ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングやメールカウンセリングなどをやっています

更科源蔵『北海道の旅』1979・新潮文庫-北海道を再発見する旅

2025年02月15日 | 北海道を読む

 2020年1月のブログです

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 更科源蔵さんの『北海道の旅』(1979・新潮文庫)をかなり久しぶりに再読しました。

 だいぶ前に古本屋さんで買った本で、150円というシールが貼ってあります。

 しかし、中身はなかなか充実しています。

 どさんこのじーじでも、へえー、そうなんだ、とびっくりするような内容がたくさん出てきます。

 特に、火山や地震など、自然関係の知識で教えられることが多くありました。

 今はまったく静かに見える山や湖が、近くは明治や江戸時代の頃に大きな変動があったりして、驚かされます。

 北海道の自然の美しさを見る眼が少し豊かになるような気がします。

 また、自然だけではなく、アイヌやオホーツク人の人々の生活やその後の和人の進出など、歴史を考える内容も豊富です。

 更科さんは道東の開拓部落の出身、その苦闘ぶりは小説『原野』などに詳しいですが、そういうこともあってか、開拓と人々の生活、近代化と自然などなど、考えさせられるテーマは多いです。

 今年の夏の北海道旅行が楽しみになってきました。       (2020.1 記)

 

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桂望実『ボーイズ・ビー』2007・幻冬舎文庫-小学男子と老靴職人の不思議な物語

2025年02月15日 | 小説を読む

 2020年2月のブログです

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 桂望実さんの『ボーイズ・ビー』(2007・幻冬舎文庫)を再読しました。

 面白かったです。

 12歳の男の子と70歳の靴職人との物語。

 男の子は母親を病気でなくしたばかりで、小1の弟の面倒を見ていますが、弟は母親の死がよくわかっていない様子。

 いろいろと心配事が絶えません。

 消防士のお父さんからは、お兄ちゃんだから、弟の面倒を見てやってくれ、と頼まれますが、自分も泣きたい気分を抱えています。

 一方の、70歳の靴職人。

 頑固一徹の職人ですが、年齢のせいか、納得できる靴づくりができなくなってきていて、悩んでいます。

 そんな二人が出会い、子どもの悩みに老靴職人が応じて、さまざまなドタバタ劇が起こります。

 とても楽しいですし、微笑ましいです。

 時には、喧嘩もしたり、仲直りをしたり、じーじと坊やのてんやわんやの冒険談です。

 そして、子どもの願いに周りのおとなも気づいて、おとなも成長します。

 正解はないのですが、わからないことはわからないままで進んでいこう、という物語なのかもしれません。

 読後感はさわやかです。

 いい小説だなあ、と思いました。           (2020.2 記)

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 2020年7月の追記です

 当時は気がつきませんでしたが、わからないことはわからないままに、というのは、あいまいさに耐える、という、ネガティブ・ケイパビリティ(負の能力、消極的能力)に通じているようです。       (2020.7 記)

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 2021年1月の追記です

 ネガティブ・ケイパビリティについては、「居心地」さんのブログが、2020年6月に、精神科医で小説家の帚木蓬生さんの『ネガティブ・ケイパビリティ』(2017・朝日新聞出版)という本をていねいにご紹介されていて、とても参考になります。     (2021. 1 記)

 

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加藤周一『頭の回転をよくする読書術』1962・光文社-加藤周一さんの読書論です

2025年02月15日 | 加藤周一さんを読む

 2023年2月のブログです

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 またまたなつかしい本を読んでしまった。

 加藤周一さんの『頭の回転をよくする読書術』(1962・光文社)。

 じーじが持っているのは1975年発行の57版。

 大学3年の時に購入したのかな?

 ちなみに価格は500円。

 加藤さんに魅かれて買ったのだと思うが、加藤さんのようにたくさんの本を読めるようになりたいと思ったのかもしれない。

 じーじは加藤さんの本は繰り返して読む本が多いが(いくつかブログを書いているので、よかったら読んでみてください)、この本はカッパ・ブックスということもあって(カッパ・ブックスのみなさん、ごめんなさい)、なんとなく再読をしないできた。

 しかーし、なぜか最近、本棚にあるこの本が気になり、ちょっと読んでみたところ、予想以上に面白く、最後まで読んでしまった。

 ほぼ50年ぶり。

 しかし、内容は豊かで、深い。

 読書術というよりは読書論。

 読書についてさまざまなことを論じている。

 例えば、わかりにくいかもしれないが、目次を見ると、急がば回れ、マルクスとマルクス主義者の違い、文学は進歩するか、その他もろもろ。

 びっくりしたのは、加藤さんもシェイクスピアのハムレットから、どうせ世の中には、哲学でわからぬことがたくさんある、を引かれていること。

 わからないことにすぐに結論を出さずに耐えて考え続けることの大切さを表す重要な言葉なんだなと再認識してしまう。

 とてもよい本で、今度は50年といわず、5年後にも再読してみたい。        (2023.2 記)

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 同日の追記です

 どうでもいいことなのだが、本書の題名、頭の回転をよくする読書術、は単に、読書術、あるいは、読書論、のほうが加藤さんらしいのではないかとじーじなどは思う。

 カッパ・ブックスだから、売り上げを狙ったのかもしれないとも思うが(カッパ・ブックスのみなさん、再びごめんなさい)、もう少し格調高いほうがよかったような気がする。

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 2024年冬の追記です

 宮本輝さんの『ひとたびはポプラに臥す4』(2002・講談社文庫)を読んでいたら、手塚治虫さんの大切な言葉の一つとして、ハムレットの上記の言葉が挙げられている。

 いろいろな人たちにとって、とても大切な言葉なんだな、と改めて思う。       (2024.1 記)

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