連邦地裁に入る関係者(25日、米バージニア州)
【アレクサンドリア(米バージニア州)=渡辺直樹】
米グーグルのデジタル広告が反トラスト法(独占禁止法)に違反していると米司法省などが訴えた訴訟で、米連邦地裁で25日、最終弁論が開かれた。
両者は独占の有無を巡り激しい応酬を繰り広げた。ネット検索訴訟で司法省から分割を迫られるグーグルは、この訴訟でも厳しい判決が出れば、窮地に立たされる。
今回の最終弁論は8月に米首都ワシントンの地裁がグーグルの独禁法違反を認めたネット検索事業の裁判とは別の裁判で、米競争当局の司法省などが2023年1月に起こした。
グーグルは検索やウェブ閲覧ソフト(ブラウザー)など無料のサービスで消費者を集め、得られたデータを使い広告で収益を回収している。
司法省は検索の裁判で消費者向けサービスの独占、広告の裁判で企業向けの独占にそれぞれ焦点を当て、グーグルのビジネスモデルに切り込む構えだ。
「現実的な代替手段はなく、グーグルは顧客の選択の自由を奪った」。25日午前10時に米首都ワシントン郊外にあるバージニア州アレクサンドリアの連邦地裁で開かれた最終弁論で、司法省側はこう述べグーグルを激しく糾弾した。
グーグルはデジタル広告を掲載するサイト運営者向けのサービス、広告を出す広告主向けのサービス、両者をマッチングする取引サービスの3つを手がける。
司法省はグーグルが広告スペースの売り買い両方のサービスを連携させることで他社の参入を阻んで競合を排除し、広告価格をつり上げていると問題視した。
グーグルはこうした広告サービスをM&A(合併・買収)で強化してきたこともあり、司法省側は裁判所に独占が認定されれば事業の分割を求めていく考えだ。
これに対しグーグル側は「グーグルの取り組みは競争に対応した結果だ」と主張した。米アマゾン・ドット・コムや米メタも同様に広告サービスで連携を進めていることを挙げた。
また、司法省側が提示した独占認定のためのシェアデータは恣意的だとした。デジタル広告の価格のつり上げはなく、グーグルのシェアも相対的に低下していると述べた。
両者の弁論を受け、今後バージニアの裁判所はグーグルの広告市場での独占の有無を判断する。
判決の行方はグーグルの収益基盤にとどまらず、ネット広告産業全体にも影響を及ぼすことになる。
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
正直なところ、このニュースを見ると非常に苛立ちを感じずにはいられません。
なぜかというと、反トラスト法は司法省長官メリック・ガーランド氏の個人的な関心事であり、彼はこのような案件にリソースを注ぎ込んでいるからです。
その一方で、アメリカ議会議事堂での1月6日の反乱を計画した者たちへの正義追求は後回しにされています。
リソースと努力の完全な配分ミスです。
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