが流行っている。

昭和の時代のモノクロ写真は、さまざまなことを回顧して、よみがえらせる。

セピアを、国語辞典でひくと、暗褐色とある。


今日のお色目 4

2006年07月22日 | 色の世界

今日のお色目は、浅葱色(あさぎいろ)

たった今、NHKの「BS日本のうた」で、熱唱の石川さゆりが、着ていた きもの の色。

縦絽の生地に浅葱色の地色の訪問着。模様は金泥と白のぼかしで雲が描かれている。 帯は薄い朱色の草花文様の紗の袋帯と見た。帯締めを何時ものように斜に締めて着慣れた着物姿は、夏なお涼しげである。

浅葱色(あさぎいろ)は、葱(ねぎ)の若葉の色を意味するが、実際は、水色よりもやや濃い色、薄い藍色。 青系統の色は、藍染の染め具合で、濃淡いろいろで、伝統の色名も数多く分かれる。

さて、近頃のジャパンブルーは、日本の色名で何と言う。 藍染から来る日本の青は、幾分緑がっかっている。日本の紺色を意識して、ジャパンブルーと言うのであろうが、ユニホームなど良く見ると、プルシャン・ブルーに近い。

プルシャン・ブルーは、1704年にドイツとフランスでほぼ同時に発見された青い顔料と言う。 当初発見地から、ベルリン・ブルーとかパリス・ブルーなどと呼ばれたが、当時のベルリンはプロシャ王国の首都だったので、プルシャン・ブルーに落ち着いたと言うお話。

先ごろ、ドイツで開催されたW杯に、ジャパン・ブルーとして乗り込んだのは、プルシャン・ブルーであったとは、浅(浅葱)からぬ因縁の物語。


今日のお色目 3

2006年07月19日 | 色の世界

今日のお色目は、桑の実色です。

大相撲名古屋場所、TV解説のアナの言葉に、今日 雅山の絞め込み(まわし)の色は「桑の実色」ですと放送していた。桑の実のような濃い赤紫色のこと。マリー、とかマルベリーとかで、マルベリー・フルーツの色名になる 

日本で言う桑色とは、まったく違う色である。桑色、桑茶は、桑の樹皮を用いた植物染色である。また桑の実を用いて染めたものを、桑染めと言う。こちらは、ほんの少し褐色味をおびた薄い茶色のこと。

本日の取り組みで雅山の、締め込みは前者の濃い赤紫色の「桑の実色」でした。ちなみに今日は白星で飾りました。  


今日のお色目 2

2006年07月10日 | 色の世界

桔梗色(ききよういろ)

 隣の花は美しい。近所のお宅の庭には、よく植えられている。残念ながら我が家の庭にはまだ植えてない。今どき花屋さんでも揃っている。この桔梗の花の色、身近に見ることが出来て分かりやすい。

この花の色のような渋い青紫色は紫草の根で染める場合と、 二藍(ふたあい)、つまり藍と紅花を掛け合わせる方法がある。(吉岡幸雄著、日本の色辞典)


今日のお色目 1  利休鼠

2006年07月08日 | 色の世界

ねずみ色、江戸時代は茶色やねずみ色が流行った。江戸の人たちの好みに合った。

緑がかったグレイ。抹茶や茶葉のイメージから茶人の千利休の利休が冠され、利休鼠といわれる。「城ヶ島の雨」(大正2年)で、利休鼠の雨がふると歌われ、ねずみ色の代表格になったが、グレイは、黒から白に至る無彩色、無数のねずみ色に、江戸の人はひとつひとつに、色名を付けて風流を味わい「百鼠」と称されるほどであった。

 利休鼠のほか、 深川鼠、藤鼠、銀鼠、おそらく名前を付けた人以外は容易に区別もつき難いのではと思う。

現在、頭の黒い鼠族の間では、グレイと言う。法にふれるか、ふれないかの部分をグレイでかいくぐる。 近頃 貸金業者の金利のグレイゾーンが有名。

政治家のいかようにも取れる表現を「玉虫色」と言うが、こちらは別。

梅雨空と、じめじめした空気も、江戸の人たちは、粋にからりと受け流して、生活を楽しんできた。 朝顔市、ほうずき市のころ。  今日の朝顔市には五万人の人出と予想されていたがどうだったかな。