皆さまはどのように連休をお過ごしでしたか?
今年の大型連休は、間に平日が挟まれていたため、
海外よりも国内旅行に行く人が多かったそうですが、
我が家も近場への外出で過ぎでしまいました。
一泊だけ旅行をしたのですが、それがこの「富士山の見えるホテル」、
日本平ホテルです。
新幹線静岡駅に到着。
このルノアールの彫塑(後ろから見るとなんだか間抜け)の前で待っていると、
ホテルのシャトルバスが迎えに来てくれます。
この日、連休の混雑でホテルまでは40分くらいかかりました。
海沿いを走っていると、苺の栽培農家がこのようにたくさんあります。
どこもシーズンなので「イチゴ狩り」をやっていました。
そういえば読者の方がこの日の朝「今からイチゴ狩りに行きます」
というメールを下さっていました。
「もしかしたらここに今おられるのかしら」などと思いながら、
右手に広がる駿河湾を眺めていると、バスは海沿いを離れました。
日本平というところは、駿河湾を見下ろす高台のことで、
くねくねした山道を登っていくと、そこには昔からあるような展望台のある
見晴らしのいいパーキングがあります。
さすが連休で、「満車」の札がでていました。
そこを通り過ぎてさらに進むと、
こんな怖い廃墟がありました。
どうやらかつては美術館だったようなのですが、なぜお城の形?
それからすぐにホテル到着。
このホテルは去年の秋に全面新改装をしてピカピカです。
この日、台湾からの宿泊客がいた模様。
風が全くなくてなびいていませんが、左が台湾の旗です。
「台湾からの客なら大丈夫」
何が大丈夫かわかりませんが、このように思いました。
「これが中国の国旗だったらどうしてた?」
宿泊をやめる、とは言いませんが、あまりいい気持ちはしないのは事実。
温泉ホテルで彼等と遭遇すると、訳もなく(訳は実はありますが)
「損をした」
という気分になるのも残念ながら厳然たる事実。
TOは仕事で大阪のホテル(普通のシティホテル)に泊まって、朝食ビュッフェで
彼らが「後ろに並んでいるのにお構いなしで食べ物を根こそぎとっていく」
のにあきれたことがあるそうです。
取るだけ取ってテーブルに食べ残しが山盛り。
持って帰れるパンなどは平気でバッグにつめこんでいくとか。
最近どこかで読んだ中国人自身の弁明によると、
「中国人は人一倍『損をしたくない』という気持ちが強い民族」
だということですが、だからといって部屋の備品を根こそぎ盗っていくのは犯罪ですからね。
文明国においては。
ロビーに一歩入って、皆感嘆の声をあげます。
ロビーから見る外の景色。
このホテルはそれが売りなのです。
清水港とともに富士山がここまで美しく見えるホテルもそうありますまい。
この眺めのために、極限まで視野を確保した作りです。
そこここにセンスの良さを感じるアレンジメント。
しかし、と言っては失礼ですがこのホテル、改装前はこのような仕様でした。
このころは大浴場のある従来型の巨大温泉ホテル風だったようです。
それなりではありますが、今となってはアウトオブデイト感満載。
しかしホテルの仕様が移り変わっても変わらないもの、それが富士山。
到着したとき、時間はちょうど12時。
お昼は同ホテル内の和食レストランで、お寿司を食べました。
夕食に備えて軽めのコースを。
ここはなんといっても清水港から取れたての海の幸が味わえます。
にぎりにはすべて板さんが醤油や桜塩などを付けて出すので、
一度も醤油を自分で差しませんでした。
一番おいしかったのはこのシラス。
そういえば静岡の名物に
「夜のお菓子うなぎパイ」というのがあるのですが、シリーズで
「昼のお菓子しらすパイ」(だったかな)があります。
しらすもまた駿河湾の名産。
メダイの炙り製作中。
お昼ご飯を食べてから外に出てみました。
以前こそあのパンフレットのようなものでしたが(失礼?)今回の改装で
すっかりリゾートホテル(しかもハイエンド)に生まれ変わりました。
この奥に見えるのは座敷の宴会場で、若干その名残があります。
池には菖蒲が植わっていて、季節を演出しています。
お天気はいいのですが、ずっと富士山には雲がかかっていました。
風が強くなり、寒いので早々に中に戻りました。
結婚式を挙げた一族が富士山をバックに記念写真撮影中。
ここでようやくチェックインができる時間(2時)になりました。
TOがチェックインしている間、フロント横のモニターでやっていた観光案内、
桜の季節、このホテルはさぞかし混雑したことでしょう。
そこでふと、
「ここでお正月を迎えて初日の出を拝む、ってよさそうだねえ」
と思いついたのですが、ああ、日本人の考えることは皆同じ。
お正月は予約可能な一年前から満室なのだそうです。
つまり、元旦に宿泊した客が、その日のうちに一年後の予約をしてしまうと。
とても広いエレベーターホール。
とても広い部屋でしたが、我が家はいつもエキストラベッドを入れるので、
部屋がこんなことになってしまいます・・。
左壁はすりガラス採光をしており、明るくて気持ちのいい洗面所。
部屋から望む清水湾の眺め。
庭を見下ろすと、皆がそぞろ歩いていました。
芝生には富士山に向かって二列の石が配してあり、
皆ここで記念写真を撮っています。
絵に描いたような部屋からの眺め。
陽が沈んできたころです。
この日、ちょうど富士山が世界遺産になるとのニュースが報じられました。
そのせいなのかどうか、今回、部屋の予約が当初全く取れず、
依頼したカードデスクが旅行会社の枠までを当たった結果、ようやく一部屋空いていたのだとか。
冒頭の古色蒼然としたパンフは、旅行会社がいまだに改装前のものを
周知せず使用していたということのようです。
陽がかなり陰ってきました。
夕方から、スパでマッサージをしてもらう予約をTOがいれてくれていたので
一人でスパに向かいます。
眺めのいいセラピールーム。
「写真撮っていいですか」とカメラを出すと、
セラピストがカメラを見て「いいカメラですね」
なんでも彼女は写真を趣味でしているとのこと。
彼女のカメラはニコンの一眼レフだそうです。
実はわたしも「一度一眼レフ使ってみたいなあ」
という欲望が芽生えてきたところで、ちょうどこの日、
キャノンから今までの半分の重量の一眼レフが発売されたというニュースで
盛り上がっていたところです。
彼女とセラピー中にそんな話をしていたのですが、
あまりの気持ちよさにいつのまにかついうとうとと・・・。
セッションが終了したら、外はすでに真っ暗でした。
ほどよくお腹が空いたところで夕食です。
スパから直接ダイニングに行って家族と待ち合わせ。
テーブルにはTOが手配したお花が。
いつの間にか過ぎてしまったわたしの誕生日のお祝いディナーです。
前菜とサラダ。
ムール貝を乗せたスープ。
ムール貝は家族全員苦手です。
全員が残してしまいました。ごめんなさい。(←貝に言ってる)
とても美味しかったパン。
奥のパウダーは、クミンなどが入ったスパイス。
オリーブオイルに浸した後、これをを付けていただきます。
真鯛。
トッピングされているのはアルファルファのフライです。
この食感が良かったので、いつもは苦手な白身も、まあまあのお味に。
フルコースだったので、肉も魚も少しずつ出てきました。
デザートのお皿には、キッチンからのお祝いメッセージが。
この後ケーキも出ましたが、さすがに食べられず、部屋に運んでもらいました。
明けて翌日朝の富士山。
今日はご機嫌がよさそうです。
昨日のレストランに朝ごはんを食べに行きました。
トマトを生絞りしてくれたり、パンケーキやワッフルを注文ごとに焼いてくれたり、
お粥も和食惣菜もたっぷり、お粥にかける醤油ダレなるものがあったり、
なにかと凝っているのにもかかわらず、TOがこれに先立つこと2か月まえ、
所属クラブの旅行では、同行のおじ様たち、「納豆が無い!」とぶーぶー言っていたそうです。
「経営者が納豆嫌いなんじゃない?関西人とかで」
関西人だから納豆嫌い、ってことは決してないんですが。
うちは夫婦とも大好きですし。
皆、食事が終わった後外を歩いたりしていました。
部屋から見た散策中の家族。
まるでコマーシャルフィルムのようです。
芝生の広大な庭には、散策用の小道がありますが、
ここを歩く人はほとんどいません。
わたしたちは家族それぞれが仕事があり(笑)
部屋に帰ってコンピュータをしながら外を眺めたり、
下の売店で買った「ゴボウ茶」を飲んだりしながらチェックアウトまで過ごしました。
そして、また再びバスで静岡駅まで帰ってきたのですが、
ここで、ひよこに「しずおかどうだった?」と訊かれてしまいました。
これは、最近静岡のみやげ界で台頭しているらしいお菓子で、
このすぐ近くで試食をしていたので食べてみました。
パフの中にクリームの入ったもので、お味はそれなり。
はっきり言ってひよことの関連性はあまりわかりませんでした。
でも、このひよこが可愛らしいので、家族全員この看板の写真を撮りました。
さらにひよこ、ひよこの分際で「つまらないものですが・・・・」と謙遜しています。
つまらないものなら売るなよ!というツッこみは無しで。
「どうして外国人のように『これは美味しいの』と胸を張って渡さないのか」
なんてしたり顔して日本人を批判するの一時流行りましたが、
それが民族性から来る習慣なんだから仕方ない、ほっといてくれ。
ここは富士山の町。すなわち日本人の心である日本一の山の街。
つまらないものだと謙遜するのもまた日本人の美徳なのです。
とむりやりこじつけてみる。
というわけで、ただ富士山を見て帰ってくるだけの旅。
でも、この富士山、不思議と見るだけで心が満たされるような
不思議なパワーを持っているんですよね。
先日靖国神社についてのエントリで、山もまた自然神となる、という
日本ならではの宗教観についてお話ししたわけですが、
そういう宗教観をはぐんできた日本で、最も人々の信仰を集めてきた
富士山のような山が持つ霊験はあらたかです。
この日本一の山の姿を目の当たりにして、
日本人に生まれてよかった、とまたあらためて思いました。
なんでも、世界遺産に登録されたら、これからは観光客が増えるらしいのですが、
これもよくわからない理屈です。
だって、世界遺産であろうがなかろうが、富士山の価値には全く変わりなし。
今までと同じように、これからも富士山は日本一の山なのです。
これを祝う動きはあちこちであり、
構成資産「富士山本宮浅間大社」(富士宮市宮町)では、
馬に乗った射手が弓矢で的を射る恒例の「神事流鏑馬(やぶさめ)式」が行われ、
同じく構成資産「冨士浅間神社」(小山町須走)では同日、
年に一度の例大祭が行われ、世界遺産登録を寿いだということです。
ともあれ、世界遺産登録おめでとうございます!」(富士山に言ってる)