2021年11月9日、ホセ・クーラはハンガリーのブダペストで、レオンカヴァッロのオペラ「道化師」に出演しました。
すでに前回の記事でご紹介したように、ラジオ生放送され、いつまで可能かはわかりませんが現在まだ、オンデマンドで録音を聞くことができます(11月15日現在)。ぜひ記事のリンクをクリックしてみてください。
今回は、この公演の舞台写真が、主催者のハンガリー放送芸術協会のフェイスブックに大量に掲載されましたので、その一部をご紹介するとともに、リハーサルの様子を収めた動画や写真などもありますのでリンクを掲載しています。
写真を見ていただくとよくわかりますが、今回の公演はコンサート形式なのですが、クーラは完全に役になり切っていて、まわりの出演者も巻き込んで、セットはないけれども、あきらかにドラマの空間ができあがっているのがわかります。ぜひとも動画も見てみたいものです。
Leoncavallo's 'Pagliacci'
Canio: José Cura.
Nedda: Polina Pasztircsák.
Tonio: Zoltán Kelemen.
Beppo: János Alagi.
Silvio: Zsolt Haja.
Hungarian Radio Children's Choir, Choir and Symphony Orchestra.
Conductor: János Kovács.
9th November, 2021 Müpa Budapest
●舞台写真ーーハンガリー放送芸術協会のFBより
協会のFBに2度にわけて掲載されました。右上のFマークをクリックするとFBの投稿ページに移り、画像を拡大してみたり、その他の大量の写真を見ることが可能です。
●リハーサルの写真
こちらはリハーサル中の様子を撮影したもの。同じくハンガリー放送芸術協会のFBより。
●インタビュー動画 リハーサルの様子も少し
クーラがインタビューに答える様子(英語)とリハーサルの様子も収録したニュース動画(3分半)です。
●クーラのFB投稿ーー劇場の公演紹介記事をとりあげて
公演会場であるMUPAブダペストの告知に、クーラについての短い紹介が掲載されています。以下の投稿は、クーラがその紹介記事を取りあげて、感謝の言葉を述べたものです。
”ドン・キホーテのように、長年、風車とたたかってきた私にとって、このような真面目な言葉を読むのはとてもうれしいことだ。 正確な観察をしてくれたMolnár氏に感謝する。あなたの判断が常にどれほど厳しいかを知っているだけに、それは私にとって大きな意味がある。”
(引用された紹介文)
”歌手、俳優としてのクーラの業績は、しばしば批評家を困惑させる。しかしこれは、楽しい困惑の一種だ。彼らが見ているのはクーラ自身ではなく、彼が演じているキャラクター(オテロであれ、カラフであれ、場合によってはカニオであれ)であるため、舞台上でパフォーマーが実際に何をしているのかを語ることができないことに気づくからである。
クーラの歌は常に正確で、楽譜に書かれていることを忠実に守っているのだが、彼の口から出てくる言葉はすべて、精神状態の表明やその表現のように思える。彼の芸術的な存在感が呼び起こすもので、大きな影響を受けるのは視聴者だけではない。キャストの仲間の歌手たちは、彼の周りの舞台を熱狂させるクーラを常に頼りにしている。”
公演のラジオ生中継を実施し、たくさんの写真を掲載してくださったハンガリー放送芸術協会には、本当に感謝です。
クーラの舞台上の存在感の大きさは、ラジオ放送からも十分感じ取れました。上記でクーラが紹介した文章のとおりで、写真を見ても録音を聞いても、クーラ自身がまるで酷く傲慢で、暴力的で威圧的な人物そのものに感じられますが(笑)、スコアとリブレットに忠実に、ドラマを描き出しているだけであり、そのリアルさと迫力が、見るものの胸をうち、時には錯覚させるのではないでしょうか。
オペラ道化師の解釈については、これまでクーラはたびたび発言してきています。このブログでも何度かご紹介していますので、興味のある方はご覧いただければ幸いです。
*例えば「ホセ・クーラ 道化師の解釈 "私は仮面の背後にいる"」など
お読みいただいてありがとうございました。
*写真は放送芸術協会FBや劇場HPからお借りしました。