昨年は夏目漱石没後100年でした。
大正5(1916)年、胃潰瘍により49歳で生涯を終えた夏目漱石は、
亡くなる1カ月前に、「則天去私」(夏目漱石の造語…天に則して私を去る)
という言葉を使っています。
「則天」は天地自然の法則や普遍的な妥当性に従うこと。
「去私」は私心を捨て去ること。
まさに親鸞聖人の言われた「自然法爾」の世界ですね。
〈自然法爾章〉
自然とは〈もとよりしからしむ〉ということばである。
阿弥陀仏の本願は、
もとより私たち念仏行者が自我の立場からはからうことではなく、
阿弥陀仏が私たちに南無阿弥陀仏とたのませて、
浄土に迎えようと取りはからってくださっているから、
私たちの方で、これが良いだろうか、
あれは悪いだろうかと心配し迷う必要がないことを、
自然というのだ」と示されます。