長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

『軍師官兵衛』  視聴メモ 第20回『囚われの軍師』

2014年05月23日 09時55分09秒 | 日本史みたいな
『軍師官兵衛』第20回『囚われの軍師』(2014年5月18日 演出・本木一博)


登場する武将の『信長の野望』シリーズでのだいたいの能力評価(テロップ順)

小寺 官兵衛 孝高  …… 知力84、統率力67
 (演・岡田准一)

竹中 半兵衛 重治  …… 知力59、統率力91
 (演・谷原章介)

明智 光秀      …… 知力93、統率力95
 (演・春風亭小朝)

高山 右近 重友   …… 知力71、統率力75
 (演・生田斗真)

足利 義昭      …… 知力98、統率力86
 (演・吹越満)

荒木 村重      …… 知力52、統率力83
 (演・田中哲司)

母里 太兵衛 友信  …… 知力44、統率力80
 (演・速水もこみち)

丹羽 長秀      …… 知力82、統率力73
 (演・勝野洋)

柴田 勝家      …… 知力51、統率力87
 (演・近藤芳正)

織田 信長      …… 知力115、統率力108
 (演・江口洋介)

瀧川 一益      …… 知力66、統率力78
 (演・川野太郎)

佐久間 信盛     …… 知力57、統率力51
 (演・立川三貴)

高山 友照      …… 知力53、統率力59
 高山重友の父。信長への徹底抗戦を主張して息子と対立する。(演・小林勝也)

織田 信忠      …… 知力73、統率力69
 (演・中村倫也)

中川 清秀      …… 知力26、統率力75
 (演・近江谷太朗)

小寺 兵庫助 利高  …… 知力78、統率力63
 (演・植木祥平)

真木島 昭光     …… 知力65、統率力33 ※昭光は『信長の野望』シリーズにはいまだ登場していないのですが、鞆幕府時代に昭光と共に義昭に仕えていた幕臣・唐橋在通(一色昭孝)の能力値を元に推定しました。
 将軍・足利義昭の側近(演・小久保 丈二)

小寺 政職      …… 知力44、統率力49
 (演・片岡鶴太郎)

羽柴 秀吉      …… 知力95、統率力94
 (演・竹中直人)

小寺 職隆      …… 知力72、統率力55
 (演・柴田恭平)


ざっとの感想

○職隆「肝心なのは、この黒田の家を、姫路を! 守り抜くこと……」
 官兵衛の感情的に過ぎた独断専行によって、「当主不在」となった緊急事態の黒田家の中で、一瞬にして現役当主時代に戻ったかのように、ほれぼれする眼光と声のハリをもって家臣に対処する父・職隆! カッコイイ~♡
 ただ、黒田家一同がそろって深刻そうな表情を浮かべていたわけなんですが、ぶっちゃけ、黒田職隆には嫡男・官兵衛の他に次男・兵庫助利高(当時25歳)、三男・利則(当時18歳)、四男・直之(当時15歳)がちゃんといますんでね。官兵衛がいなくなっても、別に大丈夫っちゃあ大丈夫のような……
 要するに、官兵衛という才能が失われること自体はそれなりの損害なのですが、当主1人がいなくなったところで黒田家の屋台骨がガタつくことはないように、前もって職隆は「夜のお仕事」をまったく勤勉にこなしていたのでした。当時、立派に五体満足な当主候補が3人もひかえている、ということに対する家臣団の安心度と信頼度の絶大さは、他の何者にも変えがたい黒田家の信用保証になっていたと思われます。藤原道長とかハプスブルク家にはおよびませんが、職隆の「子宝の恵まれ度」は、それだけで素晴らしい天賦の才能なのでした。
 考えてみれば、あれほどの天才・豊臣秀吉をもってしても、そこのみに重大な欠陥があったがために、一族がああいう末路をたどってしまったわけでして……個人の才能よりも、子孫繁栄が大事なのよねェ~!! 戦国武将だって、しょせんは動物なのよさ。

○オープニング明けからやけにゴキゲンな将軍・足利義昭の蹴鞠コントが炸裂! うん、まぁ……御内書がほんとに功を奏しているのかは別にしても、お元気そうでなによりです。それはいいとしても、この備後国・鞆御所時代の義昭公がドラマでこんなに活き活きと描かれる機会は多くはなかったはずで、それほどに荒木村重謀反の日本全国に波及する影響が大きかった、ということを絶妙な角度からフォローするいいシーンになっていたかと思われます。真木島昭光の、この堂々たるイエスマンっぷり……父ちゃん、情けなくって涙が出てくらぁ!
 あえて苦言を呈させていただくのならば、どうせ鞆御所時代なんですから、ただの居館の庭じゃあなくて海辺の城塞っぽい情景を入れてほしかったことと、あと、義昭公って、蹴鞠そんなにお好きだったのかしら……? だって、6歳から30歳手前になるまで大和国の興福寺で坊さんやってた人なんですよ。イメージからやたら「ほっほっほ。」な公家っぽい言動が強調される義昭公なのですが、実際には、

「あぁ~、武家も公家もあわねぇ~。ほんと、マジお経よみてぇ~。」
 
 と、部屋でゴロゴロしている超インテリ&インドア派だったのではないのでしょうか。そりゃ正室もできませんわな。異性への愛を知らずに育った、哀しき男よ! 側室と子どもはちゃんといるけどね。

○まさか、高山右近の内応を総帥信長みずからが根回ししていたとは! 右近を引き込むために、織田政権領内の全キリスト教徒を人質にとる……さすがは信長、やることが本気印すぎ!! っていうか、赤ワインとテーブルクロスがもったいなさすぎるぅ! ああいう緊迫感あふれる席で、つがれた1杯目のワインをまたたくまに飲み干すオルガンティノもオルガンティノですけどね。
 余談ですが、ここで日本人修道士のロレンソ了斎を演じておられた俳優の秋間登さんは、かつて『秀吉』(1996年)で、あの松永弾正久秀を演じていました。つくづくキリスト教に縁のあるキャスティングなのですが、容貌のわりにやけに声にハリツヤがあって若々しいし、そのやけに目立つ「謎の東洋人」な存在感がたまりませんね。けったいなじい様やでぇ……

○編集の都合で、信長との会見の次の瞬間に右近の元に姿をあらわすオルガンティノ&ロレンソ。なんというフットワークの軽さ……おぬしら、ニンジャか!?

●入口に立ちはだかる牢番を、いつものまっピンクな衣装で「無礼者!」と一喝する、だしの方。
 いや、牢番は仕事で立ちはだかってるんだからさぁ! これのどこが無礼なんすか!? っていうか、つき人もなしにそんなチャラッチャラした格好でうろうろしてる子持ち人妻のほうがよっぽど非常識ですってば!! この非常時に、浅知恵なスタンドプレイもほどほどにしてくださいよ~っての。

○幽閉されてからやけに「男前指数」が上昇した官兵衛と、謀反を起こしてからやけに「北条高時指数」が上昇した小寺政職。なんだか、盛りあがってまいりました!
 『太平記』(1991年)での片岡鶴太郎さんは、放送第22回『鎌倉炎上』まで活躍していたわけだったのですが、さぁ、今回の『軍師官兵衛』では、どのくらいまで持ちこたえてくれますかな~? もうそろそろ立場がヤバいんですけど、まぁ政職は戦場で死ぬわけじゃないですから。

●荒木・政職方が発した「官兵衛死す」の報に疑念に抱きつつも、孫の松寿丸のために織田方につき続けることを涙ながらに決意する職隆。
 演じる柴田恭平さんも慟哭の名シーンなわけですが、官兵衛が死んだという情報を過剰に信じていない前提があって「官兵衛を見捨てるやも……」と語る職隆のスタンスがいまいちピンとこない。そこは死んだとドライに解釈して、ちゃっちゃと織田方に明確な恭順の態度を示すときなんじゃないんですか? 別に悩む余地はないですよねぇ。毛利方だって、今さら黒田家にこっちに来いとは言う気もないでしょうし。
 なんか、「死んだというのはウソで、これから官兵衛を人質にして荒木方が黒田家を脅迫してくるかも」というわけのわかんない可能性を異常に信じきって悲壮なことを言っている職隆の独りずもう感だけしか伝わってきませんよね。やっぱり『軍師官兵衛』の脚本は、「そこ広げてどうすんの?」と首をかしげるような要素を偏執的に拡大解釈する気持ち悪いクセがたまに目立つような気がします。
 どんな名優の演技でも、共感できない涙はきれいには見えませんよね。っていうか、黒田家の次男坊・利高の存在感のなさ、どんだけ~!?

●「官兵衛死す」のうわさが広がったとたんに、黒田家から飛び出て御着城の小寺家に帰参する家臣が続出!
 だだ、だから、次男坊の利高の存在感のなさ、どんだけ~!?

●あんな牢屋の中で、そんなにおおっぴらに「がさっ、がさっ。」と音を立てて、でっかい和紙に描かれた有岡城の絵図を読んでいたら、いくら隠しても牢番にバレないわけがないだろうがよ……やっぱ、あの人妻バカだ、もっとちっちゃい布みたいなやつに書いてこいっつうの!!
 あの牢番は iポッドでマキシマム・ザ・ホルモンでも聴きながら仕事してんのか!? 音で気づけバカンダラ!!

○職隆に捧げられた黒田家家臣団の起請文のように、一瞬しか画面に映らない小道具の文書にこそ、リアリティとドラマの説得力が宿る! ああいう文書を実際に執筆するプロの研究家の方の仕事を拝見したいもんだな~。そして、撮影に使ったやつでいらないのがあったら、1枚ぐらいちょうだいよ!!
 あれって、本物はホントに読むのが難しいんですよね……いい知らせなんだか悪い知らせなんだかが、まずわかんないもんね! ああいうの、サラサラッとリーディングできたらなぁ! なっても21世紀の日本じゃ、てんで役に立たないんだろうけどさぁ。

●右近の織田家帰参を聞いて、一も二もなく「オレもオレも!」と荒木のもとを離れる中川清秀……こいつ、ホンット最低だな! もとはと言えば、誰のミスの尻ぬぐいのために謀反を起こしたと思ってんだコノヤロー!!
 今回の『軍師官兵衛』の放送で、彼ほど損な役割を演じさせられて(史実どおりっちゃあ史実どおりなんですが、分の悪い説を採用されまくり)株を大暴落させた武将もいないでしょう。もう、憎ったらしいのをゆうに通り越して、哀れですよね。


結論、「第21回がとてもたのしみです。」

 内容としては、幽閉され続ける官兵衛と、重臣たちの裏切りが始まってじょじょに追い詰められていく荒木村重といったあたりが繰り返し語られる、全体的にスローテンポな回となったのですが、なにしろ随所で官兵衛を演じる岡田さんのアイドルらしからぬ実戦的なアクションがしれっと堪能できる、けっこうおもしろいエピソードになったと感じました。相手の襟首を使って首を絞めるとか、村重の刃から身をかわして城の壁を走って逃げるとか、いちいちものすごいぞ、この軍師!! さすがは元 SP。

 う~ん、右近とか清秀をどんどん脱落させていく信長の手腕はさすがなんですが、やっぱりそうでもしないと攻略が困難な、「難攻不落の総構え要塞」としての有岡城がまだ描写されていないのがもどかしいですよね。次回はぜひとも、そういったあたりの攻城戦シーンが観たいところであります!

 あいも変わらず、その女優としての魅力がかけらも伝わってこない桐谷さんなんですが、次回こそは!! と願いをかけつつ……でも、どうせ来週もまっピンクなんだろうなぁ。
コメント
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