晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

松岡圭祐 『催眠』

2009-07-13 | 日本人作家 ま
昨日、あるラジオ番組で、先代の故引田天功のことを特集
していたのですが、そこで、2代目のプリンセス・テンコーが
助手時代に、あるパーティーで催眠術にかかった演技を要求
され、同じく舞台に上がっていた岡本太郎氏のひざの上に座
り、さらに「あなたはキスをしたくなる」と言われ、仕方なくキス
したそうです。
プリンセス・テンコーのファーストキスのお相手はなんと岡本
太郎氏であった、とのこと。

つまり催眠術とは、それ自体がインチキだと断罪するのでは
なく、ある種の娯楽というか演芸で、かからなきゃと思い込ん
で言うなりに行動することが催眠術にかかったということにな
るんだなあと納得させられました。

本作「催眠」は、そんなテレビ的に催眠術を行い一時はもては
やされたものの、すっかり落ちぶれてしまった男が、緑の猿に
かけられた催眠を解いてほしいという、特殊な能力を持つ女を
利用して金儲けを企もうとするも、この女は精神的な病気だと
気になる心理センターの職員が女を治療しようとする、といった
話です。

この女は、怒鳴られるといった衝撃を受けると、自分は宇宙人
だと言い、相手の心の内をずばずばと当てるのですが、これは
専門に勉強した心理センターの職員によると、わずかな顔表情
の動きと目線の配り方で相手の思考状態が分かるとのこと。

この続編と位置付けられている「千里眼」でも、こういった催眠や
透視のようなもののからくりを説いているのですが、臨床心理士
である著者ならではの考察で、他人の心を読んだり意のままに
操るといった魔法じみたものは肯定しません、という姿勢がうか
がえます。

コメント
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