鎌倉時代末期に兼好法師によって著された『徒然草』
江戸時代になって、注釈書などが普及して
一気に幅広い読者層がひろがりました。
江戸初期の注釈書の刊行で章段番号もつけられました。
サントリー美術館が所蔵する「徒然草絵巻」を絵画化したのは、
絵師・海北友雪(かいほうゆうせつ)《1598~1677年》です。
海北友雪はほぼすべての章段の〈徒然絵〉を描きました。
248図の絵で構成された、「徒然草絵巻」の決定版とも言うべき
唯一無二の作品です。
この友雪は、将軍家光の乳母春日局(1579~1643)の庇護を受けて
苦境からの転機を迎えたそうです。
絵巻でながめるのは、当時の様子がよく分かり、
見ているだけで楽しくなります。
注釈書なしでは読めない古典も、このような繊細な絵巻絵なら
ワクワクしながら読めます。
ところどころに兼好法師の姿が描かれているのもユーモアがあって
ほほえましいです。