落葉髪

駅のエレベーターに乗ると、監視カメラのモニターに、吾輩の後頭部が映し出される。
めっきりと薄くなり地肌さえ見える。
朝、鏡台で梳ると、白髪がはらはらと数本抜け落ちる。
子供のころ、老人の白髪がそこかしこに落ちていると変に不潔に感じたものだ。
特に黒い衣服や、濃い色の敷物に白いものがまつわりついていると目立ってしょうがない。
今、自分がそのような年になり、周りに気を使うとともに、綺麗な老人でいたいと思う。
専用の掃除機や、コロコロ（粘着埃取り器）で取り去る。
「落葉」は、冬の季語。
　　「落葉髪老木として生きにけり」　　吉天