2016年のブログです
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加藤典洋さんの『村上春樹は、むずかしい』(2015・岩波新書)を読みました。
岩波新書(!)です。
岩波新書は久しぶりに読みましたが、さすがにいい本を揃えています。
この本もすばらしい内容です。
小説家と評論家はまったく違う、と言われますが、確かに加藤さんは村上さんの小説をさらに違う方向から読み解いている感じです。
おそらくは村上さんが意識化していないようなことも、加藤さんはていねいに意識化、言語化しているのではないかと思います。
そして、加藤さんは村上さんに共感はしていても、決して迎合はしておらず、いわば、社会における仲間や戦友のような位置から村上文学を熱く語っているような気がします。
そこには厳しさもありますが、期待をするがゆえの愛情のようなものも感じられます。
とてもいい本を読めました。
さらに二度、三度と読んでいきたいと思います。 (2016.5 記)