人と、オペラと、芸術と ~ ホセ・クーラ情報を中心に by Ree2014

テノール・指揮者・作曲家・演出家として活動を広げるホセ・クーラの情報を収集中

(公演編)ホセ・クーラ、2019プッチーニ・フェスティバルのトスカに出演

2019-09-03 | 2019年プッチーニ音楽祭

 

 

 

ホセ・クーラが20年ぶりに出演したイタリア・プッチーニフェスティバルのトスカ。3公演は、大盛況のうちに終りました。

会場は、プッチーニが暮らした湖畔に建てられた野外劇場ですが、報道によると、プッチーニが作曲した当時と同様に、字幕がないばかりか、マイク・スピーカーのシステムもないのだとか。湖の波の音、鳥や虫の鳴き声などを背景に、オーケストラの音楽に負けずに、人間の声だけで広い野外劇場全体に歌を届けきるわけですから、出演者には大変なことだと思いますが、多くの観客が、音楽と雰囲気を合わせて、「素晴らしかった」「夢のような夕べだった」などのメッセージをSNSにあげていました。

とりわけクーラが出演した最後のトスカ8月18日の公演は、「すべてが完璧で、調和していた」と書いた人もいたように、最高の舞台だったようです。クーラの「星は光りぬ」は、歌の後に大興奮した観客から、ビス(Bis=イタリア語のアンコール)の声がどうしても止まらず、2回歌ったのだそうです。いつもクーラはドラマの流れと緊張感を大切にしているので、アンコールに応じるのはとても珍しいです。通常のオペラ公演とは違うお祭りということに加え、それほど、舞台上、劇場内の盛り上がりと一体感が素晴らしかったのでしょう。

最後の公演後の報道には、「トスカ:プッチーニ音楽祭でのホセ・クーラの勝利」と見出しをたてたものもありました。別のレビューでも、「ホセ・クーラは確かに演出家の仕事を助けた。ステージに登場するやいなや、クーラは空間の真の支配者となった。彼は、同僚たちのパフォーマンスに敬意をもって、最低限の動きだが、しかし、たとえ顔と体の姿勢だけでさえ、解釈の絶対的な強さを与える」と評価されていました。一部、20年前と比べて声が同じではないと書いたレビューもありましたが、全体としてクーラのプッチーニフェスティバルへの復帰は、大きく歓迎されたと思います。

 

劇場がFBにアップした写真や動画、現地のニュース動画などを紹介したいと思います。

*フェスティバルの全体は、(告知編)をどうぞ。またフェスティバルやイタリアとの関係、カヴァラドッシの役柄についてなど、クーラが語った記事を紹介した(インタビュー編)もぜひご覧ください。

 

 

 

Floria Tosca = Maria Guleghina
Mario Cavaradossi = José Cura
Il Barone Scarpia = Carlos Almaguer
Cesare Angelotti = Davide Mura
Spoletta = Francesco Napoleoni
Il Sagrestano = Lisandro Guinis

Direttore Dmitri Jurowsky
Regia Dieter Kaegi
Scene Carlo Centolavigna
Costumi Fondazione Cerratelli, Pisa
Disegno luci Nino Napoletano
Maestro del coro Roberto Ardigò
Maestro del Coro di voci bianche Viviana Apicella

Orchestra, Coro e Coro delle voci bianche del Festival Puccini

Gran Teatro Giacomo Puccini - Torre Del Lago

65° Festival Puccini 2019    Tosca   2, 11, 18 August

 


 

 

 ≪劇場のFBより、劇場や舞台、セットなどの写真≫

 

プッチーニフェスティバルのFBには、連日、様々な情報がアップされました。ここで紹介しているトスカ以外の演目の投稿も同様に豊富ですので、ぜひご覧ください。今年の全公演を終え、すでに来年の演目、日程も発表されています。ただし出演者は未公表、さて、来年クーラは出演するのでしょうか?

 

 

●まずは、劇場の美しいロケーションやトスカのセットなどが見られる投稿を。

 

 

●今年の全公演終了後、劇場のFBに掲載されたトスカのアルバム。トップの写真はこちらからお借りしたものです。右上のFマークをクリックすると、すべての写真を見ることができます。迫力ある舞台写真がたくさんです。

 

●カヴァラドッシ用の拷問による流血で赤く染まった衣装、小道具、セット、オーケストラピット、劇場のまわりの風景など。

 

 

≪ニュース動画より≫

 

現地メディアがたくさんニュース動画で紹介してくれています。ただしどれも短いカットばかりで、見れば見るほど欲求不満がつのるという面も・・。

 

●「トスカ:プッチーニ音楽祭でのホセ・クーラの勝利」と題されたニュース映像。各シーン、指揮者インタビュー、最後にクーラのカーテンコールの様子など。

Tosca: il trionfo di Josè Cura al Festival Pucciniano

 

●同じくニュース映像。第1幕の2重唱のごく一部、第2幕尋問シーン少々、第3幕「星は光りぬ」一瞬だけ・・と各シーンをチラ見できます。

 

●今回のフェスティバルのトスカ全体を振り返るようなニュース映像、13分と長めです。指揮者、クーラをはじめ、キャストのインタビューや舞台の様子も。 クーラのインタビューは10分10秒過ぎから。

 

●劇場FBにアップされた告知動画。音声はありませんが、クーラのカヴァラドッシが大勢の警吏を振り払おうとする場面や、3幕ラストのトスカとカヴァラドッシのシーンなどが少し見られます。

 

 

≪劇場のライブ放送より≫

 

実は、プッチーニフェスティバルの各公演は、毎回、各幕からそれぞれ一部分が、ネットライブ中継されました。本当にありがたいことで、うれしいのですが、一方でとても残念なことに、観客席内からスマートフォンでとったのかと思われる感じの映像で、画質、音質ともに、少々・・というものでした。とはいえ、中継してくれるだけでも、もちろんうれしいです。

クーラが出演した3回のトスカも、それぞれ、部分的にライブ中継され、その録画が劇場のFBで現在も見ることができます。その日によって、少しづつ録画のシーンが違っていますが、なぜか冒頭の「妙なる調和」だけは3回とも中継され、期待の「星は光りぬ」は1度もなし・・。トスカのアリアもありませんでした。

とりあえず、2つだけ、初日の第2幕「ヴィットーリア」と、最終日、長めに中継された第1幕の録画リンクを紹介します。それ以外にもたくさんの録画がありますので、劇場のFBをご覧ください。 

 

●8/18 第1幕、冒頭~「妙なる調和」~トスカとカヴァラドッシの2重唱

 

●8/2 第2幕、拷問に屈せず、共和派の勝利に歓喜の声をあげる「ヴィットーリア」のシーン

 

 

≪舞台裏の写真≫ 

 

バックステージの写真は、独特の面白さ、魅力があります。劇場や関係者のSNSからいくつか紹介します。

 

●気合十分、すでに役に入り込んでいるような、幕間の控室のクーラ。

 

●拷問による出血を丁寧にメイク中。メイク担当の方がいるのだと思いますが、仕上げは自分がやっているのでしょうか?

 

 

●カメラマンがインスタに投稿した、舞台袖で出番を待つクーラの写真。生の舞台の緊張感が伝わってきます。

 
 
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Lorenzo Montanelliさん(@lorenzo.montanelli)がシェアした投稿 - <time style=" font-size:14px; line-height:17px;" datetime="2019-08-25T17:29:31+00:00">2019年 8月月25日午前10時29分PDT</time>

 

●クーラがFBにアップした写真。最終日、「星は光りぬ」をアンコールで歌うことになった、その舞台袖からとった、湖の上に輝く月の写真。

「”星は光りぬ”を歌うために歩き出す数分前、舞台から撮った写真。文字通り、観客によって”強いられ”て、繰り返し歌った。プッチーニの家の前で、最も象徴的なアリアのアンコール、そしてこのような月を背景にするのは、夢を見る以上のものだ。」

  

●初出演の1995年以来の付き合い、サブ・ディレクターのルカさん、スカルピアのカルロスさんと。

 

●同じくルカさんが投稿した、クーラとの3人組の写真。

 

 

 


 

クーラにとってトスカのカヴァラドッシは、インタビュー編でも紹介したように、正義のために命をかける屈服しない人であり、アンドレア・シェニエとともにクーラ自身が共感できる役柄だと繰り返し語っています。とりわけ、世界がさまざまな困難に直面している現代だからこそ、今回の公演でも、クーラ渾身のカヴァラドッシは自由と民主主義の価値、それらを守り抜く信念と行動、人生について問いかけ、ドラマティックな音楽とともに多くの観客に深い感動をもたらしたのではないでしょうか。

そのカヴァラドッシにロールデビューしたのが、このプッチーニフェスティバルであり、1995年、クーラ32歳の時でした。その後、ウィーンやニューヨーク・メトロポリタンをはじめ、世界中の歌劇場で繰り返しこの役柄を歌い、演じています。そういう生涯をかけて演じ続けている役を、プッチーニ生誕の地の音楽性でデビューし、そしてまた20年余を経て、また同じ役柄で戻ってきたことに、クーラもとても深い思いを抱いたようです。

この滞在期間に、ルッカのプッチーニの生家を再訪し、またプッチーニが暮らした湖畔の家にも訪問しています。その際のクーラのプッチーニへの思いの込もったインタビュー映像などもありますので、いずれ紹介したいと思います。

 

 

*画像はフェスティバルFBなどからお借りしました。

 

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