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夏目漱石『行人』2014・集英社文庫-真面目だが、不器用な学者の悩みと不安を描く

2024年09月07日 | 小説を読む

 2018年のブログです

     *  

 夏目漱石さんの『行人』(2014・集英社文庫)を読みました。

 漱石さん(!)の行人(!)ですよ。

 なにも驚くことはないですかね。

 この本は新潟から東川に持ってきました。

 新潟では、なかなか集中して読むことができなかったので、ひとり旅の最中に読めれば、と思って、持ってきました。

 ようやく読めました。

 すごい小説ですね。

 やはり夏目漱石さんはすごいな、と思います。

 今から100年以上前に、こんな端正な日本語で、こんな深い内容の小説を書くのですから。

 あらすじは書きませんが、主人公の悩みは普遍的でしょうし、できれば超えていくべき課題なのでしょう。

 しかし、超えるにはなかなか難しい課題です。

 今でも、同じような悩みを抱えて苦しんでいる人はたくさんいると思いますし、苦しんだり、悩んだりして当然の課題だと思います。

 そして、解説が精神分析家の藤山直樹さん。

 というか、数多くある『行人』の文庫本の中から集英社文庫を選んだのは、藤山さんが解説を書いているからです。

 いい解説です。

 キレのいい漱石論や『行人』論が結構詳しく展開されています。

 いずれ、藤山さんの論文集に収録されるかもしれませんが、とってもいい文章なので、早めに読んでおいて損はありません。

 また、詩人の小池昌代さんの「鑑賞」という一文もすごいです。

 すごい、というのは、女性ならではの視点から、女性にしかわからないような微妙な指摘をされているように、じーじには思えます。

 もっとも、『行人』の主人公と同じくらい女性に不器用なじーじ(?)には、そのように感じられるというか、想像するしかありませんが…。

 ともあれ、旅の中で、いい本が読めて、いい夏になりました。      (2018.8 記) 
 
 


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