こんなことでよろしいか―老兵の進軍ラッパ 佐藤 愛子 集英社 このアイテムの詳細を見る |
いつも世の中に怒っているという印象の作者、相変わらずの愛子節顕在ですが、
ちょっと現代とはずれているという感も否めない。
その中で、思わずうなずいた文を二つばかり
「なぜ人を殺してはいけないか」
ということを若者がテレビで質問していたのを聞いて、私は唖然とした。
人間は人を殺してはいけないから殺さないのではなく、「殺せない」から「殺さない」のである。
「殺せないー」
それは人間が人間である事の真っ当な感覚ではないか。それを理屈で納得しようとする若者は、人として当然はぐぐまれているはずの感性が欠落しているのだと私は思う。
まったくその通りである。
ハエくらいは殺せるものの、それ以上の大きな生き物はかわいそうだから、という理由ではなく、気持ち悪いから殺せない。それが人間のまっとうな感覚だ。
そういった感覚の欠如している人が増殖しているようで恐ろしい
今、物質が豊かになり、何でもアリの自由な時代になると、「感動」に重みがなくなって、サッカーで日本のチームが勝っただけで「感動をありがとう」と騒ぎ散らすような、そんなチャチな感動になってしまう。
テレビで寝っころがって、オリンピックなんか見て
思わず涙ぐんだりする感動なんて、
感動の風上にも置けないね。
相田みつを氏だっていってるじゃないか。
「感動とは、感じて動く事だ」 って。
ところで、読書週間て10月27日からなのね。
1ヶ月早く勘違いしてた