珊瑚の時々お絵かき日記

夫と二人暮らし、コロナ自粛するうちに気がついたら中国ドラマのファンになっていました。

老婦人階段を上る

2012年07月26日 | 日々のこと

駐車場に行くために、東急百貨店の北側出口、地下から路上へでる階段を上ろうとしていた。

そこを上りきったところにタクシー乗り場がある。

そのタクシー乗り場に向かっているのか、白髪の上品な老婦人が階段を上っていた。

大き目のバッグと、東急の紙袋を提げている。

母と同じくらいの年齢に見えるけれど、スリムで、母よりずっと元気だ。

母なら、一人でデパートなんて、絶対にない。

お洒落な人なのだろう、パンプスを履いている。

とはいえ、老婦人の紙袋はかなり重そうだ。

大丈夫かしら・・・

何となく見守るような気持ちで、その後をゆっくり上った。

老婦人は、慎重に一段上がるごとに息を整えている。

これなら大丈夫かなと、私の不安も消えかけた。

ところが、中ほどまで上がったところで、案の定というか、

体がバランスを崩して、後ろにぐらりと倒れかけた

手に提げた紙袋とバッグの重みが後ろに残って、体が引っ張られているのだ。

やっぱり

半ば予期していた私は、何とか彼女の背中を支えることができた。

「このくらい大丈夫と思ったんだけど・・・やっぱりエスカレーターに乗れば良かった。

ほんとうにすみません」

 なんとか体勢を立て直そうとしながら、何度も頭を下げる。

ショックだったのだろう、声が震えているようだ。

「いいえ、何でもありませんよ」と、私。

彼女の荷物を引き受け、腕を支えて一緒に階段を上がる。

タクシーに乗せて、バッグと紙袋を渡すとほっとした。

 

あの老婦人は、二度とあの階段を上らないだろう。

もしかしたら、デパートにも来ないかも。

それが良いことなのかどうかわからない。

自分の母親だったら、

「だから一人でデパートなんか行くからでしょう、もうやめてよ!」

と、叱責することだろう。

でも、そうやって高齢者は行動範囲を狭めていくのだろうと思う。

そして、それは、結局老化を早めることになるのではないかしら。

危ないからと禁じるか、

何かあったら、それはそれで仕方がないと割り切るか

難しい

どちらにしても、後悔は付きまとうに違いない。

・・・・

 とりあえず老後に備えて、私は足を鍛えるわ