2021年10月25日から30日までの1週間、ホセクーラは、マルタフィルハーモニー管弦楽団が主催するマスタークラスに、講師として招かれました。
*マスタークラスの告知詳細については以前の投稿(「告知編」)で掲載しています。
今回は、オケや出演者が投稿したSNSなどから、マスタークラスの様子を紹介したいと思います。残念ですがマスタークラスそのものや最終日のコンサートの全体の動画は公開されていません。
クーラのマスタークラスは独特で、とてもフランクでリラックスした雰囲気、そしてオペラの音楽と脚本にそってドラマを深く表現する歌唱を追求するユニークなものです。もし興味をお持ちの方がいらしたら、2019年のカーディフ国際声楽コンクールでのマスタークラスが1時間超の動画で現在も公開されていますので、ぜひご覧になってみてください。
*「2019年 ホセ・クーラ、BBCカーディフ国際声楽コンクールでマスタークラス」
≪ マスタークラスの様子 ーー SNSより ≫
マスタークラスの日程は、最初の2日間がピアノとのレッスン、次の2日間はオーケストラとのレッスン、そして最終日に、クロージングコンサートとして、クーラ指揮、マルタフィルと受講者によるコンサートが行われました。
コンサートは無料の申込制で、早々に満席になったようです。
● マルタフィルのFBより
"Mastering the Voice with José Cura"が始まる。インターナショナルな参加者は、洞察に満ちたマスタークラスを開始し、解釈、オーケストラや指揮者との交流、コミュニケーションなどのスキルを掘り下げて、テアトロアストラでのクロージングコンサートを開催する。クロージングコンサートは、マルタ観光局とゴゾ島省共同で提供される。クロージングコンサートは10月30日午後7時30分~ Teatru Astraにて。”
●参加者によるクロージングコンサート オケFBより
●マスタークラスを終えて ーー クーラのFBより
"Mastering the Voice"の第1回目が終了した。教師として、素晴らしい才能を持った生徒たちをとても誇りに思っている。生徒から主催者まで、関係者全員、よくやった!
●受講生の投稿より
多くの受講生がSNSでマスタークラスに参加した感動を伝えていました。その中からいくつかの投稿を紹介します。
●最後のコンサートの様子ーー参加者によるYouTube動画
Sara Briski Cirman - Seguidilla (G. Bizet, Carmen) with Jose Cura and Malta philharmonic orchestra
●マルタフィルのFBに掲載された告知動画 ーー ダムラウ夫妻とのコンサート抜粋とクーラのインタビュー
≪ 受講生をとりあげたメディア報道より ≫
スロベニアから参加したサラ・ブリスキー・サーマンさんは、すでに歌手、ソングライター、ハープ奏者としても活動している人なのだそうです。上に掲載した動画の投稿者です。祖国スロベニアのメディアが、彼女のマスタークラスでの体験を記事にしています。一部を抜粋して紹介します。
彼女は、ホセ・クーラとマルタ・フィルハーモニー管弦楽団によるソロ歌唱のマスタークラスのためにマルタを訪れた。
「マスタークラスに応募したものの、世界中の歌手が応募していたので、選ばれる見込みはほとんどなかった」と半信半疑だったが、彼女は成功した。それだけでなく、1週間のコースの最後に、マルタのメインシアターであるテアトロアストラで行われたコンサートで、マエストロ・クーラとマルタフィルと共演するという光栄な機会に恵まれた。「私はコンサートではオペラ『カルメン』の『Seguidilla』を歌ったが、このアリアのテノールパートをクーラ自身が歌ってくれるという、他の参加者にはない特別な名誉を得た」と、今でも信じられない様子だ。
彼女は「夢のような時間だった」と語る。
「世界で最も有名な最高のテノールの1人に褒められたことは、これからキャリアを始めようとしている若い歌手にとって、大きな確認になる。彼が私と一緒に歌ってくれたことは、大きな成果であり、将来への良い足がかりだと考えている」
1週間のコースで、彼女はクーラをより知ることができた。「彼は私たちにとてもパーソナルなアプローチをしてくれて、この短い時間にできるだけ多くの知識を与えようと懸命に努力してくれた」
彼から何かアドバイスをもらったのだろうか?
「彼のアドバイスで一番心に残っているのは、”Don't hurry and don't stop(急がずに、そして立ち止まらずに)” で、これは私が25歳であることにもとづいている。だから私は急がず、立ち止まらずにやっていきたい」
(「novice.svet24」)
マルタフィルとのマスタークラスは、参加者たちにとってもクーラにとっても、とても実りある充実した時間だったようです。クーラが願うように、それぞれの若い歌手たちが、様々なプレッシャーに潰されることなく、長くキャリアを発展させ、アーティストとして成熟していけるようになるといいですね。日本でも、クーラのマスタークラスが、オケや音楽団体、大学などによって企画されると素晴らしいと思うのですが、実現する日を楽しみにしています。
*画像はマルタフィルや受講生のSNSなどからお借りしました。