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ホセ・クーラは、2016年、地元スペインのリェイダでのコンサートを最後に、今年の公演をすべて終了しました。
今年も多彩な活動で充実していましたが、来年2017年がまた、たいへんチャレンジングな年になる予定です。何と言っても、2月には、初めてのワーグナーであるタンホイザーに主演、そして5月には、これも初めてのブリテンのピーター・グライムズの演出と主演を控えています。 →2017年スケジュール
クリスマス休暇中も、たぶんクーラのこと、家族と過ごす時間を大切にしつつも、タンホイザーの勉強をはじめ、仕事の準備で大忙しなことと思われます。
クーラは先日、フェイスブックに下のような画像をアップしました。
"Peace & Love"のメッセージをつけて。
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ということで今回は、クリスマスにあたって、世界の平和と愛を祈りながら、クーラの歌う、クリスマスにちなんだ曲を紹介したいと思います。
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●Silent night
まずは、「きよしこの夜」Silent nightを、毎年恒例のウィーンのクリスマスコンサートから。
2007年、ホセ・クーラ、エリーナ・ガランチャなど4人が、それぞれの母国語の歌詞で歌っているようです。
Christmas in Vienna 2007 - Jose Cura, Elina Garancha, Eteri Lamoris, Paul Edelmann
つづいて2002年、イギリスのソプラノ歌手レスリー・ギャレットとホセ・クーラのデュエットで。画質が非常の悪いのが残念です。
→ FBの動画ページにとびます。
このコンサート全体のDVDも発売されています。
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●Missa Criolla
アルゼンチンのアリエス・ラミレスが作曲した、スペイン語のミサ曲「ミサ・クリオージャ」
1999年、アルゼンチンに帰国した際のコンサートなのでしょうか?短いですが貴重な映像です。
Missa Criolla 1999 (short exerpt)
同じく「ミサ・クリオージャ」、2006年、イタリアのアッシジでのクリスマスコンサートから。
Concerto di Natale 1 - Cura
●Puccini Messa
2006年アッシジのコンサートから、プッチーニのミサ曲を。
Jose Cura 2006 Puccini Messa
●The Lord's Prayer
アメリカのアルバート・ヘイ・マロッテが作曲した「主の祈り」を。
Jose Cura "The Lord's Prayer" (Albert Hay Malotte)
●Agnus Dei
2007年のウィーンのクリスマスコンサートから、ジョルジュ・ビゼー作曲アニュス・デイ(神の子羊)。
Jose Cura "Agnus Dei" Georges Bizet
●Benedictus
2007年のウィーンのクリスマスコンサートから、モーツァルトのレクイエムの第12曲「ベネディクトゥス」(祝福された者)。
Jose Cura "Benedictus" Mozart
●Hallelujah
最後は、2009年のウィーンのクリスマスコンサートから、ヘンデルのメサイアから「ハレルヤ・コーラス」。
Tamar Iveri, Bernarda Fink, Jose Cura, Boaz Danielと合唱
Jose Cura "Hallelujah"
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今年も間もなく終わりますが、世界各地で、テロや紛争、貧困と格差の拡大、差別と分断の激化など、さまざまな困難におおわれた年でした。
今、この瞬間も、家を失い、傷つき、苦しむ子どもたちが世界各地に増え続けていると思うと、胸が痛み、無力感にさいなまれます。
クーラは、これまでも何度か紹介しましたが、軍事政権下で青少年期を過ごし、経済的混乱から指揮者・作曲家の道を閉ざされたために、アルゼンチンからイタリアに1991年に移住しました。当時のことをふりかえって、現在のシリア難民の人々と自分を重ね合わせて語ったこともあります。当時イタリアで移民排斥勢力が増大したために、イタリアからフランスに移動せざるえないという経験もしています。こうした経歴を背景にして、クーラは自らのアーティストとしての原点は、音楽活動をつうじて、平和の種をまくことだと述べています。
もちろん音楽や芸術で、平和が実現できるというような簡単で単純なことではありません。
しかしクリスマスを前にしたこの時、世界から軍事的な紛争やテロが一掃され、誰もがささやかでも幸せを得られる社会の実現を心の底から願わずにはいられません。
希望を失わず、自分にできることを、自分の足元からやっていきたいと思います。
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