“利益優先 気候対策怠った”
米下院 石油大手の責任追及
【ワシントン=島田峰隆】米下院の監視・改革委員会は28日、石油大手企業が自社の利益を優先して気候変動対策を遅らせようとしたとされる問題について公聴会を開きました。委員長のキャロリン・マロニー下院議員は、企業幹部を前に「気候変動の最悪の結果を避ける機会は急速に狭まっている。化石燃料業界が態度を改める時だ」と指摘しました。
公聴会では、エクソンモービル、BP、シェブロン、シェルの石油大手4社の幹部らが証言しました。
米メディアなどによると、エクソンモービルやシェルの社内では1970年代から80年代に、科学者が経営陣に対し、化石燃料の燃焼が地球規模の気候変動を起こしていると警告していました。しかし経営陣は対策を取らず、化石燃料事業を進め、巨額の利益を上げました。
マロニー氏は「米国民は気候変動を抑制できたかもしれない30年余りを失った。その結果が今日の強力なハリケーン、危険な山火事、破滅的な洪水だ」と批判しました。幹部らは「化石燃料の使用が気候変動の一因となっている」(シェブロン)と認める一方で、石油やガスは今後も必要だとして「簡単な答えはない」(エクソン)などと表明しました。
- COP26inグラスゴー きょう開幕/パリ協定目標達成へ 協調できるかが焦点
- “利益優先 気候対策怠った”/米下院 石油大手の責任追及
- 太平洋の島国「断固とした行動を」/COP26へ パリ協定履行求める
- 辺野古リポート/音楽・文化 平和でこそ
投開票が31日に迫った総選挙は、まったく結果が読めない展開になってきた。289ある小選挙区のうち4割が接戦となっている。野党共闘が奏功し、小選挙区で一騎打ちの戦いになっているのが大きい。落選が現実味を帯びる与党の大物議員も少なくない。
◇ ◇ ◇
読売新聞の最新世論調査(26~28日)によると、自民は終盤に入り、野党に追い上げられている。自民候補の劣勢は序盤の46人から60人に増え、104人が当落線上だという。
現職閣僚や党役員、大臣経験者ら自民の大物議員の最新情勢を探ると、27人もが、「劣勢」か「互角」の戦いを繰り広げている〈別表〉。現職大臣3人(若宮健嗣氏、山際大志郎氏、西銘恒三郎氏)と、自民党の執行部3人(甘利明氏、遠藤利明氏、高木毅氏)も大接戦となっている。
「党の顔」であるはずの幹事長の甘利氏は当選に黄信号がともり、全国遊説どころではなくなった。他人の応援をやめ、自分の選挙区に張り付いているありさまだ。野党候補に猛追されている。
初入閣組の3大臣も苦戦

岸田内閣で初入閣し、“箔”が付いたはずの自民の3大臣も苦戦。山際氏、西銘氏の2人は野党候補に迫られ、若宮氏はややリードされている。
序盤は「盤石」とされた細田博之氏や高木氏もここへきて野党統一候補の猛追を受け、わからなくなってきている。選挙に強い2人が、ここまで苦しむのは異例のことだ。
73歳定年制により、比例との重複立候補ができない林幹雄氏、原田義昭氏、山本幸三氏、北村誠吾氏、衛藤征士郎氏は野党候補にリードを許す崖っぷちの戦い。無所属の松本純氏と公明の斉藤鉄夫氏(広島3区)も比例復活はない。松本氏はかなり厳しい戦いだ。
■日に日に情勢悪化の石原伸晃氏
情勢が日に日に悪化しているのが石原伸晃氏だ。幹事長や閣僚を歴任した石原派の領袖。東京8区で、連続10回当選している。れいわの山本太郎氏が同区からの出馬を取りやめ、野党統一候補となった吉田晴美氏(立憲)が勢いを増している。自民党が行ったとされる調査では先々週は石原氏が吉田氏をわずかにリードしていたが、先週は逆に9ポイント近く引き離されている。27日には岸田首相が東京8区入り。派閥領袖が総裁の応援を受けるのは前代未聞のことだ。
27人のうち、何人が生き残るか。
岸田首相が極右雑誌「Hanada」「WiLL」に登場し“改憲宣言”! 黒幕・安倍も「岸田さんはリベラルな印象だから反発受けない」

改憲宣言をした岸田首相(首相官邸HPより)
ついに明日31日、衆院選の投開票日を迎える。読売新聞の終盤情勢では「自民党の単独過半数維持は微妙」と報じられたほか、甘利明幹事長や複数の現役閣僚の劣勢が伝えられており、自民党にとって厳しい戦いになっていることは間違いない。
だが、そんなことで安心はまったくできない。重要なのは、改憲勢力をいかに削り取るか、ということだからだ。
憲法改正の国会発議には衆参両院それぞれで定数の3分の2が必要だが、自民だけで単独過半数の維持ができずとも、公明党とあわせた与党で過半数を確保するのは確実な情勢になっており、さらに改憲勢力である日本維新の会の躍進も伝えられている。
しかも、岸田文雄首相はこの選挙期間中も、安倍晋三・元首相や高市早苗政調会長と並んで極右雑誌に登場し、憲法改正を果たすと堂々宣言している。
たとえば「月刊Hanada」(飛鳥新社)は、表紙に「岸田文雄総理 憲法改正宣言!」と銘打ち、岸田首相のインタビューを掲載。そのインタビュー記事のタイトルは、「岸田文雄内閣総理大臣 憲法改正は必ずやる!」。
そして、インタビューで岸田首相は「総裁任期中の憲法改正の実現を目指します。これは当然のことです」と述べると、自民党の改憲4項目について、こう語っている。
「九条への自衛隊の明記は、当然です」
「緊急事態条項の創設も、災害の時代といわれ新たな緊急事態が予想されるなか、必須です」
さらに、岸田首相は同じく極右雑誌の「WiLL」(ワック)にも登場し、同様の主張を展開。岸田政権下での改憲に「手応えを感じています」と答えている。
そもそも、一国の首相がヘイトスピーチを連発しつづけるネトウヨ雑誌に平然と登場するというだけで一発アウトなのだが、この改憲をめぐる発言をひとつとっても、岸田首相がいかに安倍元首相にハンドリングされ、自分の意思のない危険な人物となっているかがはっきりとした。
衆院選を前に、小泉今日子、水原希子ら著名人が踏み込んだ発言! 投票呼びかけだけでなく具体的な政策への支持や批判も表明

小泉今日子と小川淳也候補のインスタライブ告知
菅田将暉らが投票を呼びかける動画「VOICE PROJECT 投票はあなたの声」が大きな話題になったが、ここに来てさらに踏み込んだアクションをする芸能人たちがあらわれている。
小泉今日子は立憲民主党の小川淳也候補(香川1区)とインスタライブを実施。小泉は、コロナ下における演劇や音楽関係者の苦境を語ったり、また視聴者からの質問を小川にぶつけたのだが、自身が直面した芸能人の政治的発言をめぐる葛藤についても明かした。
小泉といえば、近年、検察庁法改正案問題や公文書改ざんを強要された近畿財務局の職員・赤木俊夫さんが自殺に追い込まれた問題、入管によるウィシュマさん虐待死問題、コロナ対策など、折にふれ、SNSで政権批判も含め発信している。しかし、そこに至るまでには逡巡があった。2018年に安倍政権による公文書改ざんが明らかになった際、官邸前抗議デモに「いいね」をしたことが大きな話題になったが、自宅に週刊誌記者が押しかけるなどの騒動になったことから、こうした発言は控えようという気持ちになっていたのだという。しかし、昨年、SNSで政府のコロナ対策や赤木さんの問題などで自分も含め多くの人が憤っていると感じていたところ、検察庁法改正案問題のハッシュタグを目にし、「勇気を出そう、覚悟しよう、私も」と、再び発言することを決意したのだという。
また、小泉は「国会中継を見ていると、野党にはなかなか素晴らしいキャラクターの方が増えましたよね」「女性もズバッと切り込む」とも語った。知ったかぶりのコメンテーターたちが、「野党は批判ばかり」などとよく言うが、小泉は国会中継もチェックするなど普段から関心を持って政治をチェックしていることがよくわかった。
小泉は以前から小川氏のドキュメンタリー映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』を薦めるなどしていたが、このタイミングで候補者とSNSで対話をするというのは、かなり勇気のいる行動だろう。
一方、水原希子は、インスタグラムのストーリーに連日のように投票を呼びかける投稿をしている。若い世代に向け投票方法など解説する「選挙の教科書」や、パタゴニアの「私たちが本当に必要とするこれからの政府をつくる」「私たちの地球のために投票しよう」という呼びかけをシェア。さらにイラストレーターやデザイナー、漫画家などがそれぞれ投票を呼びかけるポスターを制作した「#投票ポスター2021」からも複数のポスター画像を江尾投稿した。
水原は投票の呼びかけにとど止まらず、気候変動問題など具体的な政策に関する投稿もしている。たとえば、気候危機をめぐる日本共産党のアニメ動画も複数シェア。気候危機をめぐる自公政権の政策を批判し、「CO2最大60%削減」「石炭火力・原発ゼロ」「省エネ・再エネで雇用増」といった共産党の提言を紹介したうえで、「選挙区 野党統一候補」「#比例は共産党」と訴える動画などだ。
さらに水原は、モデルで実業家・アクティビストのeri氏が自民党の政策集をチェックし、旧態依然としたエネルギー政策を批判する画像を引用〈泣く、、、気候危機だって沢山の人が体感レベルで気が付いているのに、なんで!!胸が締め付けられる、、みんな絶対投票行きましょう!みんなの清き一票で地球を守る事が出来るよ!〉と訴えた。そして、29日には〈私は選挙権がないから投票出来ないのだけど 選挙権のある友達と一緒に決めて投票してもらった!自分の票ではないけど、投票出来た気持ちがして嬉しい〉と報告した。
アベノマスク8300万枚が倉庫に、保管料月7500万円…安倍政権の最悪コロナ対応を思い出せ! 岸田政権も病床20万削減を引き継ぎ

アベノマスク姿の昨年の安倍元首相(首相官邸HPより)
投開票日まで残り2日となった衆院選挙。今回、各社の情勢調査にはなぜか「自民党の単独過半数獲得は微妙」から「自民党が260議席以上獲得」まで大きな幅があるが、いずれにしても、自民・公明の与党で安定多数は獲得しそうな情勢だ。
岸田政権誕生は思ったほどの追い風にはなっていないものの、菅政権時代には周知のように「自民党70議席減」「与党過半数割れの可能性」が予想されるほどの状況だった。このままいけば、自民党の首の挿げ替えによるロンダリング作戦がまんまと成功することになる。
だが、ほんとうにそれでいいのか。岸田文雄首相は明らかに安倍晋三・元首相や麻生太郎・自民党副総裁の傀儡であり、今回、自民党・公明党に過半数をとらせるということは、安倍政権・菅政権の政治を認め、それを繰り返替させることになるのだ。
投票日を前にして、私たちはあのデタラメ政治、とくにあのコロナ禍でおこなった無能無策ぶりをもう一度、思い出すべきだろう。いや、思い出すまでもない。ここにきて、昨年、安倍晋三(山口4区)が配布した「アベノマスク」をめぐるとんでもない事実が判明した。
全世帯に2枚配布した「アベノマスク」と福祉施設や妊婦向け布マスクが、今年3月末時点で合わせて約8300万枚(115億円相当)も倉庫に保管された状態になっており、昨年8月から今年3月までのあいだの保管費用になんと約6億円もかかっていたことが、会計検査院の調査でわかった。
115億円もの血税を注ぎ込んで無駄にしただけでなく、保管費用に月7500万円もかさんでいっている……。自民党政権のコロナ対策の失策により生活に困窮する人が増加しているというのに、これほどの税金の無駄遣いがあるだろうか。
にもかかわらず、磯崎仁彦官房副長官は27日の記者会見で「施設向けについては配布方法を見直したということなので、調達に問題があったとは考えていない」などと言い張り、ワイドショーやネット上では「あのころはマスク不足で配布は妥当な判断だった」などという意見が飛び出している。
バカも休み休み言え、という話だろう。倉庫に眠っている布マスク約8300万枚のうち約7900万枚が福祉施設や妊婦向けで、報道によると、昨年7月に約8000万枚を配布予定だったのが、マスクの流通量が増加したために一律配布ではなく希望する施設への配布に切り替え、その結果、約7900万枚が配布されずじまいになった。だが、昨年6月下旬の時点ですでにマスクの品薄状況が解消されていたにもかかわらず、政府は約5800万枚もの布マスクを新たに発注していたのだ。
使い捨ての不織布マスクが価格も下がって市中に出回っていたのに、よりにもよって異物混入の不良品が相次いだ非難轟々の布マスクを新たに発注し、結果、いまでは月7500万円もの保管費用までかかっている。「妥当」どころか「アホなのか?」「ふざけるな」と言うほかない。
岸田首相が「昨今の北朝鮮の核・ミサイル技術の著しい発展は、わが国と地域の安保にとって見過ごすことができない」として、「敵基地攻撃能力保有も含めあらゆる選択肢を検討するよう今日改めて指示した」と報じられた。
おそらく安全保障の詳細を検討したことがない人にとって、この発言は極めて妥当のように響くだろう。だが敵基地攻撃ほど、日本の政治、社会、経済に対する攻撃を誘発する政策はない。
日本の「敵」としては、北朝鮮が想定されている。北は日本を攻撃可能な弾道ミサイルを250~300発程度保有しており、山岳地帯の岩山に基地があるとされる。
だが、防御の堅い岩山でのミサイルの破壊は容易ではなく、北は相当数の移動式ミサイル発射装置も持っている。
日本が北のミサイル基地を攻撃しても破壊できるのは5発以内だろう。その際、北は当然だが、ミサイルで日本の政治、社会、経済の中心地に報復攻撃を行う。北の被害がミサイル数発に対し、日本は政治、社会、経済の中心地が攻撃されるのだ。どちらの被害が大きいか、論じるまでもない。
「敵」が中国であれば事態はもっと悲惨だ。中国は日本を攻撃しうるミサイルを1500発以上実戦配備しているといわれているからだ。
敵基地攻撃論は日本の安全を全く高めない。攻撃の呼び水になるだけだ。
なぜ、こうしたバカげた政策が論じられているのかといえば、米国に利益があるからである。
極東地域で緊張が高まれば、この地域で武器が売れる。これは米国の湾岸諸国への対応と同じだ。さらに安全保障の面では、米国が自国への攻撃の危険性を増やすことなく北に圧力をかける選択肢が増える。
情けないことに、今、日本で語られる防衛政策はほとんどが日本の安全を高めるものではない。米国に資するためである。
衆院選の最中の今、日本を操る「ジャパン・ハンドラー」と呼ばれる人々が積極的に発言している。そのひとり、アーミテージ氏(元国務副長官)はこう言っていた。
「日本が防衛予算を2倍またはそれ以上に増やすのは良い考えだ」
それに呼応する形で、日本国内の「忠犬」が防衛費拡大の手段を説いているのである。