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ブルージャケット〜巡洋艦「リトルロック」艦内探訪

2024-12-05 | 軍艦

巡洋艦「リトルロック」艦内探訪を続けましょう。
ここは上甲板から1階下にあたるデッキですが、
ここからさらに1階下の「サードデッキ」にアクセスすることができます。

サードデッキにはダメージコントロールルーム、消防機関室、
下士官兵用理髪店、図書室(誰でも使用可)、
ベーシングコンパートメント(兵寝室)生鮮食品用の冷蔵室などがあります。

しかし残念ながら、安全上の理由でこのエリアは公開されていません。


説明がありませんでしたが、これはなんでしょうか。
上部が閉じてあること、大きな円形の継ぎ目があることから、
昔は何かに使われていたが、改装に伴い用がなくなった何か、と思いますが。


このドアの向こうは、「ウェポンズ・オフィス」
自衛隊だと砲雷科で、砲、ミサイル、魚雷を管理する部署の事務所です。

ドアに書いてあるWEPSはウェポンズの略ですが、アメリカ海軍では、
兵器システム士官を「ウェップス」と呼ぶ習慣があります。

旧海軍で砲雷長が「テッポー」と呼ばれていたようなものでしょう。

映画「クリムゾン・タイド」で、「ウェップス」と呼ばれていた士官、
インス大尉も、役職名があだ名になったパターンです。

当ブログ読者にも同名の方がおられるわけですが、映画感想サイトなどでは
これを個人名だと思って観ているような書き方がよくされています。

ついでに、自衛隊では砲雷科の長は砲雷長(3佐or1尉)であり、
その下に砲術(砲、ミサイル)と水雷(魚雷、ソナー)があり、
砲術長、水雷長をトップとして、その下に砲術士、水雷士がいます。

■ 乗員寝室




次のコンパートメントは、クルーズ・クォーターズ、兵寝室です。

2nd Division Crew's Quarters

ここに金属寝台とマットレスは80名分あります。


そして通路に面したこの「コフィン・ロッカー」(棺桶ロッカー)が
一人分開けられ、兵員の持ち物が展示されていました。

説明によると、展示されているものは当時よりアップデートされており、
今日の海軍で使用されているものと似ている、ということなのですが、
見たところ少なくとも電子デバイス関係のグッズが全くないことから、
「最新」とは言えないのではないかと思います。

しかし、海軍艦船内で私物を置くスペースが限られているのは事実。

クルーには「ラック」として知られる6×2フィートの「棺桶ロッカー 」、
そしてそれとは別に制服を収納する縦型ロッカーが一つずつ与えられます。

この頃と現在の違いは、現在では「プライバシー」保護のため、
ベッド三方にカーテンが引け、個人スペースが確保されることです。

半分のスペースにはタオル、シーツ類、
「二等兵曹に求められる兵員義務」海軍履修用「基礎電子工学」、
そして「ブルージャケットのマニュアル」という本があります。

ブルージャケット=Bluejacket

は、海軍の下級兵の別名です。

海軍下級兵としての基礎を書いた本で、いずれにしても
この寝台の主は真面目な海軍水兵であることがうかがえます。

しかし、一人の水兵に与えられる保管場所はここが全てではありません。
勤務現場に配置された水兵は、通常、その任務内容に応じて
悪天候用の装備とか、甲板で必要なギアとかを収納する倉庫を

保管場所として確保することができるからです。

「セカンド・ディビジョン(第2部門)」である特定の居住スペースには、

最大80人の乗組員を収容することができ、ここは乗組員によって
「berthing(停泊所の意)」とか「coop(小屋)」と呼ばれます。



石鹸や洗面セット、毎日濡れるものもここに入れるんだ・・・。
タバコもちゃんとワンカートン買い置きしているんですね。

畳んである作業服のネームによると、ロッカーの主はギルマン君。
ここにも「ブルージャケットのマニュアル」なる本が見えます。



一番右は下着と水兵用の「ブルージャケット」、そして靴。
下着の横に靴を入れるのはアメリカ人的にはアリなのね。


三段の垂直寝台で、寝台下が六つのラックとなっているというこの仕様は、
おそらく現代のアメリカ海軍も変わっていないと思われます。

当たり前ですが、海軍艦艇のスペースは大変狭いものです。
しかしながら、ほとんどの時間、特に日中、
乗組員はあちこちに行って準備をしたり、任務に当たったり、
あるいは「リバティ」(上陸休暇)で留守をしている者もいるでしょう。

全ての乗組員は、昼も夜も「12時間オン、12時間オフ」で任務を行います。
艦上のスケジュールは決まっているため、通常、
海上ではこの部屋の半分だけが使われている状態で、
残りの半分の人間は稼働し、一斉に寝台が埋まることはありません。

■ キャンパーに告ぐ!



「リトルロック」では、ほとんどのアメリカにある展示艦と同じく、
艦内で一泊して艦上体験をするキャンプを実施しています。

キャンプインフォメーション

バッファロー海軍公園のUSS 「リトル ロック」で夜を過ごしましょう。
当施設の夜間青少年キャンプは、スカウト、青少年グループ、
友人同士、家族で参加できるユニークな冒険です。

一晩のキャンプ中に、次のようなことができます。

–「リトル ロック」の乗組員が実際に住んでいた、復元された寝室で眠る
– 乗組員食堂で夕食と朝食を楽しむ
– USS「リトルロック」、「ザ・サリバンズ」、「クローカー」を見学する
– 艦上生活について学ぶための教育プログラムやアクティビティに参加する
(教育プログラムは異なる場合があります)

春のキャンプセッションは 4 月〜6 月の各土曜日
秋のセッションは 9 月〜11 月の各土曜日に開催

一部の「ファミリーフライデー」はシーズン中いつでもご利用いただけます。

セッションの空き状況は天候によって決まる場合があります。

料金: 1 人あたり 75 ドル
集合時間:土曜日午後 4 時
解散:日曜日午前 10 時
 (参加者は日曜日の営業時間中に海軍公園への入場自由)


楽しそう

で、ここは実際にキャンパーたちの宿泊に使われているため、
彼らに対し、特に人身事故について以下の注意がありました。


すべてのキャンパーに告ぐ!

万が一人身事故が発生した場合、部隊の応急手当係が応急手当を行います。

すべての負傷は深刻であり、直ちに
ENCAMPMENT DUTY OFFICERに報告され、
すべてのケースで事故報告書に記載されます。

お客様の安全と安心は私たちにとって非常に重要です。

わからない場合は911にコールしてください

■ ブルージャケッツ


先ほど海軍の下級兵士を「ブルージャケット」と称すると言いましたが、
このクォーターを出たところに、こんなポスターがありました。

その名もズバリの「ブルージャケット」。



海軍によるブルージャケットの任務内容についてのポスターです。
白黒であることからかなり昔に制作されたものだと思います。
せっかくなので全部紹介していきましょう。


と思ったら、なぜかこの10から始まっています。
どうも右半分の1から9までは欠損しているようですが、仕方ありません。


10. 射的訓練(Target Practice)

射撃戦のために、新兵は兵曹長から個別にライフル銃の指導を受けます。
CPOの左袖 の「ハッシュマーク」は16年の経験を示しています。

ベテラン下士官の袖にはラインが4本。
1本が4年在籍を表すのでもう立派な洗濯板です。



11.水泳中(In The Swim)

昔から「泳げない水兵」についてのジョークはたくさんありますが、

(もちろん悲劇も)
新しい海軍では、ブートキャンプ前に50ヤード泳げるようになること、
これが全ての者に対し厳しく定められています。



12. バレーボール(Volly Ball)

新兵のエクササイズ量は大変多いものです。
バレーボールはもちろん肉体的な訓練の意味もありますが、
大抵は単純に楽しいものとして皆の人気です。
ボクシング、レスリング、綱引き(!!)も海軍で人気のスポーツです。


綱引きか・・・まあロープならいくらでもあるしね。



16. 適性検査(Aptitude Test)

適性検査は、訓練生がさらに専門的な訓練を受け、等級を取得するか、
新兵学校を卒業後、すぐに海へ出るかを決めるのに役立ちます。

いきなり16まで飛びました。
おそらく左ページに13から15までがあったようです。



17. ヒービング・ザ・リード (Heaving saw Lead)

新兵は、浅瀬で船底を探るために、この伝統的な方法を学びます。
ニューソニック測深機に加え、リードは今でも海軍でよく使われます。

海深を図る方法として、この頃の海軍の新兵たちは
「ヒービング・ザ・リード」という昔ながらの方法を学んだようです。

大航海時代からイギリスの船乗りに受け継がれてきた方法で、
水深を測るのにサウンディング・リード(鉛の錘がついた紐)を使います。

船員(「リードマン」)は、入港時、できるだけ前方にリードラインを投げ、
リードが着水した場所に船が近づくと、ライン上のマークを数えます。

マークはその海域の水深を表しているので、それを水先案内人に伝えます。

この「ヒーブ・ザ・リード」Heave the leadという言葉は
そのまま日本語で「水深を測る」と訳されます。

また、この鉛のついた紐のことを、日本語では手用測鉛といいます。

ただ、今のアメリカ海軍ではこんな悠長なことはやっていないでしょう。
近年では海底地形図を即座に測定作図する


MBES(マルチビームエコーサウンディング、音響測深)

もありますし。



18. 手旗信号(Semaphore)

一人の新兵が文字「Q」を手旗信号で送信し、
もう一人が受信をワッチします。
手旗信号、ブリンカー(発光信号)および信号旗、
これらは海軍で艦船同士視覚的に信号を送るための方法です。


22. 出発準備完了(Ready to Go)

新兵訓練が終わると、「ブルージャケット」たちは艦隊、
そして海上勤務に就くために汽車を待ちます。

彼らが汽車に積み込む荷物が整然と並べられています。



23. 上級学校(Advanced School)

 海軍は技術的スキルを持った人材を必要としているため、 
多くの新兵が上級学校に送られていきます。

この写真は、航空機械工学校での実技指導のシーンです。


24. 出航(Going to Sea)

ついにビックモーメントがやってきました。
彼らが海上任務につく日です。
乗艦する水兵たちは、まずクォーターデッキに向かって、
次にこの写真のように甲板士官に向かって敬礼を行います。

そして出航です

The voyage begins.


続く。



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