電機連合は2025年春季交渉で過去最高のベースアップを要求する方針
(写真は24年の中央委員会、東京都千代田区)
日立製作所など電機各社の労働組合で構成する電機連合が2025年の春季労使交渉で、基本給を底上げするベースアップ(ベア)で月1万7000円以上を要求する方向で調整していることが27日、分かった。
1998年に現在の要求方式になって以来、過去最高となる。上部団体の金属労協が掲げる1万2000円以上の要求水準を上回る。
25年1月に開催する中央委員会で正式決定する見通し。ベア率は5%以上となり、定期昇給の要求は別途議論する。
電機連合がベアに相当する賃金改善を要求するのは11年連続で、1万3000円以上とした24年の要求方針を3割上回る。
電機大手は送配電網機器などエネルギー分野の業績が好調で、海外事業も順調に伸びている。物価上昇で家計の負担は重く、実質賃金引き上げが課題になっていた。
人工知能(AI)やデータ分析の専門家など業界を超えた優秀な人材の獲得競争にも対応する。
電機連合は主要企業の労組が同じ額で賃金改善を求める統一闘争を実施する。24年の春季労使交渉では各社の労組が月額1万3000円以上などの要求を掲げた。
NECや三菱電機などが満額で回答し、シャープは1万円で回答した。
労組の中央組織である連合は、25年の春季労使交渉のベアと定期昇給を合わせた賃上げ率は、全体で5%以上、中小企業で6%以上とした。
大企業を含む全体の賃上げ率は24年春季交渉と同じ5%以上とし、中小についてはより高い水準の目標を掲げた。今後は各社の労組が要求額をどの程度積み上げていくかが焦点となる。
賃上げは賃金水準を一律に引き上げるベースアップと、勤続年数が上がるごとに増える定期昇給からなる。
2014年春季労使交渉(春闘)から政府が産業界に対し賃上げを求める「官製春闘」が始まった。
産業界では正社員間でも賃金要求に差をつける「脱一律」の動きが広がる。
年功序列モデルが崩れ、生産性向上のために成果や役割に応じて賃金に差をつける流れが強まり、一律での賃上げ要求の意義は薄れている。
続きを読む