自衛隊の練習艦隊遠洋航海は、必ずアメリカ西海岸でサンディエゴに寄港します。
ここには西海岸最大の海軍基地があり、米海軍との交流が行われるからですが、
現地で我が練習艦隊の皆さんはサンディエゴ埠頭にある海洋博物館や、この
「ミッドウェイ」を見学するのが定番の観光となっているようです。
そんな訓練幹部たちは街に繰り出す時も制服着用だったりするわけですが、
白い制服の幹部が「ミッドウェイ」艦上で、この有名な「シューター」と
同じポーズで撮った写真を見たことがあります。
ミスターシューターのポーズは、この通り。
左手を後ろに組み、右手で二本指をまっすぐ甲板と平行に伸ばす。
カタパルトから艦載機を「シュート」するときの定番ポーズです。
Shooting Ted's boots
テッドって誰だよ、って感じですが、転勤が決まったので、
恒例の「ブーツシューティング」が行われています。
このユーチューブで注目していただきたのが、ブーツをシュートするときの
黄色いベストの人のポーズ。
一瞬ですが、ちゃんとこれと同じことをやっていますね。
Shooter Stu
ついでにこちらも。
途中からいちいち吹き出しで状況を説明してくれているのが超親切です。
1:00からはなぜか凸凹コンビ二人でやっています。
タイトルからしてメンターと新人かな?
轟音の中の作業なので身振り手振りでのサインが共通言語となっていて、
吹き出しを読みながら見ると大変新鮮ですので是非ご覧ください。
例えばシュートの前に左手をひらひらと振るポーズですが、
「Takes control, signals for military.」
それに呼応してパイロットは離艦の許可を得るための敬礼をします。
シューターは最終のチェックのための動作を行い、それからしゃがんで
ランチシグナル(発艦)をパイロットに与えるのです。
このサインが出なくてはそもそもカタパルトも動きません。
いやー、こんなの見るとシューターやってみたい!って思ってしまいますよね。
だってかっこいいもん。
というわけで、フライトデッキの「シューター」は同じポーズを決めて写真を撮る人で大人気。
大人も子供も、一緒にシュート。
わたくし、我が自衛隊の訓練幹部がシュートくんと撮った写真を
家族の方から携帯で受けとったことがあるのですが、
てっきり人形ではなく本物だと思い込んでいました。
ちょうどアメリカで「ミッドウェイ」を見て帰ってきたばかりだったのですが、
その時の見学は推定年齢68歳の老人と一緒だったのでフライトデッキまでたどり着けず、
甲板にはこんなコスチュームのボランティアがいたんだと勘違いして、
「きっと海自の制服だったので、
”ヘイ、そこのエンスン、やってみなYO!”
と誘われたのでは・・・」
などと返事に書いてしまたたものです。
それくらいリアルに見えたのですが、この角度で見ると
どうも左足がねじれすぎて不自然な気がするの。
とにかくこのシュートくん、「ミッドウェイ」のシンボル化していて、
あちこちの写真に登場する人気者です。
シューターが黄色いシャツを着ているということを広報するのに
こんな効果的なマネキンはないのではないでしょうか。
ちなみにこのシューター、階級でいうと大尉が中心だそうです。
艦載機の発艦準備完了を確認し、キャット
(CAT=キャタポルト=カタパルト)を作動担当者に
このポーズでスタートの合図を送るのが彼の任務。
シューターの合図を受けると、キャット担当者がボタンを押すことで
初めて発艦!となります。
どこの空母でも甲板でフライト・オペレーション行う色シャツの
役割と名前を説明しているのですが、ここのはパネルが用意され、
大変わかりやすい展示となっています。
黄色シャツが可愛い女性のモデルだったりしてサービスも。
と思ったら、このパネルの皆さん、「ニミッツ」の本物の乗員なんだとか。
こりゃびっくり、「美しすぎる海軍軍人」だ。
よく見たら結婚指輪をしています。
黄色ジャージは「ボースン」と呼ばれていて、エアボス
(フライトオペレーションの最高責任者。艦長と同階級の大佐の職で
『寝ない』と言われるすごい人)やハンドラー(フライトデッキとハンガーベイの
責任者で中佐)の歩兵というか、手足というか、手先。
日夜フライトデッキを走り回ってオペレーション全体に目を光らせる
現場監督のようなもので、中尉や少尉が務め、
LDO(リミテッド・デューティ・オフィサー)
と呼ばれています。
この女性は違うと思いますが、下士官のチーフ出身が多く、
兵学校出身の士官よりベテランである分知識も多いけれど
大体が恐ろしい存在なんだとか。
紫ジャージはそのものズバリで「グレープス」と呼ばれており、
ジェット燃料の補給係です。
E−3からE-6までがいて、艦載機に補給できるのは彼らだけです。
茶色ジャージはプレーン・キャプテン。
それぞれの艦載機部隊に大体10人が配属されます。
機体の検査、オイルや油圧駅の補給を行う係で、重労働だとか。
だれでもできる仕事ではないので、優秀な人が配置されるそうです。
白色ジャージはセーフティ。
安全=白というイメージは世界共通。
艦載機部隊に所属し、昼間、夜間一人ずつフライトデッキに上がって
安全面のチェックに目を光らせる役目です。
またはLSO(ランディング・シグナル・マン・オフィサー)
フライトデッキ左舷後方に設置されているLSOプラットホームに立ち、
着艦するためアプローチしてくる艦載機の体勢(高度、スピードなど)
をパイロットに無線で指示する係。
この白色ジャージもヘルメットを脱いでいますが、実際にも
LSOはフライトデッキで唯一ヘルメットを付けず、
「それがかっこいいと思っている節がある」
ということです。
大尉中心のパイロットが、艦載機部隊から順番に任務に就きます。
赤色ジャージ、レッドシャツは武器取り扱いスペシャリスト。
緑ジャージはLSE(ランディング・シグナルマン・エンリステッド)
ヘリが着艦するとき、ハンドシグナルを行い着艦点を指示する係。
発艦の時もヘリコプターのパイロットはLSEの指示に従う。
LSEのほとんどはヘリ部隊から出され、優秀な人が多いとのこと。
キャットウォークにグリーンシャツの人がいましたが、
本当にこんなところでヘリ着艦の指示をしていたの?
またはトラブルシューター。
艦載機部隊の整備員も緑のジャージを着ています。
このパネルの人はLSEだと思いますが。
トラブルシューターはフライトオペレーションが始まると
部隊から一人ずつデッキに待機して、機体にトラブルが起きると
文字通りそれを解決する役目です。
臨機応変にやらなくてはいけないので、経験豊富な
ベテラン整備員がトラブルシューターに充てられます。
青色ジャージは「ブルーシャツ」。牽引車の運転手です。
イエローシャツの指示に従って艦載機を移動する牽引車を運転する、
という役目ですが、モタモタしていると、イエローシャツという人たちは
直接牽引車に乗って仕事を奪っていくので要注意です。
艦載機用のエレベーターを操作するのもブルーシャツ。
場合によってはメッセンジャーのお仕事もします。
一番右の「レッドシャツ」は「ファイアーファイター」。
消防士です。
火を消すだけでなく、ダメージコントロールのスペシャリストです。
この配置に就くためには大変厳しい訓練を受けなくてはなりません。
ブリッジの甲板階、つまりフライトデッキと同じ階に、
ハンドラーが陣取るフライトコントロールルームがあります。
ハンドラーとは先ほども書いたように、フライトデッキと
ハンガーベイの責任者で中佐の職となります。
黄色いシャツの「ボースン」たちを駒のように使い、
艦載機用エレベーターもハンドラーの許可がなくては作動しません。
時間がなくて細部を撮りませんでしたが、ここにはご覧のような
上下デッキ(上はフライトデッキ、下はハンガーデッキ)を表す
二段のテーブルがハンドラーのために設置してあります。
コントロールルームで現在状況を聴きながら模型を動かしています。
奥にいる人がハンドラーで、模型を動かすのは若い衆にやらせます。(中佐ですし)
各艦載機の形をした模型を配置して、それぞれの機の現在地、
整備、燃料、給油、移動の状況などを表すボードです。
模型の上にはナットやネジなどを置いて表示することもあるそうです。
このボードを「OUIJA Board」(ウィジャボード)と呼ぶそうですが、
これはもともと降霊術もしくは心霊術を崩した娯楽のために用いる文字盤のこと。
ウイジャ(Ouija)とは、フランス語で「はい」を意味する Oui と、
ドイツ語で「はい」を意味する Ja から作られた造語です。
(どうりで変な言葉だと思った・・・・)
ところでこのウィジャボード、複数人で文字盤を囲み、参加者全員が
文字盤の上に置かれた「プランシェット」に手や指を添え、
誰かが質問をすると、プランシェットが勝手に?動き出し、
回答を文字で指し示すという・・・・そう、まさにこれは西洋版
コックリさん。
あちらでもプランシェットが動く科学的な理由は解明されていないそうですが、
洋の東西で全く同じことが行われているというのは興味深いですね。
アメリカ海軍では、このボードや机上演習盤(スポッティングボード)のことを
「ウィジャボード」と呼んだりするそうです。
ある日・・艦載機の上に皆で手を置いたら模型がひとりでに動き出し、
それと共に誰も乗っていない艦載機が
「勝手に動き出した」
という話が・・・・((((;゚Д゚)))))))(嘘)
続く。