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沢木耕太郎『246』2014・新潮文庫-2歳の娘さんへのお話とおとなへのお話たち

2023年11月28日 | 随筆を読む

 2018年のブログです

     *    

 沢木耕太郎さんの『246』(2014・新潮文庫)を再読しました。

 以前読んだ時に、いい本だな、と思った記憶があったのですが、今回、読んでみると、すごく面白くて、そして、いい本でした。

 すごく面白い理由の一つは、沢木さんが当時2歳の娘さんが寝る前にしてあげるお話のせい。

 読んでいて、とてもほのぼのします。

 ここでは沢木さんは童話作家(?)。

 ノンフィクション作家としてより才能があるかもしれません(冗談です。沢木さん、ごめんなさい)。

 本書は、1986年1月から9月までの沢木さんの日記風エッセイ。

 1986年というのは、沢木さんの『深夜特急』が出た年で、そのことがまず書かれています。

 ちなみに、246、とは国道246号線のことで、当時、沢木さんの仕事場があった場所だそうです。

 沢木さんが、自宅から仕事場に行こうとすると、娘さんが、いかないで、と言って、沢木さんが仕事を休んでしまうシーンもあり、微笑ましいです。

 とっても面白いお話、興味深いお話、真面目に考えさせられるお話と、結構厚めの文庫本は中身が充実していますが、じーじが個人的に面白かったのは、みつばち農家を取材したお話。

 福音館書店の『たくさんのふしぎ』という本に『ハチヤさんの旅』(のちに1987年5月号として掲載)というお話を書く仕事の取材で、みつばち農家に同行するのですが、ある時、小さな女の子がいる農家さんのご希望で沢木さんの2歳の娘さんも一緒に行くというできごとがあり、案の定、とんでもないドタバタ劇になってしまいます。

 しかし、それもある程度想定をしての父子での取材旅(?)は、とっても楽しいお話でした。

 そして、そこで取材がかち合ったテレビ局クルーの過剰演出をさらりと批判する沢木さんもなかなか素敵です。

 いろんなことを考えさせられ、また、楽しくなれる、いい本です。     (2018. 12記)

 


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