SIX BOMBのように、過剰な美容整形に走るK-popスターらの影響力を
阻止しようとする韓国政府の対応に、今週大騒動が勃発した。
K-POPが世界の音楽シーンを席捲するにつれ、若いミュージシャンたちは
頂点の座を虎視眈々と狙っている――しかも、彼らの大半は見た目が
そっくりだ、というのが韓国政府の見解だ。
去る週末、政府は韓国内のTVプロデューサーおよび放送局に対する
新たなガイドラインを発表し、時間帯を問わず、1回の番組に登場する
K-POPシンガーの人数を制限するよう提言した。
国内の視聴者の間に広がる美容整形への強迫観念を一掃するのが狙いだ。
「TVの音楽番組に登場するシンガーは双子ですか? 冗談ではなく、
みんな瓜二つです。そのほとんどが(K-POP)アイドルグループの
メンバーです」 コリアタイムスによれば、韓国政府・女性家族部は
ガイドラインでこのように指摘。さらに「シンガー間の同一性」が、
美に対して偏った考えを促していると付け加えた。当局はK-POPスターの
外見が「度を越してそっくりだ」としたうえで
(「やせ細って、似たようなヘアスタイルとメイクをし、露出度の
高い服を着ている」)、「TVでの見え方に対する過剰な懸念」が、
10代の若者や子どもたちに悪い影響を与えかねないとも述べた。
実際、そうした子どもたちの多くは、すでに美容整形を奨励する文化に
生まれ育っている。K-POPアーティストの中には美容整形を公然と
勧める者もいて、たとえば女性4人組のバンドSIX BOMBは複数にわたって
整形手術を受けており、自分たちが様変わりするようすを悪気もなく
動画に収めている。
大勢のK-POPファンは政府の提言を歓迎しなかった。
インターネット上ではガイドラインに反対する署名運動が広まり、
野党の政治家はこのガイドラインを全体主義的だと批判した。
これを受けて当局は火曜日、「不必要な誤解」を招くつもりはなかったと
述べ、提言の一部を改訂することを発表した。
当局曰く、今回の提言は、メディアが国民の日常生活に悪影響を
及ぼすのを防ぐためだったとしている。
だがもっと広い視野でみれば、今回の騒動はK-POPスターがいかに
厳しく規制されているかを物語ってもいる。政府から支援を
受けている韓国のショウビズ界は、K-POPの全アーティストを細部に
至るまで監督し、グループを結成しては、メンバーの公共イメージ
までをも自分たちが掌握する。
昨年秋、恋愛関係にあった2人のアーティストを解雇したことで話題を
集めた。解雇された元スターは、彼らの外見や服装、行動まで四六時中
監視する行き過ぎたマネージメント契約の全容を明らかにした。
つまり今回の韓国政府のお達しは、自分たちが手を貸して生まれた
状況を撤廃しようというものだ。なんという皮肉だろう。
Translated by Akiko Kato
Rolling Stone Japan