国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

欧州債務危機の結末は、英仏両国の経済的破綻とドイツの一極体制確立

2011年09月15日 | 欧州
私はPIIGS諸国は欧州債務危機の先駆けに過ぎないと考えている。最も重要なのは、ドイツと政治的・経済的に同格と見なされてきた英仏両国の経済的破綻である。 フランスはユーロが暴落した状態でも輸出する商品が乏しく貿易赤字である。対称的に独やオランダやスイスなどのドイツ系国家は膨大な貿易黒字を上げている。経済力は国力の最も重要な指標であり、ライン川を挟んで独仏間には巨大な格差が存在する。また、イギリスは独自通貨を有しており現時点では債務危機に巻き込まれていないが、イギリスの経済は金融業に大きく依存しており、その金融業がもはや壊滅状態になっている以上、イギリスの未来はお先真っ暗である。 イギリスとフランスは国連の常任理事国の地位、核保有国の地位によってドイツの経済力に対抗してきた。しかし、英仏の核武装はかなりの軍事費の出費を必要とする。ドイツに比べて国力が劣る英仏両国が核武装を継続するには、両国の国民が低い生活水準に耐える必要がある。しかしながら現実には両国国民はドイツ人並みの高い経済水準を享受し、長い休暇で遊び歩いている。こんな現状は絶対に継続不可能である。 最終的には英仏両国は金融市場から攻撃を受け、大幅な軍事費削減を強いられ、核武装を維持できなくなりそれをドイツに売却していくことになると思われる。場合によっては日本に売却ということもあり得るかもしれない。大砲とバターの両方を実現するには高い経済力が必要であり、欧州にはそれが可能な大国はドイツしか存在しないのだ。 第二次大戦後の欧州は英仏独伊の四大国が存在し、連合国の英仏が優位で枢軸国の独伊が 劣位という状況が続いてきた。それが今崩壊しようとしている。21世紀の欧州はドイツが覇権を握り、オランダやスイスやオーストリアや北欧諸国などの小国と共に欧州を牛耳っていくことになるだろう。そして、英仏両国はドイツの衛星国に転落していくことだろう。ヒトラーが夢に描いた、ドイツの欧州制覇が実現しようとしている。 . . . 本文を読む
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