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挑戦か、挫折か!? クロサワ若き日の問題作 ~映画『白痴』~

2023年08月23日 22時45分09秒 | ふつうじゃない映画
映画『白痴』(1951年6月公開 166分 松竹)
 『白痴(はくち)』は、1951年に公開された日本映画である。原作はロシア帝国の小説家ドストエフスキーの小説 『白痴』(1868年発表)で、本作では昭和二十年代の札幌に舞台を置き換えている。当初の上映時間は265分だったが、製作した松竹の興行上の都合で166分に短縮された。

 脚本は黒澤明と久板栄二郎の共同執筆で、静岡県熱海市の旅館で約1ヶ月かけて執筆作業を行った。製作は松竹大船撮影所で行われ、助監督に中平康や野村芳太郎などが付いた。野村は最終的に黒澤からシーンの可否の判断まで求められるようになり、黒澤は「大船に過ぎたるものふたつ。(編集の)杉原よ志に野村芳太郎」と語ったという。1951年2月12日に北海道のロケ地で撮影開始し、5月中旬に撮影終了した。

 黒澤が完成させた当初は上映時間が4時間25分あり、前後編2部作となる予定だった。しかし松竹副社長の城戸四郎は試写を見たあとに撮影所長を叱りつけ、興行的に不利だとして短縮を命じた。黒澤は渋々3時間2分に再編集したが、さらに短縮するよう要求された。激怒した黒澤は、山本嘉次郎宛ての手紙に「こんな切り方をする位だったら、フィルムを縦に切ってくれたらいい」と訴えたという。この3時間2分版は1951年5月23日から東京劇場で3日間だけ上映されたが、同年6月1日に一般公開されたのは松竹が再々編集した2時間46分版で、オリジナル版は現存していないとされている。


あらすじ
 亀田と赤間は北海道へ帰る青函連絡船の中で出会った。亀田は沖縄で戦犯として処刑される直前に人違いと判明して釈放されたが、そのときの後遺症で、てんかん性の白痴にかかってしまっていた。札幌市へ帰ってきた亀田は、中央区狸小路の写真館のショーウィンドーに飾られていた那須妙子の写真に心奪われる。しかし、妙子は政治家に愛人として囲われていた。裕福な大野の娘の綾子と知り合った亀田は、白痴の症状こそあるものの性格の純真さや善良さから綾子と妙子に愛され、彼女たちの間で激しく揺れ動く。3人の異質な恋愛は、周囲の人々を次々に巻き込んでゆくこととなる。

おもなキャスティング ※カッコ内は原作小説での登場人物名
亀田 欽司(ムイシュキン公爵)…… 森 雅之(40歳)
那須 妙子(ナスターシャ)  …… 原 節子(31歳)
赤間 伝吉(ロゴージン)   …… 三船 敏郎(31歳)
大野 綾子(アグラーヤ)   …… 久我 美子(20歳)
綾子の父(エパンチン将軍)  …… 志村 喬(46歳)
大野 里子(リザヴェータ夫人)…… 東山 千栄子(60歳)
香山 睦郎(ガーニャ)    …… 千秋 実(34歳)
香山 孝子(ワーリャ)    …… 千石 規子(29歳)
睦郎の母(イヴォルギン夫人) …… 三好 栄子(57歳)
香山 順平(イヴォルギン将軍)…… 高堂 国典(64歳)
香山 薫(コーリャ)     …… 井上 大助(16歳)
東畑(トーツキイ)      …… 柳 永二郎(55歳)
軽部(レーベジェフ)     …… 左 卜全(57歳)

おもなスタッフ
監督 …… 黒澤 明(41歳)
脚本 …… 久板 栄二郎(52歳)、黒澤明
原作 …… フョードル=ドストエフスキー『白痴』
企画 …… 本木 荘二郎(37歳)
美術 …… 松山 崇(42歳)
編集 …… 杉原 よ志(?歳)
音楽 …… 早坂 文雄(36歳)
助監督 …… 野村 芳太郎(32歳 『砂の器』)、中平 康(25歳 『狂った果実』)、二本松 嘉瑞(29歳 『宇宙大怪獣ギララ』)、萩山 輝男(?歳)、小林 桂三郎(?歳)、生駒 千里(?歳)
配給 …… 松竹


≪まったく暑いですね……当然のごとく、本文マダナノヨ≫

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