強行するなら“異次元”の手法を採用するしかないのではないか。
2025年4月に開幕予定の大阪・関西万博で、パビリオン建設が進まない問題。建設工事に必要な「許可申請書」はいまだに1件も大阪市に提出されておらず、その前段階の「基本計画書」がようやく、韓国、チェコから提出されたという遅々とした状況だ。
さすがに“言い出しっぺ”の日本維新の会の幹部も「余裕がなくなってきているのは事実」と焦りを隠さないが、維新はメンツにかけて何としても強行する構えだ。
しかし、資材高騰と人手不足は深刻で、建設業界関係者は「予定通りの開催は無理筋」と口を揃える。仮に資材と人材を確保できたとしても課題は残る。会場の夢洲は人工島で、アクセスが夢舞大橋と夢咲トンネルの2カ所しかないことだ。大規模工事が本格化すれば工事車両が殺到し、目詰まりを起こしかねない。
ピーク時の作業員は約2万人
この問題を突破するには、前時代的だが現場に作業員用の食事、宿泊施設を備えた「飯場」を造成するしかなさそうだ。大阪万博の問題に詳しい建築エコノミストの森山高至氏はこう言う。
「建設業界関係者によると、夢洲での会場建設工事ではピーク時に約2万人の作業員が出入りすることになるとみられています。彼らを現場に送り届けるには、約1000台のバスが必要になるでしょう。現場には資材運搬用の車両も来るわけですから、アクセス経路が2カ所では渋滞必至です。
すると、現場入りするのに時間がかかり、来春から適用される時間外労働の上限規制に引っかかりかねない。作業に従事できる時間を極端に短くせざるを得なくなる可能性があります。『通勤』はかなり非効率なのです。ですから、一定期間、現場で生活しながら仕事ができるような『飯場』のような施設が必要でしょう」
しかし、令和の時代に飯場とは……。劣悪な環境に労働者が集まるのか。
「もちろん、掘っ立て小屋のような施設は論外です。最低限、ワンルームマンションに、ビジネスホテルの朝食バイキングレベルの食事ができる施設が必要でしょう。でなければ、人を集めることなど到底無理だと思います」(森山氏)
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