国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

21世紀の中東・東アジア新体制を巡る欧米とイラン・ロシアの秘密同盟

2011年09月06日 | 中近東地域
私は、欧米諸国は団結してアルカティーフ地域の分離独立を推進する意図があると考えている。欧州にとって、地中海の南側で広い海上国境で接するアラブ諸国は最大の脅威である。このアラブ諸国の勢力を弱体化させるには、その富の源泉であるペルシャ湾岸の油田を奪い、地域内のライバルであるイランの手にそれを委ねることが望ましい。イランやシーア派は面積も人口もアラブ・スンニ派より少ないので、その勢力を強めてイスラム内部での勢力を均衡させることを狙っているのだと思われる。欧米はもはや軍事力でアジアを押さえ込むのが不可能であることを理解しており、それ故に軍事力なしで外交的に中近東のイスラム地域をコントロールする方針だろう。 トルコが反イスラエルの動きを強めていること、ロシアが旧ソ連領中央アジアへの影響力を回復していることも注目される。トルコ系民族は欧州やロシアのキリスト教徒地域と、中近東北アフリカのアラブ・ペルシャ系民族地域の間に存在する。また、欧州やロシアの影響を受けて西洋化している。恐らく、欧米やロシアはトルコをイスラム地域での代理人として扱うつもりなのだろうと思われる。日米とロシアの海上共同演習も注目される。これは明らかに中国の脅威を封じ込めることが目的である。日本は欧米やロシアにとって、中近東でのトルコと同様に、東アジア地域で中国の脅威を封じ込めるための代理人としての役割を期待されていると思われる。日本としてはこの役割を果たしつつも、中国と組めるところでは組んで国益を追求し、中国の発展に恐れをなした欧米やロシアが日本に頼ってくるところで更に利益を得るという漁夫の利の戦術が望ましいだろう。 故サミュエル=ハンチントンは「文明の衝突」で、西欧の敵として儒教・イスラム連合を取り上げた。冷戦終了後の西欧の戦略はこのシナリオに沿っていると思われる。 . . . 本文を読む
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